シンガポールのバイオテックスタートアップRWDC、1億3,300米ドルを調達しシリーズBをクローズ——生分解性プラスチックの生産力増強へ

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Image credit: RWDC Industries

シングルユースのプラスチックは、地球にとって重大な脅威であり続けている。環境に優しいプラスチックの代替品を開発するために世界中で研究が進められており、すでにいくつかのイノベーターがブレークスルーを果たしている。シンガポールを拠点とする RWDC Industries は、使い捨て可能な生分解性プラスチックを開発している企業の一つだ。同社はその事業のため、大規模な資金調達を実施した。

RWDC は、Vickers Venture Partners、アメリカの化学品大手 Flint Hills Resources、スイスの年金ファンド CPV/CAP Pensionskasse Coop が共同でリードした1億3,300万ドルのシリーズ B (2段階)をクローズした。このラウンドには、アメリカ東海岸のエネルギー会社系年金ファンド Eversource Retirement Plan Master Trust や国際的 VC の WI Harper Group(美国中経合)などの既存の投資家も参加した。RWDC は1年前、シリーズ A ラウンドで Vickers と Eversource Retirement Plan Master Trust から2,200万米ドルを調達している。

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2015年、Roland Wee 氏 Daniel Carraway 氏が設立した RWDC は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)など革新的で費用対効果の高いバイオポリマー材料ソリューションを開発している。PHA は、植物由来の油や糖類を微生物発酵させることで生成され、商業的にも利用可能な生分解性バイオプラスチックだ。PHA は、温室効果ガスの排出を減らし、気候を改善するのに役立つ。また、内分泌かく乱作用のある化学物質や有害なマイクロプラスチック廃棄物を使用しないため、人間の健康と生態系の健全性を向上させることができる。

ジョージア州への展開

RWDC は、アメリカ・ジョージア州アテネに新工場を建設して生産能力を拡大するなど、PHA の需要拡大に対応するために資金を活用する。資金の一部は研究開発にも使われる。

今回の投資により、環境取り組みの改善と共に、人の健康に好影響を与える素材の供給により、顧客の生活を改善したいと考えるブラドオーナーのニーズに応えられるよう、生産能力を大幅に増強できるようになるだろう。(Carraway 氏)

主に使用済みの食用油から製造される PHA は、土壌、水、海洋環境で完全に生分解可能であることが TÜV Austria(オーストリアの公的検査会社)によって認証されており、毒性のある残留物は一切残されていない。

RWDC は2018年シングルユースのプラスチックを PHA に置き換えるとの提案を行い、Temasek 財団が開いた第1回「Liveability Challenge」で優勝した。RWDC は、外食産業、食品包装、消費財包装などのプラスチックに代わる材料の需要増加に対応するための計画を加速させる。

Vickers Venture Partners は、ライフサイエンス、テクノロジー、メディア、テレコム、消費者、金融サービスに投資するグローバルなアーリーステージ VC 企業だ。Vickers は2020年3月、5億米ドル規模の5つ目のファンドについて、2億米ドル以上を調達した

【via e27】 @e27co

【原文】

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