月額固定でバス・タクシーが使えるサブスクMaaS、フィンランド発「Whim」のインパクト

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ピックアップ:MaaS Global Completes €29.5M Funding Round

ニュースサマリ:フィンランドを拠点とするMaaSスタートアップ「MaaS Global」は7日、総額3300万ドルの資金調達を完了したと発表した。シリーズは公開されていない。新規の投資家にはBP Ventures、三井不動産、三菱、Nordic Ninjaが参加し、既存投資家も同ラウンドに引き続き参加している。

同社はフィンランドの首都ヘルシンキにて2015年に創業。MaaSアプリ「Whim」を開発・運営している。同アプリではルート検索・プランニングから、チケットの予約・管理・支払いまですべてを一括に管理できるサービスを提供。2017年にはヨーロッパ市場へ進出し、2020年には日本、シンガポール、北米にも進出予定だ。

話題のポイント:フィンランドといえばMaaSが思い浮かぶほど、同領域においては先進的な取り組みが数多く実施されている印象です。特に同社の印象的な取り組みは、国を挙げたモビリティーサブスクリプションモデルでしょう。

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月額定額で、公共交通機関、自転車、タクシー、レンタカーを利用でき、さらにはアプリ内で移動検索をかけれることでベストかつ金額にとらわれない移動手段を提供しています。(月額ごとのプランは上図通り)

以前サンフランシスコにおける「シェアサイクルの悪夢」で取り上げたように、EU圏においてモビリティー市場が肯定的に受け入れられているにもかかわらず、米国では少なくとも現段階でネガティブな見解が多いです。

<参考記事>

Whimがフィンランド市場に与えた「影響(必ずともポジティブとは述べていない)」を分析した資料「WHIMPACT」によれば、意外にも31-40代の利用者が24%とその多くを占めていることが分かります。もちろんフィンランド人の人口分布と比較すれば若い順で最も割合が多い16%を占めていますが、それでも30代が最もユーザー分布を占めているというのは着目すべき点でしょう。

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WHIMPACT

米国でいうモビリティーシェアサービスは、若い人ほど利用する傾向にあったといえます。アメリカ合衆国国勢調査(U.S. Census Bureau)が2013年から2017年までの通勤・通学に伴うシェアリング自転車利用者データを利用して作成した資料によれば、明らかに若い世代からシェアエコに参加していることがわかります。

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Whimは今後ヨーロッパ圏に加え、北米・日本に進出を目指しています。北米は既にシェア自転車やUber、Lyftが一般的な移動手段となっているため、交通機関とのパートナシップがうまく結べれば同サービスの浸透も早いでしょう。

では、日本はどうでしょうか。例えばシェアスクーターの利用などもまだ法的整備されているとは言えない状況ではあるものの、世界ナンバーワンといわれる公共交通機関網を誇っているのは揺るぎない事実です。

それらのインフラストラクチャーを最大限に生かすためにも、Whimのようなサービスを先に導入することで、「ラストワンマイル」の選択肢を日本に増やしていければ同社にとっても、日本にとってもポジティブな結果となるのではないでしょうか。

 

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