子どもたちの学びをAIで守るーー800教室が実現した新しいオンライン学習のかたち

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本稿はスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事です

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、政府からの外出自粛、休校要請が相次ぐ中で、学校、塾に通えない子どもたちが増加。そんな子どもたちの学習環境について不安の声が各所であがっています。

「学校が休みの中で、どうやって学習を継続すればよいのか」「休校の間の学習の遅れをどうカバーすればよいか」「塾にも通えなくなるので自宅で学習するしかないが、ちゃんと学べるか不安」

塾・予備校向けにAI先生「atama+」を提供するatama plusにも、2月下旬より塾・予備校、保護者の皆様から生徒の学習環境について不安の声をいただくようになりました。

なんとかして子どもたちが学びを継続できるようにしたい。

新型コロナウイルスの問題により、子どもたちの学びが止まりその子たちのその後の人生に大きな影響がでてしまうようなことは避けたい、今、自分たちにできることをやろう。そんな想いで、「いかにして塾における通常時の授業を自宅で行うオンライン学習で再現するか」という課題に対して塾の皆様とともに取り組んできました。

全国の塾・予備校で広がる、新しい授業スタイル

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これまでのAI先生による授業風景

塾・予備校での授業スタイルは、ここ数年で大きく変わってきています。

従来の授業の多くは、生徒全員が一斉に同じ講義を受け、その後演習問題を解き続けるというスタイルでした。すでにその単元は習得しているからもっと前に進みたいという生徒もいれば、逆に、理解できておらずつまずいている生徒もいます。つまずいても授業は次に進んでいってしまいます。

つまずいたまま次に進むと、習得していない状態で前に進んでいくことになるので、その単元の理解を前提とした授業・問題になった時に必ず行き詰まってしまいますが、「何がわかっていないのか」「次に何を学習するのがよいのか」を生徒が自分で見つけるのは困難です。

生徒一人ひとりあった学習を提供するためには、生徒それぞれの理解度・つまずきを正しく分析して、それにあわせて適切な単元の講義、演習問題などのカリキュラムを提案する、そんな「ティーチング」が重要です。

これはAIの得意な領域であることから、AI先生がティーチングを行い、一人ひとりに最適化した教材を作成する、そんな授業が広がっています。

しかし、AI先生によるティーチングだけでは学びは完結しません。

ほとんどの生徒にとって、学習を一人で続けることは大変なことであり、サポートしてくれる人の存在は不可欠です。生徒一人ひとりの目標に寄り添って伴走したり、モチベーションが上がるように褒めたり励ましたり、学習姿勢を見ながら勉強の仕方を助言したりする「コーチング」に、人間の講師の役割が大きく変化しています。

atama plusのAIがティーチングし、人がコーチングする。「AI x 人」の融合による新しい学習のかたちは、全国の塾・予備校1400教室以上で広がっています。

「AI×人」で実現する学習のかたちをオンラインで

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そんな「AI×人」の融合による学習環境を、自宅でも実現するためにどうすればよいのか。

atama plusでは、新型コロナウイルス感染に関するニュースが増えてきた2月19日のタイミングで、万が一に備えて生徒が自宅でも「atama+」の受講が可能となるWeb版の緊急開発を決定、プロダクトチーム総出で対応し、2月25日にリリースしました。

それまでは塾内の認証されたタブレットでのみ利用可能であった「atama+」が、自宅のパソコンやタブレット、スマートフォンのブラウザからでも利用できるようになったことで、生徒は自宅においても、AI先生によるオーダーメイドのティーチングを受けられるようになりました。

2月27日の政府からの休校要請に伴い、Web版についての塾からの問い合わせが急増。オンラインでのコーチングについても対応を急ぐ必要がありました。

塾の講師はこれまで、教室のタブレットにて「atama+ COACH」を通して、生徒がどの問題でつまずいているか、集中が続いているかなどをリアルタイムに把握して、コーチングを行っていました。

今回の事態に伴い、タブレットの手配が間に合わない塾・教室がある、また講師が教室に出勤できなくなる可能性があることから、講師が自宅からでも利用できるように「atama+ COACH」の機能を強化しました。さらにビジネスチームにて、これまで対面で行っていたコーチングを遠隔で実施するにあたり、どういう体制で行うのがよいか、どのようなツールを一緒に使用するのがよいか、保護者・生徒への説明をどのように行うか、などの仕組み・オペレーション構築を塾の皆様とともに進めてまいりました。

その結果、教室での授業と同様の学習体験を提供できるような環境が整い、「atama+」Web版を活用したオンライン授業が全国で広がりはじめました。「atama+」を導入する塾・予備校のうち、城南予備校DUO、栄光の個別ビザビ、Z会個別指導教室、能力開発センターなどの全国約800教室以上にて、「atama+」Web版を活用したオンライン授業が開始しています。

atama+Web版と電話を活用した新しい授業スタイル

これは、城南予備校DUOたまプラーザ校でのオンライン授業の様子です。

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生徒は自宅で「atama+」Web版を活用して、AI先生によるティーチングを受け、自分専用のオーダーメイドの学習を進めています。

それに対して講師は、「atama+ COACH」を通して、生徒がどの問題でつまずいているか、集中が続いているかなどをリアルタイムに把握。「苦労しながらも頑張って”二次方程式“を習得した」「”不定詞“の問題に行き詰まっており通常の2倍以上の時間がかかっている」「不正解時に解説をしっかり読まない傾向がある」などの生徒一人ひとりの自宅での学習姿勢をオンラインで確認し、電話やオンラインコミュニケーションツールを使用してのコーチングを行っています。

授業前には、「今日は二次関数を目標にがんばろう、前回間違った問題の解説をきちんと読んでいない時があったので今回はちゃんと読もうね」と声掛け。授業が開始した後は、生徒の学習状況に応じて、目標単元を合格したときには「おめでとう!」と声かけ、つまずいていそうなときにはサポートします。

授業後には「おつかれさま、二次関数の合格までもう少しだね。今日は計算ミスがいくつかあったから、明日はちゃんと計算式をノートにとることを意識しようね。」と振り返りを行います。

このように、オンラインでの授業においても、AIがティーチング、講師が「atama+ COACH」を見ながら電話やオンラインコミュニケーションツールを活用し、自宅で受講する生徒に対して遠隔でコーチングを行うことで、教室での授業と同様の学習体験を生徒に届けられています(通常授業とオンライン授業での学習効果調査の結果はこちら)。

atama plusでは、子どもたちが学びを継続できるよう、単にアプリを提供するのではなく「授業」を再現することに尽力しています。今後、新型コロナウイルスの問題がどのくらい続くかわかりません。今、私たちにできることは、通常の授業同様にオンラインの授業ももっともっと質が高いものにしていくことです。

一刻も早く事態が収束し、子どもたちが安心して学校、塾に通える日常に戻れることを祈りつつ、どんな状況でも「Wow students」な学びを提供することにatama plus一同全力で取り組んでまいります。

本稿はAI先生「atama+」を開発・提供するatama plus代表取締役、稲田大輔氏によるもの。Facebookアカウントはdaisuke.inada.10。彼らの事業や採用に興味がある方、彼らとの取り組みを希望する企業はこちらからコンタクトされたい

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