決裁者マッチングSaaS「ONLY STORY」運営、初の外部調達で約3億4,500万円を資金調達——XTech V、エン・ジャパン、鉢嶺登氏らから

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オンリーストーリーの皆さん
Image credit: Only Story

決裁者マッチングSaaS「ONLY STORY(オンリーストーリー)」を運営するオンリーストーリーは15日、約3億4,500万円を調達したと発表した。ラウンドは不明だが、同社にとって、初の外部資金調達となる。このラウンドに参加したのは、XTech Ventures、エン・ジャパン(東証:4849)、鉢嶺登氏(オプト創業者、オプトホールディング代表取締役会長)。なお調達金額には、複数金融機関からのデットファイナンスが含まれる。

本ラウンドでは、XTech Ventures とエン・ジャパンが共にリードインベスター。今回の調達と合わせ、エン・ジャパンの社長室室長である緒方健介氏がオンリーストーリーの社外取締役に就任する予定。

オンリーストーリーは、現在代表取締役を務める平野哲也氏が起業支援会社でインターン後、2014年2月に設立。決裁者に直接繋がれるマッチング支援 SaaS を提供している。平野氏の家系には経営者が多く、幼少の頃から、事業における一番の課題が営業力と販売力の拡大であることを痛感していたことが背景にある。

営業における一番の課題は、狙った会社の狙った人のところにアプローチできないこと。社長をはじめとする決裁者に直接繋がれないことで、機会損失している営業努力は少なくない。「強いい(つよいい=強くて、いい)会社を集め、決裁者に直接繋がれる仕組みを作れないかと考えた。それが ONLY STORY を始めた理由。(平野氏)

ターゲットとする具体的な企業や組織(アカウント)を明確に定義した上で戦略的にマーケティング活動する手法を ABM(Account-based Marketing)と呼ぶ。オンリーストーリーではこの考えをさらにエンハンスし、会社の創業者をはじめとする決裁者に対して戦略的にマーケティング活動することを EBM(Entrepreneur-based Marketing)と呼んでいる。

「ONLY STORY」
Image credit: Only Story

ONLY STORY の各企業のページには、創業者のバックグラウンドや企業のビジョンが紹介されており、そのストーリーを元に共感が持てた企業の決裁者に対して商談や売り込みをかけられる。受け止める企業にとっては飛び込み営業に合う煩しさを回避しつつ、目新しい提案を受けるセレンディピティを確保できると言えよう。ストーリーをもとに企業や人をつなげようとする試みは、手前味噌ながら先頃リリースされた PR TIMES の「STORY」はもとより、先週リブランドした「talentbook」やモバイルアプリの「yenta」などにも見られる。

一般的に B2B のマッチングサービスでは、情報の対称性というハードルを境目に、一方に需要家がいて、他方に供給者がいることが多い。これはリクルートの提言してきた「リボンモデル」に他ならないだろう。しかし平野氏によれば、ONLY STORY ではそれ以上の効果が期待できるという。ONLY STORY のユーザ企業は、商品やサービスを買う側にもなるし売る側にもなり得るからだ。平野氏はこの状況をユーザ双方が売る側にも買う側にもなり得る「メルカリ」になぞらえ、B2B サービスでありながらネットワーク効果が期待できる点を強調した。

ONLY STORY はフリーミアムで提供され、現在登録されている決裁者の人数は無料ユーザと有料ユーザを合わせ2,500名程度。自社の紹介は無料ユーザでも公開できるが、ONLY STORY 上に掲出された企業に連絡を取るなどのアクションには、月額15万円または30万円(金額により提供されるオプション機能が異なる)を支払って有料ユーザになる必要がある。有料ユーザは、前年同月比で毎年2倍のペースで増えているそうだ。

ONLY STORY が一定の成功を見ている背景には、ユーザに対するカスタマーサクセスの力があるのかもしれない。同社人員約50名の約半数はカスタマーサクセスに割かれ、ユーザである決裁者には定期的なフォローアップが提供される。情報露出のさせ方、他企業へのアプローチ手法などが指南され、それがユーザ満足度の高さやチャーンレートの低さに結びついているようだ。

今回調達される資金もその多くは、カスタマーサクセスをはじめとした人員の拡充に使われる予定。同社では、企業に対し、CRM や MA といった既存顧客のケアに使う従来ツールに加え、新規顧客(リード)を獲得するツールとして ONLY STORY を広く浸透させることを目指す。

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