チャレンジャーバンクから正式な「銀行」へーー米Varoが国法銀行認可を取得

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Image Credit : Varo

 

ピックアップVaro raises $241 million as it aspires to become the first fintech to become a national bank

ニュースサマリー:6月3日、米国サンフランシスコ発のチャレンジャーバンク「Varo」は、シリーズDラウンドにて2億3,000万ドルの資金調達を実施した。かつ同社は米国のフィンテック企業では初の、連邦政府の米通貨監督庁(OCC)を受けた国法銀行になろうとしている。

本ラウンドに参加したのは、Gallatin Point CapitalやThe Rise Fundを含む6つの投資家。同社の累計調達額は今回を含めると約4億2,000万ドルに及ぶ。また本調達資金は、新プロダクトの開発及びサービス拡大に投下されるという。

TechCrunchによれば、Varoの口座開設数は現時点で約200万アカウントで、2020年初めと比較して60%の上昇を見せているという。さらに昨年同時期と比較し、Varoを通した消費は1.5倍に、預金額は3.5倍に上昇している。

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Image Credit : Varo

話題のポイント:米国には2種類の商業銀行があります。一つは州政府からの認可を受けた州法銀行で、もう一方には連邦政府からの認可を取得した比較的少数の国法銀行と呼ばれる銀行が存在しています。

大きな違いは連邦準備制度の加盟義務の有無で、国法銀行はより厳格な監督を強いられる代わりに、より様々な業務を提供可能です。したがって、同社が認可を取得すれば、米国史上初の「オール・モバイル銀行」として、預金や貸付、クレジットカード業務など事業の多角化を進めていくことができるようになります。

Varoはフィンテック企業では初めての、FDIC(連邦預金保険公社)の認可を取得した企業です。もし今回の認可をも取得することができれば、Varoは米国チャレンジャーバンク市場の中でさらに有利かつ特権的ポジションにつくことができるでしょう。

米国で勢いを増すChimeやMonzo、N26などを代表とする他のチャレンジャーバンクは、Varoとは異なり米国の銀行がスポンサーとすることでサービスを提供しています。言い換えれば仲介業であり、コンプライアンス遵守業務などを既存銀行に外注し、ライセンス取得を回避しているのです。そのため提供可能なサービスの種類も限られています。

Varoへの認可が降りるのは今年の夏頃になる予定だといいます。新型コロナウイルスを要因としたロックダウンが未だ影響を及ぼしている社会状況で、モバイルバンクには追い風が吹いています。

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