<ピックアップ> Creating a world of good: Microsoft launches the Global Social Entrepreneurship program
ニュースサマリー:米マイクロソフトは21日、社会起業家向けプログラム「The Global Social Entrepreneurship program」を発表した。同プログラムは環境・社会問題に挑む起業家を対象としたもの。応募対象は世界140カ国で、採択されると助成金をはじめ、Azure クラウドのクレジット12万米ドル相当 、GitHubやVisual Studioエンタープライズ版の技術提供を受けることが出来る。
また、MIT(マサチューセッツ工科大学)が運営する社会起業家マーケットプレイス「MIT Solve」とのパートナーシップも発表されている。
話題のポイント:マイクロソフトが新たに開始した社会起業家スタートアップに特化したインキュベーション事業は、既に同社が長年取り組んでいるMicrosoft for Startupsの一環です。
同社ブログでは、発表されたプログラム「The Global Social Entrepreneurship」にふさわしいクライテリアについて以下3点が挙げられています。
- 重要な社会的・環境的課題に対し、提示するソリューションがいかに解決へと導くか計測可能であり、
- 既にエンタープライズ企業への恩恵を前提としたプロダクト・サービスを展開しており、
- AIの事業応用に際し倫理的かつ責任ある使用にコミットメントを持っている
また、同社ホームページではさらに細かいクライテリアについて触れられています
- デジタルトランスフォーメーションを促進するテクノロジーソリューションを持つ
- 創業から7年以内である
- 年間総売り上げが25万ドル以下である
- ラウンドが、シード、シリーズA、B、Cのいずれかである
さて、プログラムが求める例には、上述したMIT Solveに採択された「OmniVis」が挙げられています。同社は、スマートフォンを通して感染病や秒検体の検出を低価格で行えるというもの。代表的なものでは、コレラ病原体の検査を数分で、かつ10ドル以下で実施できることで知られています。
また、別の例ではオーストラリアを起点に始まった海中のゴミ(マイクロプラスチック)を収集するデバイスの開発に挑む「Seabin Project」が挙げられています。同プロジェクトは2018年にTimes誌の「One of the World’s 50 Best Inventions」にノミネートされ、海上汚染対策テクノロジーの一社として国連から表彰を受けています。
社会起業家の流れは特に若者世代を中心に広がりつつある印象です。デロイトが2018年に公開した調査「Human Capital Trends 2018」では、86%のミレニアル世代が社会問題を中心にビジネスを考えたいと述べたと触れられています。
今回のマイクロソフトが率先するプログラムでは、最終的なエンタープライズのDX(デジタルトランスフォーメーション)へ繋がるミッションが根底にあると感じます。社会起業家がソーシャルインパクトを求めつつも、持続性のあるプロジェクトを作り出すプラットフォームとして、マイクロソフトの役割は重要となってきそうです。
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