いま高まる「リモートカルチャー」の重要性 ーーオンライン前提社会における新たな企業ニーズ

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※本記事は.HUMANS社が運営するメディア「THE .HUMANS MAGAZINE」からの転載

ポストコロナの時代、いままでの生活が戻った時にふと、「ほんとうに出社する必要があるのか?」と感じる人が増えるかもしれません。

在宅ワークやオンライン出社の価値が認められ、従来より非出社比率が高まることも予想されます。するとリモートワーカー向けの企業文化「リモートカルチャー」を構築する必要性が登場してくるでしょう。本記事では2つのトピックを説明しつつ、関連スタートアップを紹介します。

「引っ越し(リローケション)」ニーズの高まり

ポストコロナ時代では、たとえば都市部に住むことを見直す人が出てくることも考えられます。東京は比較的安心ですが、たとえば米国の都市部は必ずホームレスが集まる場所があり、危険と隣り合わせ。なおかつ高い生活費を支払う必要があり、郊外へと引っ越すニーズが増えてくるかもしれません。

郊外へと人の移動が増えるとなると都市部地価の下落が始まります。地価高騰が止まり、住みやすい場所へと徐々に変わっていく。これまで世界人口は都市部一極集中になると予測されていましたが、しばらくの間は都市流入トレンドが止まるかもしれません。

いわゆる「人口均一化」「脱都市化」の流れです。Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ氏はブログで都市部の変化についてまさしく同様の予測をしています。ザッカーバーグ氏はテクノロジーによって起きると予測していますが、図らずもコロナによってトレンドが加速されました。

こうした背景の元、従業員が必ずしも出社する必要性を感じなくなり、住み心地の良い地方へ引っ越しすることを考え始めるでしょう。すると企業が従業員の引っ越し手配をするニーズが高まると予想されます。一種の福利厚生として手配する具合です。そこでベンチマークとなるのが企業向け引っ越しサービスを提供する「Localyze」です。

Localyzeは、従業員の海外移転サポートサービスを提供しています。従業員の移転は企業にとって高額な費用がかかります。一方、TechCrunchによると、毎年200万人もの人々が仕事のためにアメリカやヨーロッパに移住しているのが実情なのだそうです。

そこで同社はこのプロセスを合理化するために、移民手続き、引越し、住居に関するタスクを50%高速する自動化ソフトウェアを開発しました。また、外国人従業員に銀行、保険、交通機関などのサービスを紹介します。2019年8月時点で27社のB2B顧客と提携しており、8月は1万6000ドルの収益を上げたそうです。

Localyzeは移民市場に目を向けていますが、コロナの影響で国外移動は当分控えられるでしょう。他方、国内移動の方が持ち直すのが早いと考えられます。そこで、たとえば東京拠点の企業が満足度向上やリテンション率向上を目的に、地方移住ニーズのある従業員に住居を手配するような動きが出てくるかもしれません。クラウドワークスやランサーズ、OffersのようなプラットフォームがLocalyzeのようなサービス提供をしたら面白いのではないでしょうか。

メンタル崩壊を防ぐ「リモートケア」

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Photo by Polina Zimmerman on Pexels.com

リモート従業員の中には、孤独を感じることでメンタルに不安を持つ人が出てくることが予想されます。

例えば現在の状況では、直接会って上司の顔色を伺ってから案件を通すようなプロセスは難しくなっています。なぜなら、Zoomの入室ボタンをオンにしたら目の前に機嫌の悪そうな上司がいて、その場で説得するシビアな環境になっているからです。これは極端な例かもしれませんが、オンラインへと仕事がシフトすることによる、これまで見えなかったワークフローの危険性の一つです。

そこで参考になるのが「MentalHappy」です。同社はケアパッケージ「Cheerboxes」を提供し、社員が会社とのつながりを維持できるサービスを作りました。Cheerboxには、Amazonでは手に入らないようなスナックや本などが詰め合わせてあります。こうしたオリジナル性の高いグッズセットを定期的に送ることで、雇用主が従業員のメンタルヘルスを気にかけていることを示すのに役立ちます。

瞑想やフィットネスサービスの割引券をあげたとしても、必ずしも企業が従業員を「ケア」していることは感じられない課題を解決します。「企業ギフト」という新たな業態を開拓したのがMentalHappyです。

同じ文脈で人気を集めているのが有名人の動画メッセージを変えるマーケットプレイス「Cameo」です。VICEによれば、コロナの影響でハリウッドを中心とした有名人の広告予算は急に止まり、撮影も中止。家で時間を持て余している俳優やインフルエンサーが多発しているそうです。

そのためCameoを通じて自宅で撮影した動画を販売している人が増えています。Cameo自体は2C向けですが、従業員向け福利厚生サービスとしての提供価値を持たせれば、MentalHappyが狙う同じ層に刺さる可能性も十分考えられます。

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Photo by Riccardo Bresciani on Pexels.com

オンラインハラスメントという社会問題も深刻化しています。

こちらの記事によると、2017年の調査では「アメリカ人の5人に1人近く(18%)が、身体的な脅迫、持続的な嫌がらせ、セクハラ、ストーカー行為など、オンライン上で特に深刻な形態のハラスメントを受けたことがある 」とのことです。コロナ前のデータではありますが、直接誰かに触れる機会がなくなったことで、嫌がらせはインターネットへと場を移すことも考えられます。

Tall Poppy」はオンラインハラスメントに特化した従業員ケアサービスを提供している企業です。各ケースを審査した上で、正しい対処方法や法的処置の知識、セーフティスコアの計測など、あらゆるシチュエーションに対処してくれます。このようなオンライン化が進んだ社会における新たな犯罪から従業員を守るサービスにも注目が集まるでしょう。

ここまで「引っ越し」と「リモートケア」の2つを軸に、企業が考えるべきこれからのバーチャルカルチャーの姿の一端に触れてきました。ひとえにカルチャーと言っても、さまざまなアプローチやコンテンツがあるので解はいくつも挙げられます。今後は従来のようにマッサージ券や宿泊券、フィットネスサービスなどの福利厚生だけではなく、オンラインワーカーならではの需要に応える必要が出てきそうです。

本稿は次世代コンピューティング時代のコミュニケーションデザイン・カンパニー「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏が手掛ける「 THE .HUMANS MAGAZINE」からの要約転載。Twitterアカウントは@takashifuke。同氏はBRIDGEにて長年コラムニストとして活動し、2020年に.HUMANS社を創業した

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