起業家やフリーランサー向けに、1週間に最少2日間からの業務請負や受託業務を紹介する IT プロパートナーズは20日、同社の支援してきた起業家に出資を実施したことを明らかにした。第1号となる出資先は、先に報じた日系通販企業の台湾・タイ向け SNS チャットコマース支援を提供する人々。人々は今回のラウンドで1億円を調達しているが、このうちのIT プロパートナーズの出資配分は明らかになっていない。
IT プロパートナーズでは2014年9月から、社名と同じ「ITプロパートナーズ」の名称で週2日からの常駐案件を紹介するサービスを提供。フルコミットせずとも安定した収入に繋がる常駐案件を受けることで、起業家が自活しながらサービスや事業を手がけることをサポートしてきた。これまでの登録者は3万人。起業家支援ビジネスコンテスト「HATCH」、ユーザコミュニティ「Prolabo」などを通じて将来の共同創業者探しもできるほか、社会保険や確定申告、起業手続、起業後の採用支援なども行っている。
Image credit: ITPro Partners
今回出資第1号となった人々の代表取締役である石川真也氏も IT プロパートナーズの卒業生だ。石川氏は人々の設立当初、IT プロパートナーズの常駐案件を受託しながら事業の立ち上げを行ってきた。IT プロパートナーズの代表取締役である木村直人氏によれば、今後も IT プロパートナーズから輩出された起業家のスタートアップに、自社からの出資や他の VC 紹介を積極化する考え。事実、今回、人々のシードラウンドのリードインベスターを務めた MTG Ventures は、IT プロパートナーズの紹介によるものだ。
IT プロパートナーズでもスタートアップスタジオ的活動の強化に関心があるようだ。BRIDGE の取材に対し、木村氏は「出資という見える形で支援を実施できるようになったことは一つの大きな節目」と語った。特に、出資対象となる起業家は業務を通して身近で見てきた存在であり、将来性や能力を十二分に把握できていることから、投資判断がしやすいという点でもこのスキームのメリットは大きいと言う。
IT プロパートナーズでは今後、同社の常駐案件紹介サービスの登録者への起業支援体制を強化していきたいとしている。
MTG Ventures の親会社である MTG はビューティーテックやヘルステック領域の商品を開発、事業者への出資を活発化させており、販路開拓の過程で人々とのシナジーが期待できる。w2 ソリューション、ネットフロンティアについても、人々と隣接する領域で事業展開する企業であるため、それぞれのサービスの拡販や協業でシナジーを期待しているとみられる。 IT プロパートナーズの関与については、この後公開する別記事を参照してほしい。
人々は2015年、ソフトバンクモバイルでデジタルマーケティング事業立ち上げに携わり、流通最大手向けのデジタルマーケティングのプロジェクトマネジメントに従事した経験のある石川真也氏により設立。人々では2017年から、日本の通販企業向けに海外での広告運用・マーケティング・カスタマーサポート・マーケティング・フルフィルメントなど EC に関連する周辺業務の代行サービスを提供。そんなマーケティング施策の一環から LINE 向けのチャットボットが生まれた。
人々ではこれまで、LINE のユーザが多い台湾やタイの F1 層を中心に、日本の通販企業数十社のマーケティングをチャットボットを使って代行してきた。クライアント企業には、カラーコンタクトレンズ販売の「MORECONTACT」、プラセンタやコラーゲン配合の健康食品・化粧品通販「fracora」などがいる。いずれも日本製品が得意とし、アジアにおいて根強いファン層がいる領域だ。
Tmall Global(天猫国際)にある fracora のグローバルフラッグシップストア(海外旗艦店) Image credit: Tmall Global
LINE を通じたチャットコマースで、タイや台湾に一定の足跡を遺した人々は今後、月間アクティブユーザ数10億人を超えた WeChat(微信)に対応させることで中国進出を図る。人々の顧客である日系通販企業の中には、既に Tmall(天猫)に出店済のところもいくつか存在するが、開設した店舗にユーザや潜在顧客をどうやって呼び込むかが課題となっている。人々はタイや台湾で成功させたモデルを参考に半年ほどかけて中国向けのサービスを準備し、2020年夏くらいに開始したい考えだ。
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