Twitterはシリコンバレーを離れ“分散化”を目指す

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Image Credit : Pixabay

ピックアップCEO Jack Dorsey’s comments about San Francisco are a warning sign for the city’s tech scene

ニュースサマリー:Twitter社CEOのジャック・ドーシー氏は、2月6日に行われた同社第4四半期決算発表にて、現在拠点としているサンフランシスコへの依存を減らし、Twitter従業員の所在地をより分散化させていく意思を示した。なお、具体的な施策についてのコメントはなかったという。

話題のポイント:サンフランシスコといえば、世界で最も企業価値の高い巨大テック企業が集積するスタートアップの聖地として有名です。しかし、近年は急激な地価・給与水準の上昇がスタートアップに大きな負担をかけており、スタートアップに敬遠される傾向も同時に増加しています。

Rent Jungle」によれば、サンフランシスコ・ベイエリアの二人部屋アパートの平均家賃は2011年と比較して73%上昇しているとのこと。一方、ドイツ銀行によれば現在最も平均給与の高い都市はサンフランシスコであるとされています。

ここ数年はZoomSlackなどのオンラインコミュニケーション・ツールや、Google Suitsなどのナレッジシェアツール、AWS(Amazon Web Service)などのクラウド・サービスの登場により、より物理的制限に縛られずチームと協力し、ウェブ・サービスを開発する環境も整ってきています。

ドーシー氏は以上のような背景を踏まえ、今後数年さらに加速していくであろう”Workplaceの分散化”に興味を示しているのだと見受けられます。

同氏は2020年中盤に半年ほどアフリカに居住すると発言していて、その際はリモートでTwitter及びSquareのCEOとして働くことになることから、実際に彼自身がリモートワークを体験する必要性があるという背景も一つ重要なポイントです。

2019年、オンライン・レンディング企業「Lending Club」が、350人以上の従業員をサンフランシスコから米国ユタ州に移動させています。また同年5月、決済企業「Stripe」も、100人以上のリモートエンジニアの雇用を始めるとアナウンスしています。

Facebook CEOのマークザッカーバーグ氏は、2019年4月に行われたF8デベロッパー・カンファレンスにて、自分が新しいスタートアップを創業するのであればベイ・エリアは選ばないと発言しています。理由としては、AWSなどの存在や、サンフランシスコのテクノロジー一択な画一的カルチャーを挙げています。

以上のように、スタートアップのサンフランシスコ離れはこれから起こり始める未来ではなく、ここ数年に及んで既に起こり続けてきた現象であることが分かります。

ちなみに現在ではサンフランシスコ以外に、米国内でいえばニューヨーク、海外でいえばインドのバンガロールや、イスラエルのテルアビブ、欧州はベルリンやロンドンに代表される「ネクスト・シリコンバレー」と呼ばれ、オルタナティブとなるITエコシステムが次々と登場しています。

ITエコシステムが世界中に分散していくことは、スタートアップの多様性の観点からも肯定でき、かつローカルなITエコシステムの発展を加速させる上でより効率的でしょう。こうした流れの中で、Twitter社が今後どこに拠点を移し、どのような方法で効率的なリモートワーク方法を確立してゆくのかに注目です。

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