
インドネシア政府は国を挙げてのスタートアップエコシステムを支援する取り組みの一環として、科学技術高等教育省(Kemenristek)を通じて、インドネシア全土でのインキュベータプログラムの設立など、サイエンステクノロジープログラム(STP)を導入することを明らかにした。
このプログラムは、スタートアップ前(スタートアップの可能性の模索)、スタートアップ中(インキュベーションプログラム)、スタートアップ後(インキュベーション後および外部資金調達)の3段階で設定され、Foodtech、交通、ヘルステック、メディテック、エネルギー、防衛とセキュリティ、素材と先進素材、ICT の業界に特化する。
これまでの5年間、このプログラムは、同省の技術系スタートアップ総局によって実行されてきた。期間中にはインドネシア国内1,307のプレスタートアップやスタートアップと連携、これらすべてのスタートアップのうち、13社が年間10億ルピア(約770万円)を超える収入を上げ、45億ルピア(約3,480万円)の資金を調達した。
15日にバリ島で開催された Nexticorn International Summit での基調講演で、科学技術大臣の Bambang Brodjonegoro 氏は、最近、新政権が樹立されたことに続き、インドネシア政府がスタートアップエコシステムをどうサポートするかを説明した。
これまで、インドネシア全土のスタートアップエコシステムのサポートは、通信情報省(Kemenkominfo)と、最近、観光創造経済省(Kemenparkraf)に統合された創造経済機関(Bekraf)を通じたものに注力されていた。
しかし、この四半期から、このタスクは通信情報省と科学技術高等教育省に分割される。両省には以前からテックスタートアップを担当する部門が存在していたが、両省の中でより広範な目標への注力を意図していた。
我々(科学技術高等教育省)はもっと上流で、できるだけ多くのスタートアップを生み出す責任がある。通信情報省は今後、下流やインフラに注力することになるだろう。(Brodjonegoro 氏)
Brodjonegoro 氏は Nexticorn の会場で実施された記者会見でこのように語り、通信情報省は E コマースやフィンテックなど消費者向けのカテゴリに取り組み、科学技術高等教育省は前述のように未開拓分野を掘り下げていくことになるだろうと説明した。STP はインドネシア農村部のスタートアップとの連携にも注力する計画だ。
厳しい時期に直面している
Brodjonegoro 氏は講演で、インドネシアのスタートアップエコシステムに対する政府支援が、今後の世界経済の減速に耐える取り組みの一部となるとも説明した。
来年、米中両国が苦境に陥り、経済は減速するだろう。しかし、インドネシアは世界的な不況に対処する上で非常に良い経験をした。 2008年の危機の際、4%の成長率を維持することに成功したからだ。
来年に向けて、我々の俊敏さを再び発揮することができる。
インドネシアのスタートアップエコシステムは、海外直接投資(FDI)を取り込む上で大きな可能性があると考えられている。
Brodjonegoro 氏はまた、新しい雇用創出の重要性を強調した。
雇用の損失は必ずしも失業に等しいとは限らない。それは、新しい働き方の発明による、新しい雇用の創出を意味するかもしれない。新しいスキルトレーニングスキームを備えた労働力を準備することで、(失業による)社会不安を防ぐことができるだろう。
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