映像分析でテレビの〝視聴質〟を測定するTVision Insights、Spiral Capitalなどから10億円を調達【報道】

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Image credit: TVision Insights

【4日正午更新】投資家に三生キャピタルを追加。

テレビの上に置いたカメラからの映像の分析により、テレビの視聴者層やエンゲージメント度合いを測定できる技術を開発する TVision Insights が総額約10億円を調達したことが明らかになった。3日の日経が報じた。調達ラウンドは不明。このラウンドに参加したのは、Spiral Capital、DBJ キャピタル、みずほキャピタル、日本ベンチャーキャピタル、きらぼしキャピタル、三生キャピタルで、調達額には日本政策金融公庫、りそな銀行、みずほ銀行からのデットが含まれる。

TVision Insights にはアメリカ法人と日本法人があり、今回は日本法人による調達と見られる。公表されているだけで、アメリカ法人はこれまでに350万米ドル(シード、2015年12月)、680万米ドル(シリーズ A、2016年10月)1,150万米ドル(シリーズ A、2018年7月)、350万米ドル(SEC FORM D の届出による、2019年3月)、日本法人は2017年10月にデットで1.5億円を日本政策金融公庫・みずほ銀行・りそな銀行から調達している。

Crunchbase によれば、同社のアメリカ法人における、これまでの調達総額は2,470万ドルに上る(合計金額の差異はニュースソースの違いにより一部加味されていない調達があるか、換算に適用した為替レートの違いによるものと推測される)。

TVision Insights は、テレビの視聴率調査をより精緻に出す技術を開発している MIT 発スタートアップ。従来の視聴率(GRP)が測定していたのは、いわば視聴の量であり、ユーザがどのように視聴しているか、という視聴の質を測ることはできない。TVision Insights では、テレビの上にカメラ付きのセンサーをつけることにより、視聴者のターゲット層(viewability)・エンゲージメントの度合い(engagement)を特定する技術を開発した。撮影した画像はデジタル解析され、その画像が録画されたり、個人を特定する情報が記録されたりすることはない。

最近では、新型コロナウイルスの影響でドラマの再放送が増えた4月分の、「再放送ドラマ視聴質ランキング」を発表している

2015年6月の計測開始以来、TVision Insights ではこれまでに、関東800世帯、関西100世帯の一般視聴者にセンサーを設置し、地上波と BS の秒単位の視聴質計測を行なっている。同社では今後、年内をメドにデータ取得世帯数を数千世帯にまで拡大する計画。地上波と BS に加え、OTT 視聴(NetFlix、Hulu、AbemaTV などが該当するとみられる)への対応、複数台テレビの視聴質データ取得、得られたデータの多角的な分析が行える BI ツールの開発や改善に注力すると見られる。

2015年開催された「Microsoft Innovation Award 2015」で最優秀賞を受賞、2016年に開催された Rising Expo 2016 でファイナリスト。

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