ブロックチェーンスタートアップのGinco、プレシリーズAラウンドでDBJキャピタルから資金調達

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左から:Ginco CEO 森川夢佑斗氏、DBJ キャピタル投資部ディレクター 河合将文氏
Image credit: Ginco

東京を拠点とするブロックチェーンスタートアップの Ginco は、プレシリーズ A ラウンドで DBJ キャピタルから資金調達を実施したことを明らかにした。Ginco と DBJ キャピタルは共に調達額・出資額を明らかにしていないが、関係者の話を総合すれば数億円程度と見られる。Ginco にとっては、2018年に実施したグローバル・ブレインからの1.5億円のシード資金調達に続くものとなる。

コンシューマ向けの仮想通貨ウォレットアプリ(ソフトウェアハードウェア共)、マイニング分散型仮想通貨取引所(DEX)など、数々の仮想通貨に関するプロダクトを揃え、ブティック型のソリューションプロバイダの体を為してきた Ginco。BRIDGE が直近で同社のことを取り上げたのは約1年前であるが、それから BAAS(Blockchain as a Service)の「blockchainBASE」、仮想通貨取引所向けの「Ginco Enterprise Wallet」、楽曲著作権管理システムの「HashTune」などラインアップは増えた。

ブロックチェーンビジネスのマネタイズが難しい中で、その市場規模から最もインパクトが生まれやすいのが金融。社会全体への影響やつながりが大きいためセキュリティと規制が重要視される分野だが、ブロックチェーンを使ったサービスプロバイダ(例えば、仮想通貨取引所)が必ずしも得意ではな技術面を、業界の需要に先んじてキャッチアップしサポートしてきたのが Ginco の強みだ。最近は特に、取引所向けの Ginco Enterprise Wallet がビジネス的に好調の様子。

Ginco Enterprise Wallet はマルチシグ対応の暗号資産管理管理システムで、ホットウォレットとコールドウォレットの2種類に対応。一般的にセキュリティを高めると、それとのトレードオフで運用が煩雑化するのが IT 界の不文律だが、セキュリティを担保しつつ現場の負担を増やさない設計が同システムの特徴となっている。どの取引所に導入されているかは非公開だが、仮想通貨取引をしている人なら、間接的に Ginco の世話になっているユーザは少なくなさそうだ。Ginco CEO 森川夢佑斗氏は、年内に国内シェア3割を目指したいと意気込む。

今回、投資を実行した DBJ キャピタルにとって、ブロックチェーンスタートアップへの出資は初めての経験だ。投資判断を担当した DBJ キャピタル投資部ディレクターの河合将文氏は、BRIDGE のインタビューに次のように語ってくれた。

ブロックチェーンの可能性には常々から興味を持っており、デジタル情報による価値の移転ができる点に大きな可能性があると思っている。真正性、透明性、公平性を担保できることで、個人に対するエンパワーメントが高まるだろう。(中略)

通貨のデジタル化(仮想通貨)の次に、証券のデジタル化(セキュリティトークンや STO)が生まれ、今後は新しい金融商品が生まれてくることも期待される。特に中立性が求められるカストディ(デジタル有価証券管理)の機能を提供できるプロダクトを持っているところに、Ginco の大きな可能性を感じた。

DBJ キャピタルの親会社は、言わずと知れた日本政策投資銀行(DBJ)だ。DBJ の政策金融機関という性質上、DBJ や DBJ キャピタルには産業各方面から相談が寄せられることから、今回の出資はブロックチェーンの社会実装の観点からも Ginco の成長に一役買うことが期待される。DBJ キャピタルでは Ginco が持つ技術やソリューションを活用し、業界横断でのオープンイノベーションにも寄与したいとしている。

Ginco は、電通の GRASSHOPPER 2019年春バッチに採択。B Dash Camp Fall 2018 in 福岡 でファイナリスト、Tech in Asia Tokyo 2018のピッチセッション「Arena」で優勝している。

<参考文献>

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