国内配車アプリ戦争ーーアジア・Grab、米国・Uber、中国・滴滴(DiDi)、勝敗の鍵握るのはJapan Taxi

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Image Credit : Grab

ピックアップGrab、Japan Taxiと提携し日本の5都市で配車サービスを提供へ

ニュースサマリー:シンガポール発、東南アジア発の配車サービス「Grab」が日本市場への参入を計画している。JapanTaxi(旧:全国タクシー)と業務提携し、日本の主要5都市にてサービス展開を目指す。ユーザーはGrabアプリを通してJapanTaxiを予約できるようになる。

展開される5つの都市は東京・大阪・京都・札幌・沖縄。同社の狙いは、増加する東南アジア地域からの訪日観光客が、日本を観光する際にGrabアプリを利用できるようにすること。つまり日本人の日常的な移動ではなく、観光客をメイン・ターゲットとしている。

話題のポイント:気になるのは日本の配車サービス市場の今後の変化です。Grab参入以前の市場を見ると、外資としては米国「Uber」、中国「滴滴(DiDi)」、国内発では今回提携を計画しているというJapanTaxiにDeNAの「Mov」、みんなのタクシー「S.RIDE」などのプレイヤーらが活動しています。

日本はUberに代表される、自営業者によるライドシェア(自分の車で人を運ぶタイプ)が許されておらず、あくまで「タクシーの配車と決済」をスマホで便利にしたサービス形態になっているのが国内の特徴です。なので、配車サービス事業者とタクシー事業者が主なプレーヤーになります。また、日本交通のように配車サービスとして「Japan Taxi」を別会社で立ち上げ、一方ではプラットフォーマー、一方ではタクシー事業者として二面性を持っている事業者もあります。

ややこしい市場ですね。

さらに外資3社は同じユーザーを食い合う訳ではなく、それぞれの提供元地域(米国、中国、東南アジア)ベースで異なるユーザーをターゲットとしているという点には注意が必要です。

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Image Credit : Google Play

すなわち、欧米人のユーザーは使い慣れたUberアプリを日本でも利用する可能性が高いと考えられ、一方で滴滴は中国人ユーザー層を想定しているということです。滴滴はAlipayやWechat Payの支払いにも対応しています。上記2つの例と同様に、Grabの場合は増加するシンガポールやマレーシアからの訪日観光客をターゲットとしています。

そして「Softbank」と「TOYOTA」という二つの巨大投資家が及ぼす影響も大きいでしょう。先述した外資3社はこれら2つの共通の投資家をバックにしています。そのため、将来的に戦略的な協業関係・買収が行われる可能性がゼロではないことも留意すべきです。

今日、正式に発表されたLINE・ヤフー連合の動きも当然これに影響してくるはずです。

さて、以上の前提を踏まえた上で、Grabの日本展開における優位性はどんな点にあるでしょうか。現時点で言えば、それはJapan Taxiが既に確立しているネットワーク規模にあります。先行していたJapan Taxiは、先述したGrab以外の4つのサービスの中で国内のサービス提供地域が最も広く、また7万台(※2019年6月時点)という最大のタクシー供給量を誇ります。

Uberは展開地域(県数)においてその次に位置付けられますが、その他のサービスら含め、差は大きいとされており、Grabはその面、長期的な拡大が比較的容易であると考えられます。

政府目標で掲げられたインパウンド目標は2020年で4000万人です。

海外からの訪日観光客が増加が、彼らが自国で利用していた配車サービスの日本参入を促し、その圧が国内の規制緩和を促し、既存プレイヤーへの競争圧を作っています。世界から出遅れていることは明らかですが、日本のライドシェア市場も本格的な競争が始まったと言えるのではないでしょうか。Grab参入はそれを象徴する出来事だと見受けられます。

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