不動産情報のデジタル化SaaSを提供するオープンルーム、シードラウンドでKVPから2,500万円を資金調達

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オープンルームのチーム。日本市場に特化したサービスに取り組むが海外出身メンバーが多い。最左が創業者で代表取締役の田沼豊寿氏。
Image credit: Open Room

不動産仲介会社向けのデジタル化・業務効率化 SaaS「Forest OCR」を開発・提供するオープンルームは27日、シードラウンドで KVP から2,500万円を調達したことを明らかにした。同社はシードラウンドで、これまでに約1,500万円を調達していた(調達先などは開示されていない)。

オープンルームは、ドイツ銀行やドイツ証券などで不動産投資などを担当していた田沼豊寿氏により2017年9月創業。不動産仲介会社で見込客に渡される物件広告チラシ(業界用語では「マイソク」と呼ばれる)の帯替え(不動産仲介会社が、客からの連絡先欄を元付けのものから自社=客付けのものに差し替える行為)をデジタル化する SaaS を提供している。

これまで、この帯替えの行為は、不動産仲介会社がプリントアウトしたオリジナルのマイソクを自社連絡先を書いたクリアシートに挟み、コピーして客に手渡すことが多かった。田沼氏によれば、この一連の行為だけで、不動産仲介会社の1店舗あたり月間40時間が費やされており、 Forest OCR はこのワークフローのデジタル化により業務効率化を狙う。料金体系はフリーミアムで、1店舗1ユーザの場合2,480円/月、1店舗10ユーザまでで19,800円/月。昨年12月末の正式リリース以降、約300社がサービスを利用している。

Forest OCR
Image credit: Open Room

Forest OCR を使うと、不動産仲介会社は見込客毎にお客様ページを発行することができる。顧客は自分の希望にあった物件のマイソクを帯替えされた状態で、PC などで直接受け取れる仕組みだ。顧客にとっては、不動産仲介会社に要望しておけば、物件が見つかる都度、店舗を訪問したり、ファックスしてもらったりする必要がない。不動産仲介会社にとっては、見込客来店時に物件の情報を即答する必然性がなくなる上、カスタマーエンゲージメントを確立することが可能になる。

オープンルームでは今回調達した資金を使って Forest OCR の OCR 技術の実装を強化、マイソクに記された情報のコンテキストを読み取ることでより広範な情報活用のあり方を模索する。また、これにより、不動産仲介会社にとっては、従来から存在する不動産流通機構の不動産流通標準情報システム「REINS」に依存しなくても、多くの不動産情報を収集・活用できるエコシステム形成を目指すことが可能になる。

オープンルームは、2019年10月から2020年2月まで実施された「RICOH ACCELERATOR 2019」に採択された。これはいうまでもなくリコーとのオープンイノベーションの可能性を模索するもので、現時点で具体的な協業内容は明らかになっていないものの、リコーが持つ複合機周辺の画像処理技術や文字認識技術を活用できる可能性は考えられる。同社はまた、グロービスが展開するアクセラレーションプログラム「G-STARTUP」の来月から開始される第2期で、「Incubate Track」に採択されている。

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