資金調達の民主化は「投資型クラウドファンディング」が完成させる

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「株式会社」は、会社法で株主の権利と経営者の責任が明確に規定されている素晴らしい仕組みです。

事業目的に共感し参加する株主に支えられることによって、社会性の高い事業を推進する。株主の投資目的は本来、配当やキャピタルゲインではなく、社会に役立つ事業を共同で成し遂げることにあるのです。

その一方、マネーゲームに代表される「お金儲け」が本来の価値とは異なる視点を与えている、というのも事実です。

株式会社という仕組みを本来あるべき共同事業の形に最適化し、多くの人たちが夢を叶えるための手段としてもっと活用できるようにする。私たちが手掛ける株式型クラウドファンディングはその答えになるものと信じています。

私たちは今日、2019年11月6日、「株式型クラウドファンディングサービスを展開するDANベンチャーキャピタルの株式取得(グループ会社化)に関するお知らせ」を発表しました。CAMPFIREグループに参画することを決意した最大のポイントは、「資金調達の民主化」を掲げる同社の理念にあります。

私が20年に渡り理念に掲げてきた「中小企業のための資本調達のインフラづくり」。そのインフラは中小企業の事業に共感する多くの株主に応援いただく「資本市場の民主化」とも言えます。

上場会社だけに限られてきた資本市場の裾野を大きく広げ、皆が挑戦できる社会を築き上げる。

それが私たちの目指す世界です。

おカネではなく「ファン」を生み出す株式型クラウドファンディング

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CAMPFIRE・コーポレートページ

では、具体的にどのようにやるのか。それについて少し言及させてください。

中小企業の多くは創業者が株主であり経営者です。創業者と理念を共にする株主がみなの共同事業として出資をして、その経営を経営者に託する仕組みとして機能することが何より重要です。

日本国内に存在していると言われる法人数は260万社超、会社を組織形態別にみると、株式会社が約213万社(全体の94.3%)といわれます。その内、上場会社の数は約3,600社と、全体の0.2%未満。「公開会社」として株式を通じて広く遍く資金調達が実施できる権利を持つ企業は極わずかとも言えます。

この出資の仕組みをオンラインで効率化したのが株式型クラウドファンディングでした。

日本証券業協会によると「非上場株式の発行により、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組み」と定義、2014年に中小やベンチャー企業の資金調達を支援する目的とした改正金融商品取引法が成立、2015年に解禁された歴史浅い制度です。

しかしこの株式型は1社あたりの出資額が年間で1億円までと厳しく、かつ、投資家あたりの出資額も50万円までと大きく制限されています。また、上場を目指すいわゆる「スタートアップ投資」を手掛ける投資家には、不特定多数の個人投資家が含まれることに警戒感を示す方がいるのも事実です。

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CAMPFIREのミッション

そこで私たちは改めて株式会社の原点に立ち返り、株式に関心を持つ投資家ではなく、その企業や事業、経営者に関心を持つ方に株主として出資いただく「拡大縁故募集」というアプローチを取ることにしました。これは縁をいただいた友人知人、お取引先、地域でお世話になっている方が株主として事業を応援できる「永続的なファンをつくる仕組み」のことです。

つまり、株式市場やベンチャーキャピタルからの資金調達は上場を前提したものが大半ですが、それとは異なるものが「株式型クラウドファンディング」であると考えているわけです。

近年は、企業の意義や社会的責任が以前よりも注視され、投資家、株主も単に金銭的リターンだけではない、事業に対する社会的評価を今まで以上に重視されています。社会の公器たる株式会社は「公開会社」と呼ばれます。中小企業の多くが上場しなくても「公開会社」となれるのが「株式型クラウドファンディング」制度なのです。

これでCAMPFIREには購入型、寄付型、融資型、そして株式型の全ての手法が揃いました。目指す金融包摂の世界は目の前にまでやってきています。

「資金調達の民主化」が本当に起こった世界はどうなるのか、ぜひご期待いただければと思います。

<参考情報>

本稿は投資型クラウドファンディング「GoAngel」を手掛ける出縄良人氏によるもの。Twitterアカウントは@CAMPFIREjp。CAMPFIREの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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