書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」運営、同業世界大手「getAbstract」と提携——外国語書籍の要約配信サービスを強化

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Image credit: getAbstract、情報工場

書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を運営する情報工場は25日、スイスを拠点に書籍要約サービスを提供する getAbstract と提携したことを明らかにした。情報工場は、日本国内における getAbstract サービスの販売に着手し、将来的には、getAbstract 発行の要約の日本語配信サービスの提供も視野に入れるとしている。

情報工場の創業は2005年。企業のエグゼクティブやマネージャー向けに、さまざまな分野から選んだ書籍のハイライトを、出版社や著者許諾のもとダイジェストにまとめ配信するサービス SERENDIP を提供している。個人契約もあるものの、ユーザの多くは上場企業を中心とした法人契約で現在250社超。サービス名の通り、新しい書籍への出会いをもたらすサービスとしてファンを集めている。

一方、getAbstract は1999年の創業。ビジネス書や記事、動画をコンパクトに要約して配信するサービスを英語、ドイツ語など7ヶ国語で展開している。要約された書籍サマリーの数は2万本以上で、会員数は1,000万人以上。Fortune 500 の3分の1以上の企業で導入されているという。

今回の提携ではまず、情報工場が自社の既存・新規顧客向けに getAbstract のサービスをそのまま販売する。料金は本家から直接購入する場合と変わらず、情報工場が日本国内で販売代理を行うような位置づけだ。一方、getAbstract で人気を得ている外国語書籍については SERENDIP でも日本語でダイジェスト提供する予定(SENRENDIP では以前から週に一度、外国語書籍のダイジェストを提供していたが、それを強化する形)。また将来、getAbstract のサービスそのものの日本語化も両社で始める計画だ。

この種の提携の場合、将来的に海外企業が自ら日本法人を作り、日本市場に乗り込んでくる可能性は否めない。サービスの名前は提携した日本企業が既に広めてくれているので、海外企業が最初から自ら市場開拓するよりも、事を有利に進めることができてしまう。この可能性について、同社の取締役で執行役員の冨岡桂子氏は、BRIDGE の質問に次のように答えてくれた。

SERENDIP と getAbstract のサービスは、一見似ているように見えて競合しない。SERENDIP はユーザがまだ出会っていない書籍を紹介することで、視野を広げるきっかけにしてもらうサービス。一方、getAbstract は takeaway(その書籍から得られる知見)がまとめられているなど、数多くの書籍から時短でサマリーが読めることに主眼を置いている。

また、書籍のダイジェストサービスは、企業に導入しても直接的な費用対効果は見えづらいものなので、法人契約を取るのは簡単ではない。販売ノウハウを身につけるまでには時間がかかるため、これが参入障壁になる。getAbstract にとっては情報工場と組んだ方が有利だ。日本語には翻訳されていないホットなグローバルトレンドを知りたい日本の顧客層に、我々はうまくリーチできると思う。

情報工場では getAbstract と提携したことを受けて、日本ユーザ向けに getAbstract の2ヶ月間無償提供を実施する

getAbstract に対しては以前、楽天(東証:4755)がマイノリティ出資を行ったことがある。当時は、楽天による電子書籍リーダー「Kobo」の買収、電子図書館サービス「OverDrive」の買収などと関連があったのかもしれないが(OverDrive は後に、PE ファンド大手 KKR に売却されている)、getAbstract が日本市場に自ら参入する意図を持っていたと考えるのは難しいかもしれない。

一方、まさに本家の getAbstract と同様に時短で情報獲得できることに主眼を置いた、日本版 getAbstract の異名を持つ Flier は創業から3年後の2016年に電子書籍取次大手のメディアドゥ(東証:3678)に買収されている。ユーザ同士のソーシャル投稿により書籍のディスカバリー体験を提供する「Booklap(ブックラップ)」は2014年にサービスを終了している。

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