ローカルビジネス顧客獲得支援のZehitomo、シリーズBで8.2億円を調達——昨年の取扱高は100億円以上、プロ登録数はのべ20万人以上に

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Zehitomo 共同創業者の2人。左から:COO James McCarty 氏、CEO Jordan Fisher 氏
Image credit: Zehitomo

仕事を依頼したい人と、専門職のフリーランスや中小企業の人々などを繋げる顧客獲得プラットフォーム「Zehitomo(ゼヒトモ)」を運営する Zehitomo は11日、シリーズ B ラウンドで8.2億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加した投資家は次の通り。

<新規投資家>

  • DG Daiwa Ventures
  • 環境エネルギー投資
  • 三菱地所(東証:8802)
  • PERSOL INNOVATION FUND
  • エアトリ(東証:6191)

<既存投資家(フォローオン出資)>

  • SMBC ベンチャーキャピタル
  • みずほキャピタル
  • Coral Capital(旧500 Startups Japan)
  • DNX Ventures
  • KVP
  • アコード・ベンチャーズ
  • Social Starts
  • ベクトル(東証:6058)

<情報開示> 投資家に含まれるベクトルは、BRIDGE を運営する PR TIMES の親会社である。

Zehitomo にとっては、2017年7月に1.5億円を調達したシードラウンド、2018年6月に4億円を調達したシリーズ A ラウンドに続くものだ。累積調達額は今回ラウンドを受けて13.7億円。なお、シリーズ B ラウンドは最終クローズを迎えていないため、今後、調達額が増える可能性もある。

Zehitomo は2015年7月、日本の JP Morgan および Citi に勤務していた Jordan Fisher 氏と James McCarty 氏が共同創業(当時の社名は JAM Group)。2016年にマッチングプラットフォームの Zehitomo をローンチした。Zehitomo は、仕事を依頼したいユーザと、カメラマン・ヨガ講師・英語講師・トレーナーなどのプロフェッショナルをつなぐマッチングプラットフォームだ。現在、対応言語は日本語と英語。

いわゆるクラウドソーシングやオンラインアウトソーシングと違い、Zehitomo では、ユーザが役務提供を受けられるサービスを検索するのではなく、ユーザが投稿した要望に対して、サービス提供者側であるプロからチャット形式で提案をオーダーメードで受けられる仕組みとなっている。

Zehitomo のチームメンバー
Image credit: Zehitomo

ここ数年で Zehitomo が取り組んできたのは、プロとユーザの数のバランスだ。ユーザの依頼にスムーズにマッチングさせるには、ハイパーローカルなサービスである以上、出来るだけ多くの場所に多くのプロを確保する必要がある。一方、プロからユーザに提案した際、受発注が成立するのは従来方法だと提案10回に対し1回程度で、プロ側には残りの9回分が徒労に終わるかもしれないという精神的なハードルが生じてしまう。この課題に解決すべく、Zehitomo は昨年「スピードマッチ」という新機能を導入した

スピードマッチにより、AI を活用し、プロが予め設定した条件に基づきユーザへの自動提案が可能になり、提案後の採用(仕事の受発注)の確度が高まる。また、ユーザにとっては、よりスピーディーに、かつ、自身のニーズにあったプロからの提案が受けられるようになるメリットがある。この新機能導入から今日までの約1年間、どういった仕事にどういうプロがよりマッチングしやすいか、どういうプロがどういうユーザとエンゲージメントする可能性が高いかをモニタし、アルゴリズムをチューニングしてきた。

サービスを使いたいという潜在ユーザはもともと多くいて、日本中にいるプロをどうやってオンラインに乗せるか(Zehitomo を使ってもらうか)というのが課題だった。シリーズ A ラウンドの頃は、まだ需要はあるものの供給が追いついてない状態。埋もれているフリーランサー(プロ)を見える化するのがミッションだった。(中略)

新型コロナウイルスの感染拡大は、プロの人たちにとっても仕事が減少する一大事となった。全体としてはユーザからの需要が微妙に下がりもしたが、プロを獲得する上でプラスに働いた。減った分の仕事を補おうと、例えば、地方の工務店などがオンラインでも集客したいと考え、Zehitomo に多く加入してくれた。どれだけ多くのプロをオンラインに連れてこれるかがカギだ。(Fisher 氏)

Zehitomo の昨年1年間の取扱高は100億円以上、プロ登録数は現時点で、のべ20万人以上(スキル種別1つへの登録を1人とカウントしているため、例えば、1人のプロが2つのスキルに登録している場合はのべ2人とカウントされる)に達した。直近の15ヶ月間で、プロ登録数が5万人増えた計算だ。

Fisher 氏によれば、さまざまなフリーランサーが活躍するこの業界の規模は、合計すると年間30兆円規模とされる外食産業に匹敵するという。「くらしのマーケット」をはじめ、広義において競合と目されるスタートアップの快進撃は相次ぐが、市場が大きい分、レッドオーシャン化はしていないと言い切る。むしろ、どれだけプロをオンライン化するか。Fisher 氏は Netflix を例に挙げて説明してくれた。

Netflix は最初、DVD の宅配サービスからスタートした。それが今ではストリーミングの方が事業の中心になっている。カメラマン・ヨガ講師・英語講師・トレーナーなど、こういったプロを探すのも今後はオンラインでというのが常態化していくと思う。Zehitomo ではオンライン AI マッチングでこれを実現し、市場全体の効率化が進むのを後押ししたい。(Fisher 氏)

今回新たに参加した投資家のうち、三菱地所とは、同社が東京駅日本橋口前で再開発施行者として取り進めている「東京駅前常盤橋プロジェクトA棟1」(2021年6月末竣工予定)のオフィス就業者にサービスの実装を目指すほか、三菱地所の開発・運営管理するオフィスビルでの協業を進めるという。家庭のみならず、オフィスでのプロ需要(例えば、オフィススペースを使ったヨガレッスン、英会話レッスンなど)も取り込もうという戦略だ。

Zehitomo は今朝7時からオンライン開催される「Morning Pitch(デロイト トーマツ ベンチャーサポート、野村證券主催)」で冒頭に登壇する予定。本稿をリアルタイムで目にした読者には、こちらも楽しんでいただきたい。

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