両刃の剣、Huawei(華為)が世界に広げる「Smart City Project」とは

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ピックアップ:Huawei says its surveillance tech will keep African cities safe but activists worry it’ll be misused

ニュースサマリー:英国がHuawei(華為)との無線インフラ整備で合意したことを受け、一部の米国上院議員は決定を下した英国議会に対し書簡を送付している。これは米国が問題視している「Huaweiによる中国政府のスパイ活動」疑惑を発端としている。

重要なポイント:Huaweiは中国国内だけでなく、世界50を超える国の200以上の都市や地域にスマートシティー建設ソリューションを提供している。特にアフリカでは、約15カ国の政府に監視ツールを提供する主要プロバイダーとなっている。この件について、セキュリティーや人権といった観点で、欧州・米国などは批判的な声を上げている。

詳細:「Safe City Project」は、地方自治体にIoTデバイスを中心としたさまざまな最新プロダクトを提供し、警察活動の改善を目的としたHuaweiの公共安全ソリューションで、多くはアジアまたはアフリカの中所得層国で行われている。

・Huaweiによれば、Smart City Projectを実施した地域では犯罪が数~数十パーセント減少すると発表されている。しかし、現在このSmart City Projectに対しては、例えば、顔やナンバープレートの認識やソーシャルメディアの監視といった機能が、人権を損なうのではと懸念されており、Huaweiによる国際的なスパイ活動、情報漏えいに対する問題と合わせて非難の的となっている。

・また、HuaweiはSmart City Projectにより犯罪が低下したと発表しているが、現地警察などの発表や統計の数字と乖離しているとされている。例えばパキスタンでは、防犯カメラの半数が故障しているとの報告もあり、そのため、実際には犯罪が低下しているといえないケースもああるなど、同社の発表する数字の信頼性は不明点が多い。

・債務リスクが高い国にもサービスを提供している点も疑問が残る。例えばケニアでは既に、中国に対して多額の債務があり返済が困難になりつつとされているが同社はプログラムの提供を進めている。

背景:これらの懸念もありつつ、一部の国(主にアフリカ)では紛争や暴動テロ発生への懸念から、こういったツールに対する需要は高まっている。

執筆:椛澤かおり/編集:増渕大志

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