
Genvid Technologies は、インタラクティブストリーミングエンジンの開発に向け2,700万米ドルを調達した。このラウンドのリードインベスターはマーチャントバンク Galaxy Digital の一部門である Galaxy Interactive で、今回の調達で Genvid Technologies の累計調達金額は4,700万米ドルに達した。
ニューヨークを拠点とする Genvid のインタラクティブストリーミングエンジンは、スポンサーシップやストリーム内の購買によりライブストリームのマネタイズを可能にする。Genvid CEO の Jacob Navok 氏は GamesBeat とのインタビューの中で、ストリーム観戦するゲームや e スポーツを、プレーヤーにとってより面白くインタラクティブにすることを目指していると語った。
Genvid は、Twitch や YouTube などのプラットフォームにブロードキャストされる e スポーツトーナメントのインタラクティブストリームなど、同社のクラウドストリーミングテクノロジーを使って新種のサービス作成する。Genvid を使えば、例えば視聴者が e スポーツの試合を観戦し、その場でフォローする e スポーツ選手を切り替えることも可能だ。広告主は、視聴者の「いいね」に応じて異なる広告を表示することもできる。日本の NTT ドコモは最近開催された東京ゲームショウで、Genvid を使って 5G がゲームをどのように変えるかを示すインタラクティブなストリーミングイベントを開いた。

Image credit: Genvid Technologies
我々は当初から、ストリーミングを通じてゲームデベロッパが新しい体験を作り出せるツールを作ろうと話していた。
e スポーツからはじめ、今年の Game Developers Conference で新しいコンテンツを披露した。それは、Gennvid 上に構築中の新エンジンを使った新ゲームだ。成長をさらに加速すべく、我々はゲームデベロッパのためのツールに投資を続けている。(Genvid Technologies の CEO Jacob Navok 氏)
同社はこういったツールの開発やメンテナンスを行ってきたが、ゲームデベロッパが欲する機能を確実に届けるには人材確保により多くの資金を投資する必要がある。
インタラクティブストリーミングは、実際のところビデオゲームと従来のメディアの融合だ。
我々は全ての個人視聴者が、一人一人違う自分だけのインタラクティブレイヤーを持てるようにしている。e スポーツチームの特定のプレーヤーを見たければ、そのようにできる。デベロッパがインスタンスを作成や管理、一度導入すれば複数プラットフォームに対応させられるバックエンドツールも開発してきた。(Navok 氏)
Navok 氏は、Genvid がインタラクティブストリーミングテクノロジーに基づいた新しいビジネスも生み出していると語った。その中には、視聴者がライブのスポーツストリーミングとやりとりできるようにするスポーツ関連のプロジェクトや、Genvid でゼロから開発されているゲームコンテンツ関連のものもある。Genvid は、ライブ番組で起きることをユーザが変えられる、ライブテレビの新しい形に取り組んでいる。
ゲームデベロッパに加え、Genvid はメディア企業やスポーツ放送局もターゲットにしている。 Genvid の SDK を使えば、クリエイターは複数のインフラストラクチャ(Amazon Web Services や Microsoft Azure)、複数のゲームエンジン(Unity、Unreal、独自エンジン)で、複数のストリーミングプラットフォーム(Twitch や YouTube など)でリッチなインタラクティブ機能を構築できる。
今後数年以内に公開されるコンテンツのパイプラインがある。
我々はゲームの SDK として事業を開始した。そして今、我々はスポーツとメディアに拡大している。だから、メディア企業やスポーツ企業と連携するチームを作りたい。我々は、スポーツ放送を見たり、リアリティショーを見たりしながら、インタラクティブなストリーミングができる空間で、すでにいくつかのプロトタイプを開発している。また、出演メンバーとリアルタイムでやり取りすることもできる。これに対する私の本当の夢は、将来、インタラクティブな American Ninja Warrior が、リアルタイムでインタラクティブ性を発揮できるようになることだ。
大手のメディア企業には、我々はフルカスタマイズしたサービスを持っていき、「これを構築して、次のようなサービスの提供をご支援します」という必要がある。我々の獲得した最大のバリュープロポジションの一つは、彼らと非常に密接に協業できることだ。(Navok 氏)

Image credit: Genvid Technologies
インディのゲームデベロッパやメジャーなゲームパブリッシャーは、Genvid の技術スタックでのみ可能だという新しいストリーミング体験を積極的に開発している。Genvid のテクノロジーはすでに多くの方法で使われており、ごく最近では、Counter-Strike:Global Offensive の Twitch 上での最新ファイナルをサポートした。
新たに調達した資金を使って、Genvid は SDK 機能開発をさらに加速し、ライブ運用、インテグレーション、インタラクティブストリーミングのための Web 開発を必要とするデベロッパ向けに、エンドツーエンドのサービスプラットフォームを構築する。 さらに、Genvid の技術はゲームエンジンでレンダリングされたコンテンツと同様にストリーミング動画でも機能するため、同社はゲーム業界を超えてメディアやスポーツに事業開発の取り組みを拡大する。
我々はすでに、リッチで双方向のリアルタイムインタラクティブ機能をゲームや放送に取り入れたいデベロッパ向けの標準ツールキットとなっている。Pipeworks Studio の Project Eleusis のメタバース的体験など、Genvid と協力して独立したデベロッパが作る多くの新しいデジタルメディアフォーマットをサポートするため、5G やインタラクティブテレビの成長を活用可能な新機能が追加されるのに合わせ、当社のコアツールは改善され続ける。(Navok 氏)ニューヨークの Galaxy Interactive(マーチャントバンク Galaxy Digital の一部門)は、ビデオゲームスタジオ、e スポーツなどへの投資に重点を置き、急成長しているインタラクティブコンテンツとテクノロジーの分野に特化している。
Galaxy Interactive の責任者である Sam Englebardt 氏が Genvid の取締役に就任する見込みだ。Englebardt 氏は声明で次のように述べている。
Galaxy Interactive と Genvid は同じビジョンを共有している。
インタラクティブストリーミングは、ゲーム市場の次の主要な拡大に不可欠であるという信念に強く沿っている。Genvid のテクノロジーは、従来のゲーマーを超えてユーザ全体を大幅に成長させ、コンテンツの作成、消費、収益化の強力な新しい形態を解き放つだろう。
我々の投資先のすべての企業、特にデジタルプロダクトの作成や所有権にブロックチェーンなどの技術を利用している企業は、彼らのプロダクトに Genvid の技術が急速に拡大するストリーミングコンテンツインフラストラクチャを連携することから、大きな恩恵を受けると思う。
Genvid の既存投資家である March Capital Partners、OCA Ventures、Makers Fund、Horizons Ventures もこのラウンドに参加した。Genvid は Valor Equity Partners と K5 Global から新規の出資を受けた。Galaxy Interactive のほか、Genvid には新たな取締役や投資家が加わったことで、e スポーツ、ゲーム、メディア企業、ブロックチェーンや VR/AR のような新興技術などに洞察を深められることになる。
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我々はこの業界を理解し、こういった種類のツールが必要だと理解してくれる人々に特化して投資家になってもらった。(Navok 氏)
Genvid はさらに、、この1年にわたり Genvid を支援してきた2人の新しいアドバイザーを発表している。Matthew Ball 氏はメディアを中心とする Amazon Studios の元戦略責任者であり、一方、Anna Sweet 氏は Valve でプラットフォーム「Steam」の成長に6年間を費やし、Oculus でコンテンツ戦略をリードし、現在はゲーム業界の投資家でアドバイザーを務める。
メディア業界は、過去10年間のほとんどをコンテンツのオンライン移行とその課金方法の解明に集中してきた。
次の10年は、このコンテンツを再発明し、デジタル配信に固有のまったく新しいフォーマットを作成するものになるだろう。対話性はこの機会の中心になるだろう。そして、Genvid は、こういった体験において、重要なイネーブラーかつ創造的なパートナーの一つとなるだろう。(Matthew Ball 氏)

Image credit: Genvid Technologies
Genvid はまた、ビジネス開発と技術サポートのためにベルリンにヨーロッパオフィスを設立し、顧客のインフラストラクチャーを監視するためにカリフォルニア州アーバインにライブオペレーションオフィスを開設することを発表しています。 2016年に設立された同社は、ニューヨーク、モントリオール、サンタモニカ、アーバイン、ベルリン、東京など、世界中の6つのオフィスに50人以上の従業員を擁している。
多くのメガファンドがある種の投資競争にあり、有望なスタートアップに多額の投資を急いでいるが、Genvid が期待やバリュエーションが上がり過ぎることを積極的に避けてきた、と Navok 氏は語った。
調達した資金を使ってやろうとしている2つ目のことは、我々の SDK 周辺に SaaS を構築することだ。
今日、我々は SDK となった。一連のサービスを提供する SDK 周辺に SaaS を構築したい。会社を始めた時、カスタマプラットフォームには特化しないと決めていた。ライブ運用やサポート、インテグレーションのための支援など、ゲームデベロッパのためのサービス群を想定していた。この種のことをやりたいのはインタラクティイブストリーミングのためだ。Twitch や YouTube にインタラクティブストリーミングを導入しようとしていて、サポートが必要であれば、私がそれを構築してあげたい。(Navok 氏)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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