月間1,000万人利用のグローバルサービス作りでやった、“たったひとつのこと”

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1000万MAU-b

HiNativeのウェブMAUが1,000万人を超えました。

このサービスは、全世界のネイティブスピーカーが言語や文化に関する質問をして、お互いに教え合うQ&Aサービスです。一貫して本気でグローバルなサービスを目指しており、登録ユーザーの97%が日本以外からの登録です。結論から言うと、そこまで複雑なことはやっていません。

グローバルにスケールすることだけをやる。

本当にこれだけを追求した結果、2014年11月の公開から約5年で1,000万人の大台に到達しました。せっかくのタイミングでもあるので、本稿ではこれまでの振り返りも兼ねて、私たちが辿った道のりをみなさんに共有してみようと思います。

ここに至るまで

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Lang-8はソーシャル語学学習プラットフォームとしてスタートした

当社は創業が2007年でして、昨今増えてきた「スタートアップ」という方々の中でも古株になってきました。最初は社名でもあるLang-8というサービスを京都でやっていたのですが(2007年から2012年)その時は僕入れて2人でした。当時の課題は実行力で、やりたいことがあって実装しようにも前に進まない状態です。

さらに唯一のエンジニアが抜けて、やっぱり自分で実装できないと前に進まないなと感じ、自分でプログラミングを学びました。その間もサービスは動いているので、例えるなら飛行機の中で操縦席に誰もいないけど、墜落する前にマニュアルを読んで操縦できるようにならないといけない、という結構アレな状態でした。

このタイミングで勉強してなかったら、今はなかったなと思います。勉強の時間を取ることを後押しして下さった当時の(もちろん今もいますが)株主の方々に感謝です。

僕は23歳の起業です。5年ほど経った2012年の年末に一人で東京に拠点を移し、気付いたら20代が終わっていました。これは根本的にやり方変えないとあっという間に人生が終わってしまうなと思ったので、レバレッジかけてスピードを上げようとして、初めて、サイバーエージェント・キャピタル(※当時はサイバーエージェント・ベンチャーズ)さんから資金調達をすることになります。

ここからがいわゆる、本格的なスタートアップとしての事業開始です。

ただ、当時をご存知の方であれば分かると思いますが、2007年からの数年間、資金調達環境は今と全く異なっていて、3,000万円で大ニュース、1億円の調達など意味不明な感じです。そういう時代背景もあってか、事業投資の踏み込みも恐る恐るになってしまい、数千万を使い切るのに約3年かけてしまったのは今でも反省してます。

HiNativeが目指す未来

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それぞれの母国語を交えたQ&Aが特徴

HiNativeは当社が運営する2つ目のサービスです。

どういうサービスかというと、UberやAirbnbのようなプラットフォームだと思っています。Uberは乗客と運転手をマッチングし、Airbnbが宿泊客と部屋主をマッチングしているように、HiNativeは世界中のネイティブスピーカーをマッチングしています。もちろん、トランザクション毎に課金が発生するわけではないので、ビジネスモデルは全然違います。

質問を通して地球上のどこかの誰かがマッチングし、外国語や海外の文化等に関するあらゆる疑問を質問したり、検索したりすることで解決する場を目指しています。

将来的には例えば「法律に詳しいフランス語ネイティブスピーカー」など、ただ単にネイティブスピーカーに質問できるだけでなく、様々な専門知識やバックグラウンドの方に答えてもらえるようにすることで、より精度の高い回答が期待できると思います。こういったこともいうのもプラットフォームの大きな価値の一つです。

また、こうやって溜まったデータを活かして自動翻訳、発音の自動添削、音声の自動訂正などもやっていきたいと思っています。話者が英語ほど多くない言語でも沢山データを溜められるのは強みです。

どこまで拡大するのか

 

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グローバルで利用されるプログラミングQ&A「StackOverFlow」

プログラミングのQ&Aサービスに「StackOverFlow」があります。現在、このサービスは月間のアクティブユーザーベースで1億人が利用しているそうです。プログラミングと言語・文化はテーマが異なりますが、どちらの範囲が広いか、という視点で考えれば十分これを超える可能性があると考えてます。

これも日本語だけで考えれば無理です。

さらに言えば、英語だけではなく113言語の情報を全世界の方々に提供し、住んでいる場所や環境に関係なく世界中どこにいても異なる語学や文化を学習できる環境づくりに貢献しなければ達成はできないと考えています。

冒頭でもお伝えしたとおり、とにかく全てにおいて、グローバルにスケールすることだけを考えてやってきました。例えば売上が欲しいからといって、日本だけでしか通用しない営業などは「やらないリストに入れる」という具合です。

日本は沢山ある国のうちの1つ、というスタンスも意識しました。

例えば社内で来年の東京オリンピックを、マーケティング関係でことさら気にしている人はいません。理由は日本以外でも4年に1回あるからです。これらは会社のバリューにも書いてあることで、結構浸透しています。大変なことも多いですがこれを徹底したからこそ、スケールしつつあると感じています。

“世界中のネイティブスピーカーの知と経験の共有”

これが会社のビジョンです。

こうやって全世界の人たちに利用してもらえるようになると、さらにスケールさせたいという気持ちが湧いてきます。まだまだ社員数14人ほどの小さな会社ですが、やっとグローバルを作れそうな手応えが出てきました。

ちなみに昨年は大型調達したというプレッシャーから、かなり高速でPDCAを回した結果、数字の成長と引き換えに、組織がぐちゃぐちゃになってしまいました。今はメンバーの協力もあって、そこから回復し、創業以来もっともコンディションがよいです。本当に優秀且つ人柄の良いメンバーには心から感謝しています。

本当にグローバルで勝ち抜く。

貫くべきことはシンプルです。一方、それを支えるためにすべきことは本当に多いと思います。12年も経営をやっていますが、まだまだ学ぶべきことは多いです。私のこの振り返りがなにかの参考になれば幸いです。

本稿はネイティブスピーカーQ&A「HiNative」運営するLang-8の代表取締役、喜洋洋氏によるもの。Twitterアカウントは@yang8。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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