学校名と成績でクレカ発行、「Deserve」が示す信用データの価値と市場

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ピックアップ:Goldman Sachs leads $50M round for credit card platform Deserve

ニュースサマリー:クレジットカード・スタートアップ「Deserve」は4日、シリーズCにて5,000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはゴールドマンサックスが参加している。また、既存投資家のSallie Mae、Accel、Aspect Ventures、Pelion Ventures Partners and Mission Holdingsも同ラウンドに参加している。

同社は米国における若者、特にジェネレーションZ世代を対象にクレジットカードを提供するCard as a Service(CaaS)を謳うFinTechスタートアップ。カードの申請にSSN(ソーシャルセキュリティーナンバー)は必要なく、対象者の学業や就業先で審査を実行するのが特徴だ。また、クラウドベースでカード管理のプラットフォームも提供している。法人・大学機関向けにもサービス提供を開始している。

話題のポイント:Deserveでは、カードの対象者を「Anyone」としており、この範囲に「留学生(外国人)」も含まれていることは特筆すべきでしょう。アメリカにおける日本人留学生にとって最大の難関は、SSNなしにクレジットカードが作れないことにありました。

同社へのカード申請は上述通りSSNを必要とせず、所属している学校やそれに応じた成績などが「クレジット(信用)」として評価される仕組みを取っています。

米国においてクレジットカード発行の信用力「クレジットスコア」は非常に重要視され、たとえば自宅の契約をする際やスマホ本体の分割払いなども、クレジットスコアに問題がないことが大前提となっています。(最終的にクレジットスコアはSSNに紐づく)

しかし、そもそも留学生は基本的に労働による収入と関りがないためSSNは提供されません。そのため、クレジットスコアを積み立てることが根本的にできず、クレジットカードを作れないといった悪循環の存在する市場でした。

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Image Credit: TransUnion

TranUnionが公開したジェネレーションZ世代におけるクレジットカードやローンの支払い残高推移を現したデータによれば、世代が上がるほどクレジットカード市場が大きく成長を遂げているとしています。当然ですが働き手世代になればカード出費が増えることを意味します。

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加えて同データでは、2022年にクレジットカードを保有するジェネレーションZ世代は約4,450万人に達し、2019年現在の3150万ドルからYoYで29%上昇すると予想しています。こういった点から、Z世代がクレジット市場をこれから率いていくのは容易に想像できます。Derserveはまさに既存カード会社が手をつけられない有望市場を先んじて寡占する戦略に出たわけです。

しばしばクレジットカードの枠組みで「エントリー向け(初心者向け)」があり、大体は特に特典・特徴がないカードといったところです。ただ、Deserveが提供するカードはそれとは一線を画しています。

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Image Credit: Deserve

上図はDeserveが提供する学生向けの「Deserve EDU」と一般向けの「Deserve PRO」の機能例です。学生プランはアマゾンプライム学生会員を無料で1年利用でき、キャッシュバックが1%あるなど学生ならではの特典を用意しています。PROプランではプライオリティーパスが付帯されキャッシュバックも旅行関連であれば3%までと、年会費無料・エントリー向けとしては十分すぎる機能を提供していることが分かります。

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Image Credit: Deserve

カード応募までのステップがシンプルに抑えられていることも同社の特徴です。縦に長い画面に情報を入れる必要はなく、たった3回の画面遷移で終了です。最初は、学生か就労者orその他の選択をし、その後の画面でメールアドレス、名前、電話番号、住所を入力します。

その後はおすすめのカードプランを提示され、再度基本情報を入力すれば申請は完了します。下図のように、SSN入力欄の代わりに学生であれば学校名と専攻を入力する枠が設けられています。

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Image Credit: Deserve

留学生にとって米国ドル建てのカードを保有することはとても価値があるといえます。私も今、まさに米国の大学に在籍しているのですが、一般的な4年制大学であれば、1クオーターにかかる学費は約150万円ほどです。

最近では大学側が国際送金スタートアップ「TransferWise」を含めたあらゆる支払い方法を用意してくれている場合が多いです。非常に無駄が多いのですが、それでも数百万円に渡る金額をドルベース以外のカードで支払うというのは避けられないことでした。

しかしDeserveがあれば、私のような留学生でもクレジット(信用)を効率的に貯めることができるようになる、というわけです。

Deserveは決して留学生向けというわけでなく、対象者はアメリカ人を含む「Anyone」で、特にジェネレーションZ世代です。1995年以降生まれの彼らが、これから18歳を超えて所得をしっかりと持つクレジットカード所有者へと生まれ変わっていきます。クレジットカードにおける「最初の一歩」という切り口を改めて再考させてくれる案件ではないでしょうか。

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