平時と戦時、それぞれのCEOの存在意義ーーAndreessen Horowitzが贈る10年分のリーディングリスト

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ピックアップ:Reading List for Leaders in Uncertain Times

新型コロナウイルによる経済損失はほぼ全ての業界にて現在進行形で進んでいる。そんな時代を生き抜くため、著名VCのAndreessen Horowitz(a16z)は同社が今までに執筆してきた、今の境遇だからこそ読むべき「Reading List」を公開した。

同リストは、同社が過去10年に渡りスタートアップへ向けたメッセージとして公開してきたアーカイブで構成される。特にリーダーシップ、メンタルマネジメント、戦略、また事業運営をトピックとしたものでまとめられる。以下では、リーダーシップに枠組みされるストーリーをまとめた。

Peacetime CEO/Wartime CEO (戦時と平時、それぞれのCEOの存在意義)

概要:2011年、GoogleのCEOがエリック・シュミット氏からラリー・ペイジ氏へと移り変わる際に、a16z創業者であるベン・ホロウィッツ氏によって書かれたもの。当時、あらゆるメディアは社交的であったエリックから、シャイなラリーへとCEOの座が移ることで、はたして彼がGoogleの「顔」となれるのかばかりに焦点を当てていた。しかし、ベンはGoogleのCEOがラリーに代わる意義は同社が「戦時」に突入する意思だと表現し、エリックもラリーも同様の考えを持っていると語っている。

所感:ここでいう「Peacetime」並びに「Wartime」は以下のような定義です。

Peacetime:Those times when a company has a large advantage vs. the competition in its core market, and its market is growing. In times of peace, the company can focus on expanding the market and reinforcing the company’s strengths.

Wartime: A company is fending off an imminent existential threat. Such a threat can come from a wide range of sources including competition, dramatic macro economic change, market change, supply chain change, and so forth.

「Peacetime」は、一言でいえば無敵状態。大きなアドバンテージを持ち、他社に影響を受けることが少ないため、何も気にせずマーケット拡大につき進める状態としています。対して「Wartime」は想定できないマクロ的な経済影響や競合他社による潰し合いが起きている状態と定義しています。

では、両者におけるCEOの存在意義はどういった点にあるのでしょうか。記事内では数多くの面で両者の役割を比較していました。以下はその一例です。

(1)Peacetime CEOは勝ち筋を知っている者。反して、Wartime CEOは勝ち筋と思われている常識を覆すことが出来る者

(2)Peacetime CEOはスケーラブルで、ハイボリュームな採用活動を実践する者。反して、Wartime CEO はPeacetimeの活動しつつも、レイオフを遂行できる者

(3)Peacetime CEOは企業カルチャーを定義する。反して、Wartime CEOは「War」にカルチャー定義をさせる

(4)Peacetime CEOは常に不測の事態に備えるプランを持っている。反して、Wartime CEOにはサイコロを振って運任せな気持ちも必要

(5)Peacetime CEOは市場拡大を試みる。反して、Wartime CEOは市場を勝ち取りに行く

Which Way Do You Run?  (不安に包まれた時、創業者がとるべき行動)

概要:2019年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、創業者特有の「不安」への対峙を示したもの。同氏がドットコムバブル時にCEOを務めていたLoudcloudで感じた、創業者としての不安心の経験ベースに話が構成されている。

所感:スタートアップ創業者にしか分からない、あらゆるケースへの「不安」が題材となっています。バリュエーションの変化による精神的不安や、自分の選択で雇った従業員の分野に対する理解度が想像以上に低かったことによる後悔から生じる不安。これらに対してどう立ち向かうべきなのかに対し、自身の経験を元に話が綴られています。印象的なのはベンのこの一文。

To this day, every time I feel fear, I run straight at it, and the scarier it is, the faster I run.(今の今まで、恐怖や不安を感じるたびに、ただそれに向かって、怖ければ怖いほど、早く走ってきました)。

First Rule of Leadership (リーダーシップ、最初で最後のたったひとつのルール)

概要:2017年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆された、リーダーシップの最初のルールについて記されたもの。1993年に、プロバスケプレーヤーCharles Barkley氏の著名なセリフ「 “I am not a role model. Just because I dunk a basketball doesn’t mean that I should raise your kids.”」からリーダーシップのあるべき姿が論じられている。

所感:記事内では、リーダーシップとは難しいものでなくたった一つのルール「 In order to be a great leader, you must be yourself.」を軸に話が展開していきます。つまり、立場が変われど自分自身で居られることが最大のリーダーシップであるという意味です。

実際、これは当然のように感じられますが、ベンはこの当然がなかなか難しいと伝えています。同氏はStanという人物を例に出してこの状況を説明しているのですが、マネージャーに昇格した途端「Stan」から「Manager Stan」へ変わってしまい、Stan自身が評価されていたにもかかわらずマネージャーという頭文字が付いてしまえば、そこにリーダーシップは生まれないという論理を展開しています。

Lead Bullets(銀の弾丸はない)

概要:2011年にベン・ホロウィッツ氏によって執筆されたプロダクト開発における必要不可欠な心掛けについて記されたもの。

所感:Benは良く起業家と以下のような会話をするとしており、ここに全ての本質が詰まっています。

Entrepreneur: “We have the best product in the market by far. All the customers love it and prefer it to competitor X.”

Me: “Why does competitor X have five times your revenue?”

Entrepreneur: “We are using partners and OEMs, because we can’t build a direct channel like competitor X.”

Me: “Why not? If you have the better product, why not knuckle up and go to war?”

Entrepreneur: “Ummm.”

Me: “Stop looking for the silver bullet.”

銀の弾丸は、あらゆる困難を一発で解決できるような素晴らしい方法のことを一般的に差します。同氏は、企業運営において銀の弾丸探し、つまりただひたすら「珍しいプロダクト機能」を追い求めるほど意味のないことはないと語ります。早い段階から銀の弾丸を探しにピボットを始めてしまうことで、マーケットの需要から製品の本質がずれていくことを意味しているのでしょう。経営者として、逃げ出したくなる時に自問自答すべき一文で締めくくられています。

“If our company isn’t good enough to win, then do we need to exist at all?”

いずれのストーリーも、ベンの実体験を基に話が構成されていました。哲学的でもあり、説得性のある、まさにAndreessen Horowitzらしさが詰まったリーダシップに関わる一覧と感じます。上述以外にも、下記2つのポッドキャストがリストに記載されていたので、ぜひ聞いてみてください。

次回は「On managing your own psychology and professional development」、メンタルマネジメントと成長についてお届けします。