14日に実施された Global Media Pitch のセッションの第一弾(AI とデータインテリジェンス、モバイルアプリ、コネクティッドデバイスと IoT)に引き続き、この日は同セッションの第二弾(トゥモローズテック、フィンテックとメディア、マーテックとコマース)の領域から16チームが登壇。ゲームを楽しめたりエクササイズを促したりする子供向けスマートウォッチ「Team8(フランス)」が優勝、また、商業施設やレストランなどでの行列待ちをアプリでの呼び出しに置き換えられる「QueQ(タイなど)」が SparkLabs Taipei 賞を受賞した。
一方、Meet Taipei の会場ではさまざまな主催者がピッチコンペティションを開催しているが、その中でも特に盛り上がっていたのは NeoStar(創業之星)Demo Show だ。NeoStar Demo Show は、BusinessNext が毎月行っているデモデイ/ミートアップイベントの集大成とも言うべきもので、台湾国内の将来有望スタートアップ30社がピッチした。うち、10社はヘルスケア、マーテック、フィンテックなどに AI 技術を適用したもので、B2B が B2C を上回る年となった2019年を象徴していた。審査員らの評価に基づいて審査がなされた結果、受賞したスタートアップを以下に紹介したい。
【Neo Star 賞1位、Infinity Ventures 特別賞】 Aiello.ai(犀動智能)
Aiello.ai(犀動智能) Image credit: Masaru Ikeda
Aiello.ai(犀動智能)は、それぞれお Google や Qualcomm 出身の創業者らにより設立。音声を使うことによって、デジタルな情報リソースにアクセスしやすくしようとする AI スタートアップだ。ホスピタリティや旅行業界でオペレーションや UX を改善することに注力している。同社が開発するカスタマイズ AI 音声アシスタントとクラウドを使えば、ホテルは業務効率やサービスを改善するだけでなく、顧客に合わせてユニークなブランド音声で話しかけることが可能になる。
【Neo Star 賞3位、Taiwan Tech Arena(台灣科技新創基地)賞】ITM(国際信任機器)
ITM(国際信任機器) Image credit: Masaru Ikeda
IoT のデバイスメーカーやサービスプラットフォームには、データセキュリティの確保と共に分散化の必要性が求められるようになった。ITM(国際信任機器)は、ブロックチェーン対応 IC を開発しており、ブロックチェーンへのトランザクション(取引記録)登録と、高速検索技術の IC 化に成功した。この技術により、パブリックブロックチェーンの帯域幅(トランザクション頻度)の問題が解消され、IoT デバイスのデータをネットワークに載せやすくなる。医療、交通、エネルギーなどの業界へのブロックチェーン技術の適用に注力。
RE 紅包 CEO の Michael Lin(林翊忠)氏 Image credit: Masaru IkedaRE 紅包 Image credit: Masaru Ikeda
番外編として、最近、台湾で人気を集める O2O アプリ「RE 紅包(アール・イー・ホンパオ、RE は紅包を英訳した Red Envelope の略)」を紹介しておこう。紅包は中華圏で定着している伝統的なお年玉のような習慣で、この概念をデジタル時代に O2O へと適用するスタートアップやテック大手は、これまで中国を中心に垣間見られた。
2017年7月にローンチした RE 紅包は今年9月の段階でダウンロード件数60万件、台湾国内の実店舗約4,000軒が加盟。ユーザはクレジットカードや現金を使って RE 紅包にポイントをチャージ、ユーザは店頭でバーコードを提示すると商品を購入できる。RE 紅包は店舗から取引成立時に実取引価格の10%相当を送客やマーケティングの手数料として差し引くが、そのうちの4割(ユーザにとっては価格全体の3.5〜4%)がユーザにポイント還元される仕組み。
Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。 報道によると、Grab が日本のタクシーオペレータ JapanTaxi と提携関係の締結を進めているようだ。この提携により、Grab のユーザが日本の人気のある場所で配車サービスを使…
Tech in Asia では、有料購読サービスを提供。有料記事の閲読、全記事への回数無制限閲読、5万社を超える企業データベースへの無制限アクセス、カンファレンスへの限定割引などの特典があります。詳しくはこちらから。
報道によると、Grab が日本のタクシーオペレータ JapanTaxi と提携関係の締結を進めているようだ。この提携により、Grab のユーザが日本の人気のある場所で配車サービスを使えるようになる見込み。Nikkei Asian Review の報道によれば、Grab は東京、京都、札幌、名古屋、沖縄で使えるようになる模様。
今年で4回目を迎える Pop Up Asia には13カ国25都市から774社・団体が参加しており、タバコ工場だった時代の倉庫4つを使って、さまざまな展示がなされている。倉庫4つのうち2つは販路拡大を目指すデザイナーブランドで、残りの2つはそういったデザイナーブランドの製造を支援するマテリアルやメーカーなどだ。
Pop Up Asia の主催者であり、インディアーティスト作品の事業化やマーケティングを支援してきた Campobag(希嘉文化)の CEO Jerry Yan(顏瑋志)氏は、Pop Up Asia の規模は毎年2倍の規模で伸びており、この分野の産業規模を拡大するのに一役買っていると語った。
Campobag(希嘉文化)の CEO Jerry Yan(顏瑋志)氏 Image credit: Masaru Ikeda
さらにハンドメイド業界を伸ばすには e コマースサイトとの提携が必要。そうすることでイベントの時のみならず、年中通して消費者がハンドメイド製品を買えるようになる。いくつかの社とは話し合いを持ったことはあるが、方向性の違いなどからまだ実現には至っていない。
BRIDGE でもこれまでに紹介した、日本や台湾のハンドメイドマーケットプレイスと話し合いを持ったことことはあるようだが、そういったマーケットプレイス自体が自らとブランドと捉えているため、Pop Up Asia というイベントのブランドと相容れない点が大きな原因のようだ。Pop Up Asia ではバイヤー向けにはハンドメイド製品を買い付けできるオンラインプラットフォームを試験的に用意しているが、コアビジネスに集中する観点から、自らコンシューマ向けマーケットプレイスを作る予定は無いらしい。
そんな中で面白いのは、バンコクに行ったことのある人なら、おそらく概ね知っているであろう中心地サイアムの百貨店「Emporium」が Pop Up Asia と提携している点だ。Pop Up Asia で展示されたハンドメイド製品の一部が Emporium 内の常設エリアで購入可能となっている。Yan 氏によれば、従来から存在する大ブランドが廃れていく中で Emporium が店内に新たな風を入れ込む必要を感じてアプローチしてきたのだそうだ。日本の百貨店とも話を持ったことはあるそうだが、具体的な進展はまだ無いとのことだった。