英政府主導の共同研究コンソーシアム「StreetWise」、公道で国内最大規模の自動運転車走行実験を開始

SHARE:
Broomley と Croydon で5台の自動運転車の走行試験を開始した FiveAI。最終的にはロンドンでサービスを展開する計画だ。
Image credit: FiveAI/PA

FiveAI がリードする共同研究プロジェクトの StreetWise は近く、公道でイギリス最大規模となる自動運転車の走行実験を行うことを発表した。

このコンソーシアムは2年前に野心的なプログラムの一環としてイギリス政府により立ち上げられた。次世代の輸送モデルで世界的なリーダーになるため、革新的なモビリティ技術の開発促進を目指している。StreetWise の目標は、自動運転車の技術に関する研究をリードすることのほか、安全性を証明する方法の開発、保険やサービスに関するモデルの策定である。

FiveAI の共同設立者兼 CEO の Stan Boland 氏は声明で次のように述べた。

シェアされた自動運転車のサービスによって、より良い移動手段が約束されます。前向きな思考をするパートナーと協業し、ヨーロッパの都市環境でこのようなサービスを現実のものにしていきます。StreetWise を通して学ぶ教訓は、その目標達成に向けた重要な一歩となります。

この研究プロジェクトは当面の間、非常に制限されたパラメタのもとで実施される。10月から11月にかけて、ロンドンのクロイドンとブロムリー自治区を結ぶ特定の経路で研究実験が行われる。長さ19キロの経路のうち予め決められた場所で自動車が乗客を乗降させる。安全確保のため、訓練を受けたセーフティドライバーが運転席に座ることになるだろう。

自動車を動かす技術を開発したのは FiveAI というイギリスを本拠とするスタートアップで、自動運転車を動かす技術スタックを開発している。AI と機械学習を用いることにより、車はシンプルな地図を使いながら走行していく。同社は2016年のラウンドで270万米ドル2017年には別のラウンドで1,800万米ドルを調達した

乗客には、コンソーシアムのパートナーでイギリスの自動車保険会社 Direct Line Group の社員が選ばれた。どのような種類の自動車保険を提供するかを検討するにあたり、起こりうる問題や乗客の反応を知っておくのが関心事とされる。

民営化される前は Transport Research Laboratory として知られた別のパートナーである TRL も乗客にインタビューを実施する。どのような人が自動運転車のサービスに対価を支払う意思があるかを含め、信頼性や経済性に関する知見を得るためだ。

StreetWise に限らず、どのコンソーシアムパートナーも自動運転車を自ら生産する予定はない。FiveAI が製作しているのは、パートナーとともに採用することになるプラットフォームだ。

どちらかというと、全体的な目標は自動運転車の実行可能性を加速させるところにある。コンソーシアムでは、道路を走る車の削減、大気汚染への対応、より多くの市民にとってのアクセス向上など、最終的には多くのメリットを提供できるとみている。

イギリスの Grant Shapps 運輸相は声明で次のように述べた。

自動運転車の技術のうち、まだ手が付けられていないところは大きな可能性を秘めています。道路上の安全向上、孤立化への対処、経済的な機会の創出などが期待できます。

政府が発表した「モビリティの将来:都市戦略(Future of Mobility: Urban Strategy)」では自動運転車の導入計画を示していますが、StreetWise の走行実験の成功は、国内の輸送革命の次なるフェーズに向けて大きな一歩となるでしょう。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録