クラウドファクタリング「OLTA」今度は地銀と提携ーー中小企業の資金繰り改善へ、山陰合同銀行と実証実験

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OLTAと業務提携した山陰合同銀行(同社ウェブサイトより)

ニュースサマリ:クラウドファクタリングを提供する「OLTA」は3月25日、山陰合同銀行との実証実験開始を伝えている。両社による共同事業開始を見据えてのもので、山陰合同銀行の顧客を対象に、OLTAが提供するサービス紹介を通じて顧客ニーズの吸い上げ、検証から開始する。4月1日から開始し、両社は今後、中小企業および個人事業主の資金繰り改善を目指したサービスの提供を目指す。

話題のポイント:2月に新生銀行との合弁会社設立という、2017年創業のスタートアップとしては異例の提携を発表したOLTAが早くも次の手を打ってきました。地銀との協業です。昨年6月にサービスのお披露目をした際にも口にしていた「中小企業の資金繰り改善」という本丸に、あっという間に近づいてきたわけです。攻めすぎ。

<参考記事>

今回提携することになったのは島根県・鳥取県を基盤とする地銀で、簡単に言えばクラウドファクタリング(売掛金請求書の買取)の顧客への紹介です。OLTAは独自のAIスコアリングで審査を劇的に短縮しているため、あとは利用したい顧客に繋げるだけでサービスは拡大していきます。

一方、まだまだファクタリング自体「なんだか怪しそう」的な誤解があるのも事実です。そういう意味で普段の付き合いがある金融機関からの紹介は随分とプラスに働くことが予想されます。

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OLTA利用者は中小企業が中心。数百万円の資金繰り課題を改善する(同社ウェブサイトより)

さて、こうなってくると気になるのはOLTAの全国制覇です。新生銀行、地銀と提携の範囲を広げたのであれば、47都道府県の地銀と全て提携する戦略がはっきりと見えてきます。そもそも昨年6月のインタビューでも「OLTAをホワイトレーベルとして提供する」と明言していましたから、明らかに予定路線なのでしょう。

ただ、同社に確認してみたのですが、意外と提携のスピードはそこまで早くないそうです。確かに新生銀行との合弁会社設立は一定の効果があったものの、やはりそこは金融機関。前例のない事業に慎重な姿勢を崩すことはないそうです。今回の提携についても前回の発表があってすぐにやりましょう!みたいな話ではなく、数年かけて信頼関係を得た結果、ようやく「実証実験」の段階に進んだとのことでした。

あともう一点、現在猛威を奮っている新型コロナウィルスの影響について聞いたのですが、やはり運転資金の確保という観点で問合せが増えているそうです。地銀再編の話題やこういった市況の大きな変化で、OLTAの成長がさらに角度を付けることになるのか、引き続きウォッチしていきたいと思います。

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