不況の時にスタートアップする理由

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ピックアップStocks dive on Dow’s worst day since 1987, tech crashes and Bitcoin is no haven

ニュースサマリー:ダウ平均株価は10%以上の下落を見せた。たった1日でこれほどの下落幅を更新したのは、1987年の株式市場暴落時(ブラックマンデー)以来とされいている。またこれに対しニューヨーク連邦準備銀行が1.5兆ドル(約158兆円)を市場注入し救済に当たったと公表した。

またビットコイン市場は株式市場以上の暴落を見せている。ビットコインは金と同様に、既存金融市場と価格相関性の低い安全資産だと言われてきたが、ここ1カ月半のビットコイン価格の下落率は40%と、他の金融市場よりも大きな下落幅を記録している。

話題のポイント:Y Combinator創業者のポール・グレアム氏は自身のブログ記事「不況の時にスタートアップを始める理由」で以下のような言葉を残しています。

Which means that what matters is who you are, not when you do it. If you’re the right sort of person, you’ll win even in a bad economy. And if you’re not, a good economy won’t save you.

重要なのはいつやるかではなく、あなたが誰であるかだ。もしあなたが正しい人であれば、不況だろうとあなたは勝利を掴むだろう。その逆であれば、失敗に終わるだけだ。

今、まさにスタートアップしようとしている(あるいは転職を考えていた)人たちの中には動揺が走っているかもしれません。確かに国内にはIPOを延期する動きも顕著になってきました。上場やEXITを予定・検討している企業は計画変更を余儀なくされるケースもあるのではないでしょうか。

<参考記事>

ですがリーマンショックのような不景気がスタートアップにとって絶望的かと言えば、決してそうとは言い切れない面もあります。

グレアム氏のブログにも指摘あるように、不況という局面を成長又は変化のチャンスと捉えることも可能です。プロダクトの開発に集中しているフェーズのチームは市場の不景気は気にする必要はありません。買い手市場になればできるだけ運営費を安く抑えることも可能ですし、こういった大きく社会が変化するタイミングでいち早く優位性のある技術を開発し、新しい市場を発見する良い機会になるかもしれません。

ちなみに、2004〜2006年に誕生したFacebookやReddit、Twitterは創業から5年以内のタイミングでリーマンショックを経験しています。2008〜2010年にあった不況真っ最中の期間は、GithubやUber、Airbnb、Instagramが誕生した時期でもあります。もっと過去を振り返れば、マイクロソフトが誕生し事業を伸ばし始めたのは、石油危機と不況が重なる1975年ごろです。

国内に関して言えば、リーマンショックの打撃はあったものの、その後海外SNSの日本進出やスマートフォンの登場、その他クラウドやアドテクの発展により、国内のスタートアップ・エコシステムは10年で現在の規模にまで成長しています。

つまりスタートアップの発展は景気(資金)だけではなく、社会の変化と技術の発展により大きく影響を受けるということです。したがって、今日本のスタートアップがすべきことは、金融市場の動向を気にかけることではなく、これまで通り、次のテクノロジー・トレンドや参入タイミングを見分け、適切に事業を運営し続けることではないでしょうか。

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