旧正月を迎えたアジア、〝e-お年玉〟と〝デジタルゴールド〟で急成長を見せる仮想ギフト市場

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シンガポールの DBS 銀行が提供した「e-お年玉」。同行のウォレットアプリ「PayLah」を使って QR コードを読み取ると、バリューを受け取ることができる。
Image credit: DBS

何世紀にもわたる伝統に従い、中国の年長者は旧正月に子どもや未婚の親族にお金を贈り、一年の富と繁栄を願う。

この贈り物の伝統は中国王朝時代に始まり、子どもが新年の初日に目を覚まし、枕の下に赤い糸が通された金貨を見つけることから始まった。

その後、紙幣の出現により、金貨や紙幣を赤い包み(紅包)に入れる現在の慣習に変化し、アジア全体で hong bao(北京語:紅包)、lai see(広東語:利是)、ang bao(北京語から転じたマレー語、タガログ語、タイ語など)として知られている。

現在、過去に根付いた伝統は時代に適応し、紅包を授受する慣習は現代社会の高度にデジタル化されたライフスタイルに合うように変化している。

電子の紅包は2014年に中国のインターネット企業 Tencent によって導入されてから、ここ数年で中国、香港、台湾、マカオで着実に人気を集めている。

2019年だけでも、中国の人口の約半分(約8億2,300万人)が Tencent(騰訊)のメッセージプラットフォーム WeChat(微信)を使用して、中国の旧正月に仮想 hong bao を親族や友人に送っており、来たる子年に向けては同等かそれ以上の数に上ると予想されている。

アジアの消費者は、デジタル決済を使用する割合が世界で最も高いため、物理的なギフトから仮想ギフトへの飛躍は当然の流れだ。

アジア太平洋地域の人々は、高度なインフラストラクチャと政府や企業からの支援によってキャッシュレス革命を先導し、モバイルウォレットやデジタル決済への馴染みが深まるにつれて、ユーザ間でデジタルギフトを贈る慣習もより一般的になっている。

その他に、金などのアジア文化で人気の贈り物も今はバーチャルで贈ることができる。 デジタルゴールドを使用すると、多くの消費者にとって金の保管や安全性を心配することなくオンラインで簡単に金の購入や贈与が可能だ。

多くのデジタルギフト利用者は、銀行の長蛇の列に並んだり、新年に贈るためのしわのない真新しい紙幣を手に入れたり、もしくは家族や親族からもらった金を安全に保管するために銀行に手数料を支払う必要がないため、仮想小包を贈ることの全体的な使いやすさと利便性を選択の動機として挙げている。

国境を越えて仮想ギフトを贈ることができる今、モバイル画面を数回タップするだけで世界中に散らばっている友人や家族に紅包と金を贈ることができる。

しかし、伝統主義者にとっては物理的な贈与の行為が贈り物そのものよりも心が通っていて重要であるため、仮想ギフトユーザの大半は1970年代から1990年代の間に生まれた世代という傾向がある。それでも新旧のギャップを埋める方法はまだあり、シンガポールの DBS Bank が開発した QR コード e-hongbao のように、物理的な現金処理の手間をかけず紅包を贈る仕組みを保持するものもある。

この手法は試験段階で好評を博し、2019年の旧正月の期間中に、QR コードによる紅包に推定150万米ドルが注ぎ込まれた。

従来の贈り物の慣習が完全にデジタルギフトに取って代わられることはないだろうが、その慣習は、技術的なディスラプションが通常温かく歓迎される地域の多くの消費者にとって日常的になりつつある。

過去10年間、アジア諸国は完全キャッシュレス化に向けて大きく前進し、2020年のアメリカで推定された4.7%のキャッシュレス決済の増加と比較して、今年は新興アジア市場では30%の増加、モバイルウォレットとデジタル決済システムにおいては2,087億米ドルが費やされると予想されている。

これが今後10年間の兆候である場合、デジタル決済と仮想ギフトのトレンドは、e-ang bao とデジタルゴールドのみで終わることはないだろう。これらは2020年以降、デジタルディスラプションから発展する数々の新しい伝統の1つに過ぎない。

【via e27】 @E27co

【原文】

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