出張シェフサービス「シェアダイン」運営、プレシリーズAで約2.2億円を資金調達——Coral Capital、マネックスV、日本生命などから

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Image credit: Sharedine

出張シェフを見つけられるマッチングプラットフォーム「シェアダイン」を提供するシェアダインは5日、プレシリーズ A ラウンドで約2.2億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Coral Capital、マネックスベンチャーズ、三井住友海上キャピタル、日本生命保険、iSGS インベストメントワークス、フューチャーベンチャーキャピタル(東証:8462)、キャシー松井氏(ゴールドマン・サックス証券副会長) 、河合聡一郎氏(ReBoost 代表取締役)および名前非開示のエンジェル投資家複数。

このラウンドは同社にとって、2018年5月に実施したシードラウンドに続くもの。今回ラウンドに参加したフューチャーベンチャーキャピタルは、前回シードラウンドに続くフォローオン。また、デットファイナンスを含めると、シェアダインの創業期からの累積調達金額は3億円前後に達したとみられる。

シェアダインは2017年5月、共に主婦であり母親でもある飯田陽狩氏と井出有希氏により共同創業。2018年5月から、ユーザが入力した場所と食の嗜好から料理家をマッチング、料理家がユーザ宅を出張訪問し料理を作り置きしてくれるサービスを展開している。2019年3月には定額サブスクリプションサービス、2019年10月から法人向け福利厚生サービス「シェアダインウエルネス」を開始した。

これまでに栄養士や調理師など資格を持つシェフなど700名が登録し、首都圏・東海・関西を中心に2020年7月時点で累計10万食以上を提供。サービスを使うユーザの約8割が女性で、普段は自分で料理しているものの、範疇外のレシピを学びたい、たまには料理の準備から解放されたい、といったニーズをうまく捉えているようだ。ユーザの嗜好はレシピに記録されるため、当該ユーザが次回、別の料理家を依頼する場合にもその情報が共有され、ユーザ体験を向上させる工夫が施されている。

今回のラウンドに参加した投資家の皆さん。中央左が共同代表の飯田陽狩氏、中央右が共同代表の井出有希氏。
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シェアダインに登録している料理家は、子育てが終わった主婦から、普段は飲食店で料理を本業とする人までさまざま。離乳食、幼児食、病院食、アレルギー対応、妊活対応、生活習慣病予防食など、専門的な要望に応えられるスキルを持った料理家も登録している。料理家の提示する単価によっては、週に二度ほどの稼働で月額40万円以上の収入が見込めるので、シェアダイン一本で生計を成り立たせている料理家もいるそうだ。

井出氏によれば、シェアダインは緊急事態宣言が発令された4月に一週間ほどサービスを停止したとのことだが、テレワークの増加に伴い、企業の在宅勤務支援の一環でシェアダインウエルネスの利用も増えているという。また以前から、休みの飲食店の厨房を借りて、人気の出張シェフが調理した料理をテイクアウト販売するポップアップストアを展開しているが、同社では新型コロナウイルスの影響も鑑み、こういった新しい試みも今後増やしていきたいと語った。

シェアダインではこれまでに料理家の獲得に注力し、オーダーする側のユーザの獲得がオーガニックの流入に頼ってきたが、今回調達する資金を使って、Web マーケティング担当者を新規採用し、マーケティング活動に注力数。投資家の一社である日本生命保険とは、全国にある保険相談窓口「ライフプラザ」でのセミナー開催を通じたシェアダインの認知度向上のほか、生活習慣病予防の食事メニュー作成、同社の持つ病院と連携した実証実験などを模索するとしている。

この分野には全国各所で類似したサービスが存在するものの、専業シェフに限らず、料理家が副業的にも C2C でサービスを提供できるようにした点がシェアダインの特徴と言えるだろう。ドミナントプレーヤーはまだ見出せないが、Green Dining を提供するグラアティアは一昨年、セロワンブースターなどから2,000万円のシード資金を調達している

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