Fukuoka Growth Next、新型コロナがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」採択7プロジェクトを発表

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左から:Fukuoka Growth Next 事務局長 内田雄一郎氏、福岡市長 高島宗一郎氏、福岡地域戦略推進協議会(FDC)事務局長 石丸修平氏

<本稿画像はいずれも Fukuoka Growth Next 配信のライブストリーミングから>

福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」は1日、新型コロナウイルスがもたらす社会課題の解決を目指す実証実験「Beyond Coronavirus」の採択プロジェクトを発表した。

これは FGN が5月1日から募集していたもので、感染予防や健康管理、リモートワークの推進、子どもの教育環境向上、外出自粛中の日常生活を豊かにする With コロナプロジェクトなどの分野で日本内外から35件の応募があり、審査会を通じ7件が採択された。

採択されたプロジェクト(=スタートアップなど)には、税込最大で助成金50万円が進呈されるほか、実証実験期間中は FGN のコワーキングスペースを無償提供される。1日に FGN で開催された採択式には7プロジェクトのオーナー(スタートアップなど7社の代表)がオンラインまたはオフラインで招かれ、アイデアをピッチ形式で披露した。

スマートオペレーションサービス「aiPass」を活用した宿泊施設の新しいオペレーション構築 by クイッキン

予約・チェックイン~チェックアウトまでを最小限の接客で運用可能とするサービス「aiPass」の実証実験。業務効率化のみならず、コロナ禍における非対面・非接触かつ三密回避の実現を目指す。今回は、事前チェックインやフロントチェックイン等の利用率等を検証する。クイッキンは Open Network Lab 第20期採択。今年2月、DG ベンチャーズ、インキュベイトファンドからシード資金を調達

迷惑電話・コロナ詐欺や誤情報の防止情報基盤構築/Whoscall実証実験 by Gogolook(走著瞧)

スマホアプリ「Whoscall」を活用し、迷惑電話やオレオレ詐欺やコロナに関連した詐欺の防止を可能とするサービスの実証実験。今回は、福岡市内において、アプリをモニターに利用してもらい、迷惑電話防止のサポートにおける効果等を測定・検証する。(関連記事

映像制作の業務効率化/ AI多言語文字起こし&自動翻訳 by ユニゾンシステムズ

ファイル共有、大容量の映像データの高速伝送等で映像制作を効率化できる「Join-View」の実証実験。リモートでの映像制作や、AI活用の多言語の自動翻訳で、編集作業や海外とのコミュニケーションの負荷を低減する。今回は、福岡市と連携している海外都市等との相互の情報発信等において、その有用性を検証する。

デジタル身分証プラットフォーム「TRUSTDOCK」 by TRUSTDOCK

「デジタル身分証」やオンラインでの本人確認サービスを行うための実証実験。今回は、行政手続きのデジタル化・効率化に向けた検討を行うとともに、窓口業務等の実行プロセスにおける完遂度と満足度を検証する。TRUSTDOCK は昨年5月に STRIVE などから資金を調達

自律分散オフィス「TiNK Desk / TiNK VPO」 by tsumug


マンション等を無人運用可能な小型オフィスに転換する「TiNK Desk / TiNK VPO」で、遠隔体温検知、自動問診、手洗い判定システムを実証実験。今回は、各デバイスの運用フローを確認するとともに、連動運用し、利用者の健康チェック率、手洗い率向上等を検証する。(関連記事

多目的AIカメラサービス事業 by 九州電力 + オプティム

混雑検知やマスク装着の有無などを、1台のカメラで提供可能な多目的AIカメラサービスの実証実験。フィジカルディスタンス確保やマスク装着の注意喚起ができるようにするもの。さらなる技術向上やサービス向上のため、利用した機能のUI、利用状況、満足度等を検証する。

「タイミーデリバリー」を活用したフードデリバリーの効率化 by タイミー

スマホアプリ「タイミーデリバリー」を利用したフードデリバリーにおいての実証実験を実施。飲食店や購入者への配送料や手数料の負担の軽減を図る。今回は事業化に向けフードデリバリーの「同時配送」の実証を行い、時間当たりの注文件数・配送件数・リピート率等を検証する。タイミーは昨年10月、20億円を調達している。(関連記事


採択プロジェクトの発表に先立ち、福岡市市長の高島宗一郎氏のほか、地元 VC やスタートアップの経営者らを集めたパネルディスカッションも開かれた。新型コロナウイルスの社会の影響は小さくないものの、ことスタートアップに関しては、ピボットや経営努力などで倒産や廃業を余儀なくされた企業は今のところ皆無だと言う。事業を柔軟に変化させやすいスタートアップの強みがうまく作用しているのかもしれない。

高島氏らは東日本大震災の際に社会影響は大きかったものの、そのビフォーとアフターでイノベーションが起きるほどの大きな経済変革が起きなかったことを例に挙げ、欧米に比べると、新型コロナウイルスの犠牲者が比較的抑えられている日本では、ニューノーマル(新常態)への対応を促す風潮も一過性のものに終始する可能性があるとし、今回の機会を活用して、より意識的にイノベーションを起こす必要があることを強調した。

パネルディスカッションに参加した、九大発のバイオテックスタートアップ KAICO 代表取締役の大和建太氏は、他都市に活動拠点を置きつつもテレワークかつ副業形式で研究開発の一部を担う社員を今年8月から採用する予定で、コロナ禍にありながらも、雇用の選択肢を拡大することで事業拡大の可能性を追求していきたいと語った。

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