起業アイデアの見つけ方「3つのパターン」

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私は現在、YJキャピタルにて起業ほやほやのシードステージからIPO直前のレイターステージのスタートアップに投資をしています。

2016年8月からCode Republicというアクセラレータプログラムを開始しました。プロダクトがローンチできていない企業にEast VenturesとYJキャピタルで計700万円出資して、起業家のスタートダッシュをサポートするプログラムです。投資のカテゴリーでいうとシード投資に該当します。色々試行錯誤しながら、1ミリでも起業家に貢献できるプログラムを作ろうと日々取り組んでいます。

シード投資を開始して再認識したのが「起業ってこんなにも難しいのか!」という点です。

恐れ多いですが、本当にシード投資するまではそこまで実感していなかったと思います。

YJキャピタルは2012年からベンチャー投資を開始したのですが、主にシリーズA〜Cラウンド(アーリーステージ〜レイターステージ)の投資をメインに活動してきました。

シリーズAとは、プロダクトが完成し、マネタイズも証明できて、これから顧客獲得を積極的に実行するための資金が必要、という段階の資金調達ラウンドのことと一般的に言われています。大体、起業してから1〜2年後に実施するケースが多いです。(筆者注:様々な定義がありますが、詳細の説明は割愛します。詳しくはこちらのリンクを参照してください

50%以上のシード期の起業家がピボットする

話はシード投資に戻ります。

起業って滅茶苦茶難しいんですよね。シリーズAに進める会社ってそんなにないんです。色々なデータが転がっていたりしますが、私の肌感覚だと、シード>シリーズAが通過率30%、シリーズA>シリーズBが通過率30%。シード>シリーズBが要するに10%というイメージです。

しつこいですが、70%の会社はシリーズAに進めずに会社清算したり、リビングデッドになったり、受託会社として生存したり・・・。なかなか厳しいですよね。簡単じゃないです。

で、本題に入りますが、シード投資をしていると頻繁に遭遇するのが「ピボット」(ビジネスモデルの変更)です。創業時に立てた事業仮説を元にサービスを開発して、実際にローンチしてみたら想定していたほど多くの人に使ってもらえない。自分の立てた仮説が間違っていた・・・。これが日常茶飯事です。これがリアルです。

出資を受けている起業家にとって最悪の時間とも言えましょう。投資家(株主)からは「いつリターン出る?」というプレッシャーを浴びながら、新しい事業アイディアを考えなくてはならない。一番最初に考えていたアイディアへの執着が強ければ強いほど、新しいアイディアが全く思いつかないどころか、元のアイディアを見直すことでどうにかならないか諦めがつかない状況に陥り、前進できない日々が訪れます。

シード期の会社にとって、この状況に陥る確率が非常に高いです。私の経験上、50%以上のシード期の起業家がピボット(事業見直し)に直面します

しかし、一度も起業したことの無い、初心者起業家さんは「自分は絶対失敗しない」と思い込んでいます。俺をあの失敗した奴らと一緒にしないでくれよ、と。僕もこれから挑戦する希望に満ち溢れている起業家に「かなりの高確率で失敗するよ」なんて挑戦する前に言い難いです。

実態はかなりの確率で最初のアイディアで最後まで走り抜けていないケースが多いんです。kurashiruを運営するdelyは最初フードデリバリー事業やっていましたしcoincheckは昔、STORYS.JPという人生投稿サイトを運営していました。起業する前にボツになったアイディアとか数え上げたらキリがないでしょう!

成功している起業家は、失敗事例をあまり表で語らないのと、超ポジティブThinkerなので、失敗を覚えていなかったり(カウントしていない)するので、正しく語り継がれていないのが実態だったりします。

「成功してもらいたい。でも失敗確率が高い。なので、一度や二度の失敗で諦めずに、気持ちを切り替えてどんどんチャレンジする覚悟持っておこうよ」とお伝えしていこうと思います。

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新しい事業アイデアはどう作る?

さて、新しい事業アイディアを考える状況に追い込まれた起業家さん。「次のアイディア何やればいいですか?どうやって見つければいいですか?」という相談をよく受けます。また、「まだアイディアが見つかりません」と半年経過しても先に進めない起業家さんもいらっしゃいます。なかなか辛い時間です。

そもそも、一番最初に思いついた事業アイディアはどこから湧いて出てきたのか振り返ってみましょう。きっかけは大きく3パターンあると思います。

  1. 事例起点
  2. 課題起点(俗に言う「負」)
  3. 構造変化起点

(1)事例起点

事例起点は、米国や中国で流行っているサービスの日本版を考えることでアイディアの具現化を進めていくパターンです。ヤフージャパンは、米国ヤフーの日本ローカライズで大成功しましたね。最近の身近な例だと、Ladder.comをローカライズしたビズリーチなどが挙げられます。事例起点は、最先端のニュースを日々チェックする必要があります。ビジネスは誰もがチャレンジしたことがない方法で競合に情報戦で勝ち、儲けていくのが基本的な戦いです。

情報戦は最先端の情報を掴みにいくことで、ライバルを出し抜くことが可能になります。国内のライバルがチェックしていない情報源を漁ると面白いかもしれません。意外に最新の情報だけでなく、歴史を調べるアプローチもチャンスがあったりします。例えば、ハウスクリーニングってそもそも誰が一番最初に始めたのかな?誰が一番稼いでいるのかな?と深堀りしていくアプローチです。繰り返します。情報戦なのでライバルが知らない情報を分析することでチャンスが見つかるのです。

(2)課題起点

課題起点は、自分が普段から感じている既存サービスの課題だったり、社会人経験からくる特定の領域の課題だったり。自身が「あー、これ面倒臭い」と感じる課題を、「こうやったらもっと便利になるんじゃないかな?」というアプローチでビジネスアイディアを考えるパターンです。BASEの鶴岡さんはご自身ではないですが、鶴岡さんのお母様が大分で婦人服の小売業を営んでいらっしゃって楽天やAmazonに出店するのが難しいと感じている、という現場を目のあたりにし、ITリテラシーのないお母様のような方でも簡単にECショップを開設できるサービスを作ろう、というのがそもそもの始まりでした。

このパターンにおける大事なことは普段から観察力を高めていくことでしょうか。普段の会話で家族や友人が「あー、しんどい」と言っていたとしたら、その理由を追求する習慣というか意識を普段から持ち続けることが重要です。アイディアが思いつかないと言っている人は、目の前に沢山チャンスが転がっているのに注意して観察していないから見過ごしている、とも言えます。私は起業してないので、偉そうに書いていて申し訳ございません。ただ、成功している人は観察力が鋭いです、と記しておきます。

(3)構造変化起点

構造変化起点は、ユーザーの行動や環境が変化するタイミングに新しいビジネスチャンスを見つけるタイプです。ガラケーからスマホにシフトするタイミングで新しいサービスが沢山出てきたのは記憶に新しいですね。アプリで料理レシピ動画を見れるkurashiruは、その代表的な例です。変わってから準備しても良いですが、新しい環境に切り替わるタイミングでロケットスタートを切れるように、ちょっと早めから準備すると良いです。ただ、タイミングを読み違えることもあるので一定のリスクを含みますね。

VRやARなどはデバイスの浸透率に大きく左右されるので、タイミングはとても重要になってきます。難しいですね(涙)DMMの亀山社長が、1989年公開映画「バックトゥーザ・フューチャー PART2」を鑑賞し、作品の中で未来の世界が描かれているシーンで未来の人たちがテレビに向かって鑑賞したい映画の作品名を問いかけ、テレビがそれに応えてリクエストのあった作品を放映する、というシーンを見て「レンタルビデオ屋はやがてなくなる。これからはコンテンツの時代だ」とレンタルビデオ屋からピボットしたという伝説があります。

恐るべきアンテナですね。。。(驚)

以上、3つのパターンを紹介しました。あくまでも”きっかけ”ですので、実際は上記の3つの複合技になっていたりします。鋭い読者の皆さんは、3つの視点が過去、現在、未来という時間軸で分類されることに気付いたでしょうか。私も自分で書きながら、今気付きました(笑)。

「アイディアの作り方」(1998年。ジェームス・W・ヤング)では、

アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外のなにものでもない

と記しています。ぶったまげるような新しいものってないんですよね。組み合わせが新しいだけなんです。

新しい組み合わせを作るためには、普段から”何かないかな”、と五感を研ぎ澄ませて入ってくる情報全てを事業化に置き換えていく意識が必要です。情報だけ入手しても事業化できないと情報通で終わってしまいますので。課題だって見過ごしているかもしれません。

見つけ方自体にウルトラCはありません。普段から、過去や先進事例、世の中で起きていること、将来起こりうるであろうことを因数分解して、どこにチャンスがあるのか?そうした視点を持って起業のアイディアを探してみて下さい。

Facebook、Googleを超えるアイディアが見つかりますように!

<参考記事>

本稿はベンチャーキャピタル「YJキャピタル」パートナーで代表取締役社長の堀新一郎氏によるもの。同氏に許諾をもらってMediumに掲載された記事を転載させていただいた。Twitterアカウントは@horrrrry。創業期からシリーズA達成を支援するプログラムCode Republic(コードリパブリック)では第7期を募集中