時価総額「トヨタ超え」のテスラ、その今を紐解く

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Image Credit : brandude87

ピックアップTesla becomes most valuable automaker, worth more than GM, Ford, FCA combined

ニュースサマリー:6月10日、イーロン・マスク氏がCEOを務める電気自動車企業「Tesla」が、時価総額でトヨタ自動車を抜き世界で最も価値のある自動車企業になった。同社の現在(※執筆時:日本時間6月11日23時)の時価総額は約1900億ドルで、トヨタは約1823億ドルとなっている。以下はTeslaのファンがGoogle及びYahoo!の情報を元に作った自動車企業の時価総額ランキングのスプレッドシートである。

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Image Credit : brandude87

現在のTeslaの時価総額は、ランキング3位から5位に位置付けるフォルクスワーゲンとホンダ、ダイムラーの三つの企業の時価総額の合計を超えている。同社は2017年時点では上位20にも入っていなかったが、2019年後半からの急激な株価上昇から勢いを伸ばし、ついに評価額で世界一位の座に上り詰めた。

今回のTesla株上昇の理由は、米国の株式市場(ナスダック)の好況や、Teslaの新しい電動トラック「セミ」の量産計画に関する情報リークなどの要因を背景としている。

話題のポイント:自動車業界にとっては、様々な意味で歴史的な瞬間です。まず第一に、ハイブリッドなどではなく完全電気自動車を製造するメーカーが世界一の座に着いたという事実は大きなインパクトがあります。2003年にTeslaが創業した当時、電気自動車は実現しないという声が一般的でしたが、同社はその固定観念を覆しました。

以下はTeslaのここ5年の株価です。上昇の度合いを見るとバブルに近い印象を持つ人も少なくないのではないでしょうか。実際イーロン・マスク氏も自身のTwitterにて「Teslaの株価は高過ぎる」とツイートしたことが話題になりました。

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Image Credit : Yahoo Finance

しかし、Tesla社のこれまでの実績及び今後のプランなどを考慮すると、現在の高値も過小評価とすら思えてくるでしょう。そう考えられる理由は主に二つあります。一つ目は、同社の電気自動車が、既に成長市場で独占的地位を確立しているという点。二つ目は、同社の事業多角化、すなわちエネルギー企業化及びソフトウェア企業化計画にあります。

まずTeslaが米国の電気自動車マーケットでどれほどのシェアを誇っているのかを見てみましょう。以下のグラフの中で、2018年及び2019年の棒グラフの中で圧倒的な割合を占める黄色部分がTeslaのモデル3の販売台数です。どちらの年でも約15万台を売り上げており、既にマーケットをほぼ独占していることが分かります。

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Image Credit : AFDC

同様の現象が既にヨーロッパ中国でも起こっているため、世界中で再現されるのは時間の問題かもしれません。2019年のTeslaの総販売台数は前年比5割増の約36万7,500台でした。首位のトヨタの同年の販売台数は約132万9000台と未だ大きな差がありますが、イーロン・マスク氏は2021年に車両生産は110万台、2023年には300万台を突破すると宣言しています。

ウォールストリートの金融アナリストであるBerstein氏は、Teslaの競争優位性に関して以下のようにコメントしています。

はっきり言ってしまえば、今後の電気自動車市場で競争が激化することはないだろう。我々は現時点から2022年までに米国で生産される全ての電気自動車を調査している。分かったことといえば、Teslaには目に見えた競争相手が存在しないということだけだ。

Teslaは近々、新プロダクトであるモデルYや新型ロードスターの販売を開始する予定です。また一般乗用車の域を超えて、Cybertruck(サイバートラック)やEV大型トレーラーSemi(セミ)などの製品の生産も発表済みです。

数年後には、Teslaを自動車会社と呼ぶことはできなくなっているかもしれません。というのも現在、同社は電力企業として家庭向けのソーラーパネルや蓄電池、エアコン、企業及び電力会社向けの蓄電池などを提供しているのです。

そして電力エネルギー取引プラットフォームの導入を通し、消費者がプロシューマー(電力生産消費者)となり、より効率的に電力が利用されるコミュニティの形成にも成功しています。オーストラリアではこのプラットフォーム事業で既に成功しており、現在同社は英国で電力会社になる免許を申請し、同様のビジネスを展開する準備をしています。

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Image Credit : Tesla

加えて、TeslaはMaaS(Mobility as a Service)市場への参入も表明しています。同社は2019年4月、”無人電気自動車版Uber”ともいえるロボタクシー事業の展開を発表しました。自動運転に対しては一時期に比べ懐疑的な意見が多く散見されるようになりしたが、大方の反対意見と異なり、イーロン・マスク氏は2020年末には完全自動運転が実現すると発言しています。

TeslaはUberやLyftに同社の電気無人自動車を利用させるのではなく、同社のプラットフォーム内でサービスを完結させる予定です。このプランが成功すれば、それこそUberやLyftが駆逐されるという今では考えもしないシナリオが現実のものとなるでしょう。

以上のように、Teslaは電気自動車の成功を足掛かりに、次々と革新的な事業多角化を進行させています。同社のビジネスの全容を知ると、同社が単なる自動車企業ではないということは簡単に理解できます。もちろん同社の時価総額の上昇は一時的なバブルもしれません。生産台数でいえば、未だトヨタとは大きな差があることも事実です。

しかし、自動車企業としてTeslaが本当の意味でトヨタに勝ったといえる日が来るのもそう遠くない気がしています。単純な利益高や総販売台数がトヨタを超えたときかもしれませんし、またはモデル3の販売台数が現在世界で最も売れている車「トヨタ・カローラ」のそれを上回ったときかもしれせん。同社が日本国内の自動車産業にとって最も大きな脅威であることは言うまでもありません。

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