「人もモノも運べる」タクシーの可能性、Lyftには12万人の応募が殺到

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ピックアップ:Lyft launches meal, grocery delivery service in several U.S. cities

ニュースサマリ:配車サービスを運営するLyftは15日、食料品やレストランフード、衣料品などの生活必需品をオンデマンドでデリバリーするサービスをローンチしたと発表している。同サービスを利用すればドライバーは収入の機会を以前と同じように得られる。一方で予約者は現段階では政府機関、非営利団体、企業、医療機関のみに限られているようだ。

同社が3月20日に広告を出して以来、全米より12万人のドライバーがオンデマンド型宅配サービスのドライバーに申し込みがあったという。米国最大のライドシェアマーケットであるニューヨークでは、同市が直接的にタクシードライバーを雇い、自宅から離れられない層に向け配達事業の推進を実施している。

話題のポイント:この混乱期において、ライドシェアに新たな役割が与えられようとしています。宅配です。元々UberEatsにあるようなフードデリバリはここ数年で大きく成長していたわけなので、それをモノに変えるだけのことです。

そこで思うわけです。なぜ今までなかったの?と。その答えはこの記事にありました。

直接配達のUber Directは、Uberが2015年に開始したUberRushと呼ばれるサービスをベースにしている。UberRushは最終的に2018年に閉鎖されてしまったが、Uberはその失敗を通して得た教訓を急成長中のUber Eats事業に活かしているという(参考記事:Uberでモノを運べるように、家族・友人間の個人間配達「Uber Connect」を公開)。

あったんですね。こうやって考えるとタイミングというのは大変重要で、宅配から始まってフードデリバリに特化し、そして今回のパンデミックを期に宅配に戻った、と。

そしてこの流れは日本にもやってきています。かなり限定的な動きですが、日本交通が国の特例措置で料理配達を開始しました。東京都内限定で店舗も超高級店のみ、期間も5月13日までと、完全にテストケースですがそれでもタクシーってこういう使い方できるんだというのを証明してくれています。

そしてこれも大変興味深いのですが、少し調べてみると実は日本でもタクシーを宅配に使おうという動きは過去にもあったようなのです。

そもそもタクシーには国土交通省の事業許可(旅客自動車運送事業)が必要で、これを受けた事業者は、お客さんを乗せる業務に特化するように義務付けられているそうです。一方、荷物は貨物自動車運送事業の許可が必要で、荷物とは分けているんですね。

しかし、数が多いタクシーを宅配などに使うアイデアは先のUberRushのように誰もが思いつくもので、実は、2017年9月に国土交通省は「貨客混載(乗客と荷物を一緒に運送する)」についての規制緩和を実施しているのです。クロネコヤマトが過疎地域のバスを使って実施した貨客混載の事例が記憶に新しいかもしれません。

一方、これは過疎地域に限定したものでした。今回のように都心ど真ん中、さらに進んで日用品や食事のような小口を「個人宅」まで配達できるとなると大きなゲームチェンジが予想されます。

多くの死者や仕事を失った人たちなどのことを考えると、とても前向きになれない未曾有の災害ですが、その後に残った世界にとってはこれまでにない、新たな価値観や生活を創造するチャンスなのだなと改めて思わされるケースです。

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