ピックアップ:VAT-refund startup Refundit raises $9.8 million led by travel-tech giant Amadeus
ニュースサマリー:イスラエル発のトラベルスタートアップ「Refundit」は14日、ベンチャーラウンドにて980万ドルの資金調達を実施したと発表した。スペイン拠点の旅行ITグループ、アマデウスがリード投資家を務めた。また、既存投資家のPortugal Venturesも同ラウンドに参加している。
同社は旅行者に対しVAT(付加価値税)の免税手続きを、スマホから簡潔に行えるソリューションを提供。申請から実際の受け取りまでも15分で完結するのが特徴だ。カメラで撮影したレシートを同社アプリを通し申請し、審査を通過すれば即座にデビットカード・クレジットカードに入金(返金)される。
同社は2017年に創業。2018年1月にシードラウンドにて250万ドルを調達していた。
話題のポイント:トラベルエージェンシーのデジタル化(OTA)に始まり、旅行業界がペーパーベースからオンライン完結型へと変遷を遂げ始めています。
今まで海外でショッピングをして免税手続きをする、といえば空港の行列に並び申請をすることが一般的でした。Refunditではその煩雑さと非効率的な側面を解決するため、VATの手続きをオンライン完結型で提供しています。「VAT申請といえば空港の窓口でするもの」という概念が一般的すぎて、不便であるもののそこにインターネットを掛け合わせるといった発想は今までなかったと思います。
同社サービスの利用条件には、EU市民でないこと、EU圏からほかの地域へと飛び立つことが挙げられています。また、現段階ではパイロットプログラムとしてベルギー・ブリュッセル空港でサービスが開始されており、次の対応国候補にはスロバキアが候補として挙がっています。
さて、同社が公開しているブログによればEU旅行者のうち90%がVATの申請をしておらず、つまりは支払わなくてもよい税金を大多数の旅行者が支払ってしまっている状況にあると指摘しています。
また、既存のVAT申請代理企業は手数料として30%-60%を徴収しているものの、同社のサービスを通せば9%のみであることも強調されています。
タックスリファウンド市場を知るうえでは、ツアリズム市場との関係性が欠かせないと言えるでしょう。旅行業界が盛り上がり、旅行者が増えれば増えるほど、経済が活性化されることは明らかです。
上図はUNWTOが今年1月に公開した2018年度における大陸ごとのツアリスト数・成長率を現しています。もちろんヨーロッパは国数が多いとはいえ、世界で1番大きな市場となっており、成長率も6%を記録しています。
また、海外渡航者予想を見ると2030年には18億人に到達すると予期されており、実際の成長率と比較すればこの数字を上回ることが想定されています。
さて、同社の創業者は、2013年にGoogleに買収されたマップアプリ「Waze」の共同創業者でシリアルアントレプレナーのUri Levine氏。同社は世界観光機関が主催する「Global Traveltech Competition 2019」にて優勝も収めています。
今後対応する国や空港を広げ、同社サービスの利用がトラベラーにとって当たり前となれば、VATのみでなくトラベル領域で「紙」からアップデートできていないエリアをデジタライズさせる大きなきっかけになるかもしれません。
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