人事評価クラウド「HRBrain」利用企業は550社に拡大ーー北陸の三谷産業、CA藤田ファンドなどから4億円調達

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HRBrain代表取締役の堀浩輝氏

ニュースサマリ:人事評価クラウド「HRBrain」は10月9日、シリーズBラウンドの増資を公表した。第三者割当増資によるもので、引受先となったのは三谷産業、サイバーエージェント(藤田ファンド)、みずほキャピタル、JA三井リースの4社。出資金額は4億円で比率などの詳細は非公開。同社はこれまでにジェネシア・ベンチャーズとBEENEXT、本田圭佑氏が代表を務めるKSK Angel Fund LLCからも出資を受けている。なお、みずほキャピタルは前回に引き続き今回ラウンドにも参加した。累計の調達額は6億円になる。

また、同社は今回の資金調達に合わせ導入企業が550社を超えたことも公表している。調達した資金は機能追加、マーケティング体制、および事業基盤の強化にあてられる。なお、出資した三谷産業とは北陸地域での代理店契約を締結し、協業を進める。

HRBrainの創業は2016年3月。サイバーエージェントでメディア関連事業のマネジメントをしていた堀浩輝氏が、汎用の表計算を使った人事評価プロセスの非効率に着目し、OKRをベースとしたクラウドサービスを開発した。2017年1月に人事評価クラウドとして公開をして以来、2018年8月に有料利用企業300社を突破。それから約1年を経てさらに200社の利用企業を積み上げた。

今後は新たな従業員データベース機能や、蓄積されたデータを解析する機能などの追加を通じて、組織づくりに役立つSaaSプロダクトへのバージョンアップを目指すとしている。

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利用価格もシンプルに設定されている

 

話題のポイント:注目株が順調に次のステージに進みました。堀さんに今回の資金調達の様子についてお聞きしましたが、数字がついてきているとやはり強いですね。

2017年1月から約2年8カ月で500社獲得、価格は従業員数に応じた段階課金(人数規模で料金が変動するシステム)で50名までの企業であれば39800円で利用できる、というわかりやすい料金も拡大に寄与している印象でした。シンプルイズベスト、堀さんの今の想定では1500社までは視野に入っているそうです。

さて、そもそも非常に複雑な人事評価をクラウドサービスにしたからといって、利用企業側がうまく使いこなせないと解約してしまいます。気になるのはやはりオンボーディングの状況と、それでも解約してしまう企業の「理由」です。評価のない企業というのはないので、なぜ使わ(え)ないのか。

まず導入については、かなり丁寧にサポートしている様子でした。1社につき3カ月ほどの期間を使ってウェブ会議などを通じてCSチームが対応しているそうです。OKRなどの目標管理のプロセスがある場合(表計算や紙)はそれを移行するサポートを、そもそもそれすらない場合はそこの相談まで手がけることもあるのだとか。ただ、ここまで手厚く実施するのも、人事評価というのは一度プロセスに乗ってしまうとやめづらいから、という背景もあるのだと思います。

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オフィスには現在40名ほどが働いており、来年3月末までに65名体制を目指す

一方、それでも解約してしまうのはやはり小規模な事業所で、そもそも社長が全員の評価を把握している状況だったり、目標というものの重要度がそこまで高くない場合というお話でした。このあたりは労務クラウドのSmartHRでも過去に同様の話を聞いたことがあるので、こういったSaaSは一定規模(50名以上あたり)がなければメリットを感じにくいのかもしれません。

今、世の中では人手不足が喫緊の課題として迫りつつあります。適切な評価がなければ離職に繋がるのはもちろん、行動規範など、定量パフォーマンスでは測定できないカルチャーに対する定性評価の重要度は増すばかりです。納得感高い評価プロセスがあれば、自律的な行動を生み出す強い組織づくりに繋がる可能性は高まります。

今後、HRBrainは人事評価というワン・イシューから従業員データベースなど複数の組織課題をクリアできる複合のプラットフォームに成長するということですので、また次の展開が楽しみです。

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