Impact Techの勃興で知るべき「Public Benefit Corporation」とはーーKickstarterなども取得

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ピックアップ:These are the 2020 CNBC Disruptor 50 companies

重要なポイント:最近上場した、保険テックLemonade及び放牧卵の製造・販売会社Vital Farmsは、環境や社会に配慮した事業活動を行う会社としてB-Corporation認証を受けている。また両社共に株主利益よりもステークホルダーの利益を優先するというアメリカの法人格「Public Benefit Corporation」を有している会社である。このように今、SDGsの解決を掲げるスタートアップ「Impact Tech」が増えている。

詳細情報:B-Corporationとは、米国ペンシルバニア州に本拠を置く非営利団体のB Labが運営している認証制度で世界で3,400社以上が取得している。認証を取得するためには、環境、社会に配慮した事業活動を行っており、アカウンタビリティなどB Labの掲げる基準を満たす必要がある。

  • B-CorporationはDanoneやUnileverの子会社などが取得しているが、単独会社で上場するのは5社目となる。
  • 民間による認証制度ではあるが、社会的な使命を重視する会社の価値観を、株主やステークホルダー、顧客に伝えられる目的で取得している。
  • Public Benefit Corporationとは、民間認証のB-Coporationとは異なり、2010年に始まった、アメリカの36州の法律で認められている株式会社の一種である。この法人格になると、各社の取締役会は、ビジネスに関係するステークホルダー全てを考慮した経営判断を行う、受託者・説明責任を株主に負う。上場後も、経営の意思決定を行う際に財務的利益とステークホルダーへの利益のバランスを取れることが利点であるとされている。有名な会社はkickstarterなどがある。
  • 2020年6月に発表された、CNBCによるDisruptor50社のうち、7社は社会課題の解決を掲げているスタートアップだった。
  • 7社合計で90億米ドル以上のバリュエーションが付けられ、2019年には10億米ドル以上の資金調達に成功している。
  • 具体的には、エドテックの代表格Coursera、保険テックLemonade、ヘルステックのGoodRx、植物性食糧の開発を専門とするImpossible FoodsやJust、食用コーティング会社 Apeel Sciencesやマイクロファイナンスビジネスを展開するTalaがあたる。
  • この7社の共通点は、社会的インパクトの評価を各社が実施している点にある。社会的インパクト評価とは、短期、中期的な視点に立って、各社の取り組む事業や取り組みが社会や環境にどのような影響を当たるのか目標設定を行い、継続測定をし、その結果を企業価値の向上に役立てることをいう。

背景:新型コロナウィルスは私たちが今まで経験したことのない状況を世界中でもたらしている。日々の暮らしが一変したこの事態に、SDGsがよりいっそう脚光を浴びている。社会課題解決の取り組みは、小規模な事業者による非営利活動が中心だったが、海外を中心にベンチャーによる参入が目覚しく、ビジネスを大規模に展開する例が増えている。

執筆:NeKomaru/編集:岩切絹代

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