銀行機能をモジュール化、BaaS企業「solarisBank」が大型調達ーーグローバル・ブレインらも支援

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Image Credit : solarisBank

ピックアップBanking platform solarisBank raises $67.5 million at $360 million valuation

ニュースサマリー:ドイツ・ベルリン発のBanking as a Service(BaaS)企業「solarisBank」がシリーズCで6,750万ドルを調達した。投資家はHV Holtzbrinck Venturesをリードに、Storm Ventures、Samsung Catalyst Fund、Yabeo Capital、Vulcan Capitalの5つが参加している。既存投資家にはグローバル・ブレインやSBI Groupなどの日本企業も名を連ねている。

solarisBankがエンタープライズ向けに提供するBaaSとは、銀行サービスをオンデマンドで機能別に提供するビジネスモデル。同社は主に欧州圏のフィンテック企業に対し、決済や送金、KYC、カード、レンディングなどの銀行機能をモジュール化し提供している。

当初、solarisBankは4,000万ドル程度の資金調達を予定していたそうだが、投資家サイドからの需要が予想を上回り、結果6,750万ドルという大型の資金を手にする形となった。本資金は、さらなる機能拡張に使われていくという。

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Image Credit : solarisBank

話題のポイント:BaaSは現在のフィンテック業界では比較的大きなムーブメントとして認識されています。米国のVCであるa16zも、BaaSの充実によって「全ての企業はフィンテック企業になる」とアピールしています。

世の中には様々なタイプのBaaS企業が存在していますが、solarisBankはその代名詞と言っても過言ではありません。以下は同社が提供するモジュールリストですが、全ての銀行サービスを網羅していることが分かります。

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Image Credit : solarisBank

さて、具体的にsolarisBankが提供している商品は何なのでしょうか。それは「ライセンス」と「APIモジュール」の2つです。

まず同社自体が銀行免許を保有しているため、solarisBankをインフラにするクライアント企業は銀行ライセンスを取得する必要がありません。加えて、上図にリストされている銀行機能(モジュール)に簡易的にアクセスできるAPIのおかげで、クライアント企業は開発コストを格段に下げることができます。

solarisBankは現在70以上のクライアント企業を抱えており、そのほとんどは欧州ないしドイツのフィンテック企業です。例えば、チャレンジャーバンクの「Tomorrow」や「Insha」、ビジネスバンキングを提供する「Penta」や「Kontist」、株式トレードアプリ「Trade Republic」、暗号資産アプリ「Bison」や「Bitwala」などが挙げられます。

欧州地域は日本同様に、現在でも未だ人々の外出をする要請及び規制が敷かれています。現在、筆者が在住しているドイツでも銀行支店やショッピングモールのオープン時間は制限されており、人々がオンラインの銀行アプリ及びEコマース(オンライン決済)にアクセスする機会は増加しています。

<参考記事>

以上の背景を踏まえると、solarisBankのクライアント企業のほとんどが急成長中であり、増益を記録していると考えることができます。したがって、それらのクライアント企業のサービスの機能拡張に伴う同社のAPIへの需要増加や、クライアント企業数の増加は容易に想像/期待できるでしょう。

solarisBankの収益は、モジュールへのアクセスや決済/送金から徴収される手数料から成り立っています。つまり、同社のビジネス自体も現在大きな成長を見せているはずで、投資家が目を光らせるのも当然です。

最近、同社はAmerican Expressと連携しSplitpayという分割払いサービスの提供を始めました。このモジュールを組み込むことで、ドイツのEコマースプラットフォームは、American Expressで買い物を行うユーザーに簡単に分割払いオプションを提供できるようになりました。

ドイツ国内及び欧州のいくつかの地域では、solarisBankの存在感は既に非常に大きいものです。ですが今後数年で、BaaS企業として実績を積んでいくことで、欧州全土及び世界全体へ拡大していくシナリオも考えられるのではないでしょうか。

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