Teslaが革新的バッテリーで参入する「ロボタクシー事業」ーー耐久走行距離100万マイルが生み出す新ビジネス

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ピックアップ:Million-mile battery unveiled by ground-breaking research

ニュースサマリ:9月6日、Tesla Motors(以下Tesla)のバッテリー研究パートナーであるJeff Dahnの研究グループは、電気化学のトップカンファレンス「Electrochemical Society」の学会誌である「Journal of The Electrochemical Society(JES)」において、リチウムイオン電池に関する論文を発表した。

論文では陽極にニッケル50%、コバルト20%、マンガン30%のNCM523の単結晶、負極に合成グラファイトを組み合わせたセルを調査している。その結果、160km以上にわたって電気自動車に電力を供給でき、少なくとも20年間電力を貯めることができることを明らかにした。

話題のポイント:Teslaは4月22日、製品発表会「Tesla Autonomy Day」で電気自動車による完全自動運転のロボタクシー事業を展開することを発表しました。利用者はアプリからTesla車を呼び出して利用できることに加え、Tesla車の所有者はリース契約をして運転していない時間をロボタクシーに提供して収益を得ることができます。

最近1~2年の内にTeslaの特徴の一つである「電気自動車(以下EV)」のスペックで、ロボタクシー事業を支える技術革新がありました。それがリチウムイオン電池です。

実はEVを一般的に利用するのと、タクシーとして利用するのでは求められるスペックが違うのです。

EVに採用されているリチウムイオン電池は、100%充電されている状態から残量が何%で充電するかで電池寿命が異なります。これまでの研究では残量を多くの残したまま充放電を繰り返すことで電池寿命がはるかに長くなることがわかっています。

具体的にみると、EVを一般的に利用するとおおよそ毎日残量が75%まで消費されてから充電される傾向があります。それに対してEVをタクシーとして利用する場合は終日走行するため、残量が0%まで消費されてから充電される回数が多くなります。

Teslaが想定するロボタクシーの用途では電池に多くの負荷がかかるため、短命なのです。

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今回の論文で、過酷なロボタクシーの用途に耐えるリチウムイオン電池を開発ができることが発表され、走行距離が従来の2倍になる点で非常にインパクトがありました。

たとえばTeslaをロボタクシーとして年間14万km走行させたとしても、11年間は使用可能です。この場合、1台の1年間当たりの売上総利益は3万ドル程度になります。こうしたロボタクシーを2020年半ばまでに100万台に広げる計画のため、ロボタクシー事業による年間の利益は300億ドルに到達する計算です。

走行距離に余裕があるからこそ、Tesla車の所有者はリース契約をして収益をあげることを望むでしょう。そして参加者の数がTesla側の経費を下げ、利益を生む仕組みです。Teslaの新しいビジネスを支えるのは間違いなく電池の発展だといえるでしょう。

さらにこの研究はまだ余力を残しているため、JESの技術編集者Aurbach氏によると、一回の充電で500kmを走るリチウムイオン電池がまもなく開発されるそうです。

実現されれば、長距離EVトラック「セル」の実用化が見えてきます。より遠くに行ければ、現在問題になっている輸送中の充電時間を克服できるからです。

さらに、もしEVトラックを使用した輸送事業においてもリース契約を通じたシェアリングによるロボトラック事業化できれば、大きな市場に経済性を武器に乗り込めるのに加えて、社会リソースの平滑化という面で大きな意味を持つことになるでしょう。

Teslaは電池技術の発展から、輸送事業を経済性で支配する可能性があるのです。(執筆:佐々木峻

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