人気のビデオ会議アプリ「Zoom」は、中国の個人ユーザが同社のプラットフォームで会議を主催することを一時停止した。同社の中国の代理店の一つが今月この変更を発表した。
重要視すべき理由:アメリカに拠点を置く Zoom は、新型コロナウイルス感染拡大の中、自宅で仕事をし、会議を開く中国のビジネスパーソンにとって最も人気のあるアプリの一つとなっている。また個人がウェビナーを主催したりオンラインコースを提供したりするためにも広く利用されている。
- アプリ調査会社の Sensor Tower によると、このアプリは2月中旬以降、中国において、Apple のiPhone App Store のビジネスカテゴリのランキングで4〜7位にランクされている。
- 中国の最も重要な政治イベントである全国人民代表大会が今月後半に延期されたことに伴い、個人ユーザに制限がかかることとなった。この大会は通常、インターネットの規制や制限が付き物である。
詳細情報:Zoom は5月1日以降、中国の無料ユーザによる会議の開催を停止した。Zoom の中国でのパートナーで zoom.com.cn を運営する Shanghai Donghan Telecommunications(上海東涵通訊)は、個人ではサービスを購入することはできなくなったと述べている。
- 上海に本拠を置く同社は、ウェブサイトでの新規ユーザ登録を一時停止したと述べている。企業がサービスのライセンスを購入するためには、同社の営業担当者に連絡する必要がある。
- 電話対応してくれた女性は、個人のユーザ登録に関するこの制限は「規制当局の要件」によるものだと話したが、詳細は明かさなかった。
- 彼女によると、同社のサービスを購入するには、企業は中国の市場規制当局が発行したビジネスライセンスを提供しなければならない。料金の支払は法人口座からの送金のみ可能だ。
- 同社のウェブサイトには、無料ユーザは個人・企業に関わらず会議に参加することができると記載されている。
- Zoom の中国のパートナーで Zoomvideo.cn を運営する Shanghai Huawan Telecommunications(上海華万通信)は、ユーザ登録もサービス購入も法人ユーザのみ可能としている。だが TechNode(動点科技)の調査によると、サービスの購入前に企業情報を綿密に精査することはしていないようだ。
- Zoom のアメリカ本社が決定を下したのかどうかは不明だ。メールでコメントを求めたがまだ返信は来ていない。
背景:中国の Zoom ユーザは9月に国内でのサービスがブロックされた後、Shanghai Donghan(東涵)および Shanghai Huawan(華万)が提供する Zoom の現地版などに切り替え始めた。
- Zoom は製品開発を中国に依存しているため、国外市場で厳しい調査を受けている。中国人移民である Eric Yuan(袁征)氏が設立した同社は、2011年の創設以来、製品開発チームの拠点の一部を中国に置いている。
- 同社は4月、一部のユーザの通話を〝誤って〟中国のデータセンター経由で転送したことを認めた。その結果、会議のセキュリティが中国の監視に対して脆弱になるのではないかと懸念する外国の政府機関や企業からの反発を受けている。
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