3,000人の「お節介な先輩花嫁さん」が変えるブライダル市場、その実態とは

SHARE:
image1.jpg
実際の結婚式ムービーを試写会する花嫁候補のみなさん(提供:maricuru)

ここ数年のライフスタイル変化で様変わりしているもののひとつに「結婚」があります。

例えば、Instagramのハッシュタグにあるプレ花嫁(#540万件/※11月17日時点)はタピオカ(#210万)やパンケーキ(#420万)よりも巨大で、ディズニーランド(#563万)とほぼ同数のコミュニティに成長しています。もともとは2016年ぐらいから始まった、これから花嫁になる方々の口コミ中心のコミュニティで「結婚式に関する”リアルな”情報を渇望していた」ことがわかるトレンドです。

また、これは身近な数字にも出てきていて、結婚情報誌の「ゼクシィ」が実施した「結婚トレンド調査2019調べ」によると、披露宴・披露パーティ会場を検討する際に利用した情報源として、「結婚情報誌」を利用した人は68%から58%と10ポイント減、「結婚情報サイト」63.8%から52.0%と11.8ポイント減と、急激に減少している様子が伺えます。一方、結婚式相談カウンターを利用した人たちが11ポイント以上伸ばしている点も注目です。

このあたりでぼんやりと見えてくるのは、どうせ結婚するのであれば、人と同じじゃつまらない、もっとなにか情報がないかと探し求めるプレ花嫁さんたちの姿です。

私たちは先輩花嫁さんのおすすめから式場選び、結婚式に関わるお悩みなどの解決をする「maricuru(マリクル)」という事業を展開しているのですが、実はここに在籍する3,000名ほどの花嫁経験者にも濃密なコミュニティが出現しています。ソーシャルだけでない、オフラインでの繋がりもこのトレンドに対して新たなマーケティングノウハウを発見する大切な機会になると思いましたので、本稿で共有させていただきます。

花嫁会というオフ会カルチャー

image2.jpg
花嫁会の様子(お譲り会・写真提供:maricuru)

花嫁会とは、リア友じゃない花嫁友達を作りその仲間と開催する女子会のことです。maricuruでも実施される方々が多数いらっしゃいます。

背景にはまずリアルな友達だと、結婚式の話題がしづらいという点があります。年齢やお金周りの話題は聞きづらく、また、既存のメディアや口コミはどうしても信頼性に欠ける、という印象があるようです。そういう意味で目的のはっきりしている花嫁会では、お世話好きの先輩花嫁さんたちが悩みやリアルな見積の話を聞いてあげたりしているそうです。

中には結婚式で流したムービーを持ち寄って上映会をしているグループもあると聞いて、なかなか奥の深いコミュニティになっているなと感じた次第です。

「承認欲求」というフィードバックループ

このグラフはmaricuruに参加してくれている先輩花嫁さんたちの推移です。彼女たちが花嫁会などのオフラインカルチャーを通じて後輩の花嫁さんたちに「ブライダル」の生の経験を共有してくれています。

マリクルアドバイザー数___Q_A数_推移.png

もちろんなんですが、特に何か報酬をお支払いしているわけではありません。先輩花嫁さんたちは自主的にこのコミュニティに参加してくれています。

なぜか。まずは 結婚式のタイミングでのキラキラ感が忘れがたく、結婚式の思い出に浸っていたい、というストレートな理由があります。例えばインスタなどでこういった情報を共有すると共感してくれる人も多く、ある種の承認欲求が満たされやすい、ということも多いにあると思います。

それと、バトン的に自分たちも先輩花嫁さんに相談にのってもらった感謝を後輩の花嫁さんたちに繋ぎたい、という気持ちがあるようです。インスタがやはりその震源地ですが、善意のループがクルクルと先輩から後輩に伝わっているというのが実態ではないでしょうか。

image4.png

いかがだったでしょうか?

旧来的な「結婚像」はトーンダウンの様相を示しています。全体的な結婚の件数については、昭和45年の「第2次婚姻ブーム」直後での110万組をピークに、2016年には約62万組、さらに2018年の推計では59万件と縮小を続けており、婚姻率も下落の一途です。

結婚は絶対的なものから、人生における選択肢のひとつ、という意識の変化は確かにあると思います。その一方で、前述した通り、せっかく選択した一大イベントを個性的にしたい、というニーズはますます拡大していると言えるでしょう。

未来の花嫁さんたちに信頼できる情報や相談相手を提供することは、少子化などの社会課題にもつながる「ブライダル」という市場を、新たなステージに向かわせることになるのではないでしょうか。

<参考情報>

本稿は花嫁の不安に寄り添うサービス「maricuru」の代表取締役CEO、高木紀和氏(@nr_tkg)によるもの。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

BRIDGE Members

BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
  • 会員限定記事・毎月3本
  • コミュニティDiscord招待
無料メンバー登録