エルピクセル、元取締役が約30億円横領容疑で逮捕——事業継続に向けサイバーダインやジャフコらが追加支援、TomyK鎌田氏も代表取締役に

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医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」
Image credit: Lpixel

フジテレビ共同通信の報道によれば、会社の口座からおよそ29億円を着服した疑いで、エルピクセル元取締役の志村宏明容疑者が逮捕された。逮捕容疑は2018年4月~2019年1月、会社の口座から複数回にわたり、自身の口座に計約29億4千万円を送金・横領した疑い。志村容疑者は当時、経理担当者として会社の資金を1人で管理しており、着服した金の大半を FX 取引に充てていたとされる。

着服金額は最終的に33億円余りに上るとみられ、警視庁は余罪を追及している。

エルピクセルは2014年3月、東京大学の研究室メンバー3名が設立した、ライフサイエンス領域の画像解析を手がけるスタートアップ。医療画像診断支援技術「EIRL(エイル)」の研究開発に注力し、東京大学や国立がん研究センターをはじめ複数の医療機関と連携。研究者を対象とした AI を活用したクラウド型画像解析プラットフォーム「IMACEL(イマセル)」、科学論文の不正画像自動検出システム 「ImaChek(イマチェック)」なども開発している。

エルピクセルは2018年10月、CYBERDYNE(東証:7779)、テクマトリックス(東証:3762)、富士フイルム(東証:4901)、SBI インベストメント、CEJ キャピタル(CYBERDINE の CVC)、ジャフコ(東証:8595)から約30億円を調達、2016年10月にジャフコ、Mistletoe、東レエンジニアリング、個人投資家から約7億円を調達していた。エルピクセルの売上高は不明だが、調達金額の大部分が横領された可能性がある。

なお、この事態を受けてエルピクセルはこれまでの対応を声明で明らかにしている。経営執行体制の強化に向け代表取締役を2名体制とし、創業者で従来からの代表取締役である島原佑基氏に加え、エルピクセル起業時のメンターだった TomyK の鎌田富久氏が代表取締役に就任。新任で常勤監査役を置いた。第三者割当とコンバーチブルノートにより、CYBERDYNE、ジャフコ、TomyK から約10億円調達したことも明らかになった。今後の事業継続に向けた資金不足を補うものとみられる。

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