5Gでゲーム体験はどう変わる

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Image Credit:Mainframe Industries

ピックアップ:Mainframe Industries raises $8.3 million for cloud-native games

ニュースサマリ:2020年3月19日、クラウドネイティブなゲームを開発する「Mainframe Industries」がシリーズAで810万ドルを資金調達した。このラウンドはAndreessen Horowitz(a16z)が主導し、Riot Games、Maki.vc、Play Ventures、Sisu Game Ventures、Crowberry Capitalが参加した。

同社は2019年4月に設立され、クラウドゲーム用のオープンワールドソーシャルサンドボックスMMOの開発に取り組んでいる。ゲームの詳細は未公表。

クラウドゲームとは、インターネットに接続されたサーバーで全ての演算、処理をし、ストリーミング配信するゲームを指す。これにより、ユーザーが持つ端末の種類やスペックによらずハイエンドゲームを楽しむことが可能となる。

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Image Credit:docomoOfficial

話題のポイント:最近、docomoのCMで佐藤健さんが遊んでいることもあってか、ゲーム好きでなくても5G ✕ ゲームの関係性を把握している人が増えているのを感じています。しかし、5Gによって大容量・高速・低遅延通信が実現したとして、既存のゲーム環境でメリットを直感的に理解できる人は少ないでしょう。

そこで今回は、5Gによってゲームはどう変わるのか、享受するのは誰なのかを紹介したいと思います。

これからのゲームで外せないのが「クラウドゲーム」という形式です。従来のゲームは、インターネット通信で遊ぶ場合でも筐体内で映像に関する処理(レンダリングなど)を行う必要がありました。そのため筐体のスペック次第で処理が重くてカクカクしたり、そもそも動かなかったりと、特にPCゲームではハードウェアの選定からゲームがスタートします。

クラウドゲームは演算、映像に関する処理すら全てをサーバーで行い、ストリーミング配信でゲームをプレイします。つまり、筐体の役割は単なるディスプレイとなるため、どんなゲームでもスマホで遊べるようになります(何をストリーミングするかで例外あり)。ソフトウェアがハードウェアに依存する形を打破するのがクラウドゲームの凄さです。

ハードウェアから解放されたことで、「クラウドでしか実現できないゲーム」が誕生しようとしています。もう少し正確にいうと、これまで数十万円するPCを持っている人しかターゲットにならなかったため開発できなかったゲームを積極的に作れるように変わってきています。

実際、ティア1であるパブリッシャー(主に企画・販売を行う会社)のEA、Ubisoft、Capcom、Take-Twoなどがすでにクラウド用ゲームの制作に意欲を示しています。今回資金調達したMainframeはまさにクラウド専用のMMOを開発するベンチャーです。

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Image Credit:docomoOfficial

ただし、ゲームのラストワンマイルである5Gがなければゲーム会社は動かなかったでしょう。

実は、クラウドゲームの仕組み自体は新しいものではなく、日本にも失敗の歴史があります。その原因は、ゲームは動画のストリーミングと異なりバッファが許されず、当時は入力と出力のストレスを解消する通信手段がなかったことです。スマホで遊べる体験を向上させることでしか普及は見込めず、ゲーム会社が参入する理由とはなりませんでした。

プレイヤーから見たら一番大事なのは魅力的なタイトルが存在することです。裏でどのように動いているかはどうでも良い問題です。要するに、多くのゲーム会社が参入するかが正負のスパイラルを決定付けます。

正のスパイラルへ投入するゲーム業界は今後、主軸をクラウドゲームとして、5Gはターゲットプレイヤー人口増加を補助するラストワンマイルとして進化していきます。ゲームの主戦場に通信会社が深く絡んでくる点も見逃せないポイントでしょう。(docomoは3月18日からスマートフォン向けのクラウドゲームサービス「dゲーム プレイチケット」を開始SoftbankKDDIはクラウドゲームサービス「GeForce NOW」を6月〜夏に開始予定)

以上を踏まえると、ハイスペックマシンを所有する人にはクラウドゲームのメリットはほとんどないことがわかります。クラウドで処理されようが、自前のPCで処理しようが関係ありません。つまり、クラウドゲーム ✕ 5Gはすでにゲームにお金を出している人ではなく、ライトゲーマーに精巧緻密なゲームに触れる機会を享受するためのものになります。

とはいえ、ハイスペックマシンに慣れ親しむ人はゲーマーの中でも多くありません。PlayGigaによると、ゲームプラットフォーム「Steam」ユーザーの53%はトップパブリッシャーの最新AAAゲームをプレイするための推奨のハードウェア要件を満たしていないそうです。コアなゲームファンが集うコミュニティにいる人でさえ、半分以下の人しか十分なマシンを持っていないとすると、ライトゲーマーの括りは大きく捉えるべきでしょう。

以上を踏まえると、今回のクラウドゲーム ✕ 5Gへのパラダイムシフトは相当の範囲にインパクトを与えそうです。白黒テレビがカラーテレビに、アナログ放送が地デジに変わった時のような衝撃を体験するのはすぐそこの未来です。