ポッドキャストの97%は収益ゼロ、それでも「Podhero」が挑戦する新しいサブスクモデルとは

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Image Credit : Podhero

ピックアップ:Meet Podhero — The Easiest Way to Support Podcast Creators

ニュースサマリー:ビジネスチャットサービス「HipChat」を創業し、Atlassianに売却したことで知られるPete Curley氏は5日、新サービス「Podhero」のリリースを発表した。同サービスはポッドキャストのクリエイターサポートに特化したサブスクリプションサービス。料金は月額5.99ドルとされているが、内訳は4.99ドルが配信者へ還元され、1ドルは運営側の費用と明示している。同社は100万を超えるポッドキャスト配信者と提携しており、ユーザーは制限なく利用することが可能だ。

話題のポイント:コメディアンのジョー・ローガン氏がSpotifyと1億ドルの専属配信契約したことは、ポッドキャストの可能性を探る上でも大きな出来事でした。日本においても、ポッドキャストスタートアップは増えつつあり、最近では「Standfm」など配信者とリスナーの繋がりを重視したプロダクトが人気を集めつつあります。

しかし、ポッドキャスト配信者の収益構造はまだ未成熟な点が多く残されています。PodheroのMediumによれば、全ポッドキャスト番組の内97.2%は未だに収益ゼロな状況下にあるそうです。つまり、ポッドキャストのみで上手く収益化できている配信者は全体の2.8%で、これらも課金というよりは主に広告・スポンサーが主体となっているようです。

そもそも、「お金を支払ってポッドキャストを聞く」という概念はまだ根付いていないように感じます。Netflixなど、映像コンテンツとサブスクに違和感は感じませんが、ポッドキャストでは既に無課金でリッチコンテンツが充実している状況もあります。また、コンテンツ販売を目的に運営をするより、メイン事業との相乗効果を狙ったものが現状でメインを占めていると感じています。

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著名VCのa16zが提供するポッドキャストには良質コンテンツが多い

もちろん、Patreonなどを利用して個別のコンテンツに対し課金制を導入している配信者もいます。しかし、ユーザー視点で考えれば、各コンテンツごとに課金するのは望ましい体験とはいえないでしょう。

Podheroでは1ドルを運営費として徴収し(Mediumには「これがなければクリエイターを支援できない」と書いています)、ユーザーの課金額4.99ドルが登録している全クリエイターへ配分される形を取っています。配分の方法については、ユーザーはアプリ内で「サポート」したいクリエイターを登録でき、その人数に応じて4.99ドルが分配される、という仕組みです。

リスナーにとってみれば、既に月額の課金額は決めていて、また気軽にクリエイターのサポートをすることが可能なため、ポッドキャストを購入するかどうかの迷いを取り払うことが可能です。一方で、一人のユーザーがサポートするクリエイターの数を多くしすぎると、分配金は減ってしまう、というデメリットもありそうです。

Image Credit : Podhero

また、仮にSpotify等で無料配信をしていたとしてもPodheroへ登録することで無料コンテンツを継続して配信しつつ、ユーザーからのサポートを受け取れるようになります。ここで興味深い点は、配信者がPodhero限定のコンテンツ作成を強制されていない点です。

つまり、今まで通り自身の好きなプラットフォームで配信を続けつつ、新たな収益源としてPodheroを利用できるということです。これは、Podheroが「あるコンテンツを聞くためのサブスク」という立ち位置ではなく、「ピュアに配信者を応援したい」ユーザーの需要を叶えるいわば寄付のような形式をとっていることが理解できます。

同社の調べによれば、92%のポッドキャストリスナーが資金的サポートにリターン(限定配信など)を求めていないとしています。もちろん、各コンテンツごとの課金となれば別でしょうが、月額5.99ドルで自分の好みの配信者を応援できるのであれば、そこまで壁は高くないといえます。

今回Podheroが提唱した、新しいポッドキャスターとリスナーのあり方は非常に理にかなっていると思います。また、Podhero上にまだ載っていないチャンネルがあったとしてもリスナーが直接Podheroへ申請することで、サポート対象へと切り替わるそうです(要審査)。そのため、配信者はファンさえいれば、気が付かないうちに収益源が生まれているという状況も生まれるかもしれません。