
ピックアップ:MasterClass Raises $100M to Let You Learn From Celebrities. Results Not Guaranteed
ニュースサマリー:著名な起業家やアスリート、俳優、映画監督、シェフ、カメラマンなど、様々な業界のエキスパートによるオンライン学習コースを提供する「MasterClass」が、シリーズEラウンドで1億ドルの調達を発表した。
今回の資金調達は、2018年にシリーズDで8,000万ドルを調達して以来約2年ぶりで、同社の累計調達額は2億3,600万ドルに及んでいる。同ラウンドに参加したのは、FidelityやOwl Ventures、IVP(Institutional Venture Partners)などを含む計6つの投資家だ。
話題のポイント:今回の資金調達は新型コロナウイルスの影響を背景としたオンライン学習マーケットの成長を要因としているようです。
MasterClassは、ビジネスモデルの観点でUdemyなどのオンライン講義プラットフォームやedX及びCourseraなどのMOOCsと比較されがちです。しかし著名人や成功者の直接的なスピーチを提供しているという点では、TED Talksの方がイメージとしては近いでしょう。
ビジネスや経済関連の講義としては、元Walt Disney CEOで、現会長を務めるボブ・アイガー氏や、元StarbucksCEOのハワード・シュルツ氏、経済学者のポール・クルーグマン氏などの講義を見ることが可能です。
これらの唯一無二のコンテンツこそがMasterClassの差別化ポイントであり、他のプラットフォームがすぐには真似できないコア・バリューとなっています。
データアナリティクスサイト「Statista」によれば、3月末時点で学校閉鎖により自宅待機を余儀なくされた生徒の数は全世界で13億8,000万人に及ぶといいます。季節的なインフルエンザによる学級閉鎖などの比ではない未曾有の教育危機だといえるでしょう。

もちろん現在(※5月末時点)の数はこれ以上だと考えられ、多くの教育機関がZoomやMicrosoft Teamsなどを利用しオンライン化に取り組んでいるのはご存知の通り。当然、政府運営の学校以外の民間教育機関も閉鎖やオンライン化移行を余儀なくされています。
下図はMasterClassと類似した動画学習サービスのUdemyが示す、コース加入件数の増加を表したデータです。米国やイタリア、カナダ、インドなどを含む世界11カ国の2月末から3月末の期間、コース加入件数が平均して250〜350%増加したことを示しています。

以上のような背景から、MasterClassは今回資本の増強を決断し、さらなるサービス拡大を見据えているのだと考えることができます。これまでもロックダウンを勝機とみて巨額の資金調達をしたエドテックスタートアップは数多くいるので、同社は少し出遅れている印象です。
同社は今回の調達資金を新しい講義配信モデルの開発・提供に費やしていく予定だといいます。具体的には、1週間に1動画といったような定期的な配信をベースにしたコースの提供や、音声のみの講義、ショートバージョン、AR機能などを追加です。
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