大幅評価ダウンの中、それでもUberがキックスクーターLimeに出資する理由

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Paul Sawers / VentureBeat

電動スクーター企業のLimeは、Uberが主導するラウンドで1億7,000万ドルの資金調達を実施した。その他投資家にはAlphabetの投資部門であるGoogle Venture、Bain Capitalなどが名を連ねている。この取引の一環として、Uberは電動自転車サービスのJumpをLimeに事業譲渡し、同時にUberアプリとLimeの統合を「拡大する」としている。

ここ数カ月間で、新型コロナウイルスの感染拡大は都市交通に甚大な影響を及ぼした。パンデミックによる世界的なロックダウンは、スクーターやライド・シェアの需要激減を引き起こしている。3月にLimeは複数の主要市場から撤退し、Uberはカープール機能の提供を一旦停止している。それから2カ月の間、Uberは同プラットフォームの広範なネットワークを別の用途へと転用し活路を見出そうとしているが、Uber及びLime両社とも大部分の従業員を解雇(Uber, Lime)している。

今週初め、Uberが以前の評価額より79%低い5億1,000万ドルの評価額でLimeへの投資を検討しているとの報道が流れた。同投資は今後数年のうちに設定された価格でLimeの買収を約束するという、オプション取引になるといわれていた。今回のラウンドでは両社ともLimeの評価額を公表していないが、Limeがユニコーンの地位を失ったことはほぼ間違いない。

スケール

JumpとLimeを組み合わせることで、両者のマイクロモビリティ・プラットフォームがリーチできる範囲は大きく拡大する。Uberのネットワーク規模は大きいし、アプリ内へLimeへの適切な動線を引けば、Limeの利用者は増加していくと期待できる。

現在、世界中の都市が自動車利用の抑制及び歩行者や自転車、その他のクリーンな交通手段の利用増加促進を検討している。というのも、ロックダウン後は人々が電車やバスなどの公共交通機関を回避しより頻繁に自動車を使い始めると予想されており、それが交通渋滞や大気汚染を悪化させると懸念しているためだ。

つまりこれは、単にUberが既存投資先のLimeに大型出資をしたというニュースではない。注目すべきポイントは、あのモビリティ大手のUberが、クリーンな移動スタイルを促進し、ソーシャルディスタンスに貢献しようとしているという事実である。

今週初め、都市交通の減少によって影響を受けているモビリティデータプラットフォームMoovitを、Intelが9億ドルで買収していたことが明らかになった。後々、Moovitはパンデミック以前からずっと投資家を探していたという話も公になった。いずれにせよ、このタイミングでのIntelへの売却は合理的だと考えられる。

ほんの数日間でここまで大きな取引が2つも行われている。これはある種の兆候だと捉えることができる。すなわち、企業間の買収は今後数カ月の間に増加していくと予想される。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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