軽くて安くて広く見れるARディプレイの新技術「Ostend」、その強みを紹介

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Image Credit:Ostend

ピックアップ:New AR Display From Ostendo Capable Of 150 Degree Field Of View At Low Cost

ニュースサマリ:高度なディスプレイテクノロジー企業であるOstendo Technologiesは、ARデバイス用の高解像度シースルーディスプレイおよび光学システムを開発した。2005年に設立された同社はこれまでに2億ドル以上の調達を完了している。

共同創設者兼CEOのDr. Hussein El-Ghoroury氏によると、「当社のテクノロジーにより、複数のQPIディスプレイをレンズの端にぴったりと並べることで、メガネを小さく軽量に保つことができる」とのこと。

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Image Credit:Ostend

話題のポイント:ARは目の前をディスプレイで覆うことができない分、眼鏡に搭載可能な小さなディスプレイを透過ガラスに照射することが求められます。ディスプレイが小さいため短い距離で視野角を確保するのは光学的に容易ではありません。その点において、Ostendの水平視野角150°というのは驚異的な数字です。Magic LeapやHoloLens の約3倍になります。

しかし、Ostendの本当の強みはこの「小さなディスプレイ」を作る能力にあります。もう少し厳密に表現すると、原色(赤ー緑ー青)をデジタル指定で自在に発光させられる3次元集積回路(3D-IC)半導体を作れる点が強みです。これらを高密度に配列するアーキテクチャを組むことで既存のマイクロディスプレイの欠点である電力効率、小型化、コストを緩和可能にしました。この光処理装置は量子フォトニックイメージング(QPI)と言われています。

QPIの重要な革新の1つである「小型化」がなぜできるのかについては、光学的知識を前提とせずに説明するのが困難であるため、気になる方は「Quantum Photonic Imager (QPI): A New Display Technology and Its Applications」こちらの論文を読んでいただけると詳細が掴めると思います。

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Image Credit:Ostend

QPIの特徴は高輝度、電力効率、コンパクトサイズです。今回のARグラス用ディスプレイに最適なのはもちろんですが、様々なアプリケーションに適用できます。

モバイルプロジェクターでは小さなピクセルピッチと高輝度の組み合わせにより、QPIは完全な視差ライトフィールドディスプレイを実現するのに最適です。また、軍事用途としてIR帯域のいくつかの異なる波長を単一のQPIデバイスに統合して、IR対策やIR-IFFデバイスとして使用できます。

2020年にすべての製造工程を持つ1,500平方メートルのオフィス兼工房を開く計画がある同社。ハードウェアベンダーが最先端スマートルグラスを製造するイノベーションを下支えする存在となれるのか。ゲームチェンジャーへの期待が今後さらに集まることでしょう。

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