リファラル採用で「自社をおすすめしない社員」は1割、3,000社の声からみえた“実態”と4つの成功フロー

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Photo by Helena Lopes on Pexels.com

先日、私たちは400名以上の人事担当者を対象にしたアンケート結果を公表しました。

採用難が続く昨今、多くの担当者は新たな採用手法の検討だけでなく、会社の本質的な課題まで考える必要が出てきていると回答しています。

一方、新たな手法として注目度が増している「リファラル採用」についても、その導入の現場においてよく聞かれるのが「うちの社員は帰属意識が低いから…」といった不安の声です。

私はリファラル採用の導入を支援する「MyRefer」というサービスを2015年に開始し、これまで3,000社以上の企業で社員が社員を呼び込む「社員のファン化」という現象を直近に拝見してきました。

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その経験とデータから見えてくるリファラル採用の実態は実は次のようなパターンに大きく分類されます。

  1. アクティブな社員:1割・・・進んで友人に声がけをする、会社へのロイヤルティが高くSNSなどで積極的に自社の情報をシェアする
  2. パッシブな社員:8割・・・進んで声がけはしないが、転職を考えている友人が周りにいたら紹介してもいい
  3. ネガティブな社員:1割・・・自社をおすすめしたくないから、そもそもリファラル採用をしたいと思えていない

自社を積極的に友人におすすめするアクティブな社員がいなければリファラル採用の促進が難しいと考えてしまいがちですが、実はリファラル採用の8割は「たまたま前職の同期と飲んだときに仕事の悩みを相談された」といった受動的な機会から紹介するケースがほとんどなのです。

つまり、リファラル採用を促進させるためにはこの「8割を占めるパッシブな社員」がおすすめしたくなるような組織創りが重要になってきます。重要なポイントは次の4つです。

  • 隠れている「自社ファン」の特定
  • 自社ファンをチームにする
  • 透明性の高いコミュニケーションプラン
  • 人を動かす「ストーリー」

#1 リファラルにおける自社のファン、隠れファンの特定

まずは前提でお話した社員の構造を理解した上で、自社のファンや隠れファンを特定することから始めます。ファン社員は自社を積極的に友人に語ってくれているアクティブ層、隠れファン社員は、自社を積極的に友人に語ることはないが、機会があればおすすめするパッシブ層になります。特定の方法については、下記2つのアプローチがあります。

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  • 過去のリファラル採用の紹介状況を分析し、積極的に声をかけてくれているアクティブ層、積極的ではないが、友人からの相談の機会に受動的に紹介してくれているパッシブ層を特定する
  • 社内アンケートやサーベイからリファラル採用に協力的である社員を抽出し、アクティブ層、パッシブ層を特定する

#2 ファンを巻き込んだプロジェクトチーム組成(ファンの声回収)

次に手がけるのは特定したファン、隠れファンを選別したプロジェクトチームの組成です。人事だけでリファラル採用の制度設計するのではなく「自社をなぜおすすめしたいと思うのか?」ファン社員の生の声を聞くことが重要です。過去の紹介数や友人に紹介するときの自社の魅力ポイントに基づいて、ファンベース採用を実現する仕組みを構築します。

プロジェクトチームの体制としては、役職・性別・部門を交えて多様なメンバーを選ぶことで、より本質的な声を回収することが可能になります。

#3 透明性の高いコミュニケーションプランの設計

リファラル採用の促進にあたっては、採用に関わるあらゆる情報を透明性もって流通させます。特にパッシブ層に対し、いかに採用を「自分ゴト化」してもらうかが鍵です。そのためのコミュニケーションプランを設計し、自社の採用戦略から採用計画、チャネル施策、おすすめポイントや入社者情報などを共有していきます。

例えば自社の空きポストのみを共有しても、背景がわからなければ自分ゴト化することができません。

  • 今、自社の採用はどういう状況なのか?
  • そもそも何で募集しているのか?
  • どこのポストでどういうスペックの人に声がけすればいいのか?
  • 現状の採用チャネルは何を使っていて、リファラル採用はその中でどんな位置づけなのか?

つまり、みんなでファンを作って採用していくための前提としての背景情報を共有するのです。

#4 おすすめしたくなるストーリーを纏ったコミュニケーションプランの設計

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透明性の高い情報を受け取った上で必要になるのが「どうやって友人に紹介してもらうか」というHowの部分。ここでオススメするのがストーリーです。

説明的言語ではなく、Whyから始まるストーリーをもった感情的言語は語り手(社員)本人の推奨度を高め、そして聞き手(友人)の共感を高めていくことができます。さらに、ストーリーは人間の脳に長期記憶として残ります。

例えば、子どもを教育するときには、説明的にくどくど説教されるより、『アリとキリギリス』の童話を読み聞かせるほうが納得感があって記憶にも残ります。つまり、社員自身のエンゲージメントを高めておすすめを促進し、友人の意向を高めるためには、人の心を動かし共感を得るストーリーが不可欠なのです。

いかがだったでしょうか。

冒頭でも申し上げた通り、今、日本では2030年に向けて明らかな労働人口の減少が指摘されています。持続可能な企業の成長を考える上での採用、組織戦略は経営企画の喫緊の課題です。私たちはリファラル採用を通じて社員をファンにし、ファンをベースに会社を創っていくことがそのソリューションになると信じています。

<参考情報>

本稿はリファラル採用活性化サービス「MyRefer」を提供する株式会社MyRefer代表取締役社長CEO、鈴木貴史氏によるもの。Twitterアカウントは@takafumi_szk。12月10日に「社員をファンにするおすすめしたい会社創り」をテーマにしたmeetupイベント「Fanbase Recruiting Meeting」を開催予定。くわしくはこちらから。

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