宿泊権利売買サイト運営のCansell、新型コロナ対応で長期滞在特化の「Ellcano(エルカノ)」をローンチへ

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Image credit: Cansell

宿泊権利売買の「Cansell」を運営する Cansell は4日、withコロナ・ポストコロナ対応時代に対応し、長期滞在に特化した宿泊予約リクエストアプリ「Ellcano(エルカノ)」をローンチすると発表した。ローンチ時期は9月を予定している。

Ellcano は、長期旅行・出張(3日〜)、ワーケーション(1週間〜)、ホテル住まい(2週間〜)を対象としたサービス。ユーザが尋ねたい宿泊施設を選び期間を選択することで、各宿泊施設から予算に応じた価格回答を得ることができる。成約時に Ellcano が紹介手数料を得るモデルだ。

Cansell は Ellcano にピボットをするわけではないが、新型コロナの影響で旅行・出張業界は当面の間、従来需要が停滞することが予想できることから、同社は両サービスを並行で運用するものと見られる。

Cansell 代表取締役の山下恭平氏は、BRIDGE の取材に次のように語ってくれた。

3月にオリンピックが延期されることが決まり、宿泊業界では多くのキャンセルが発生。Cansell でも出品数が史上最高数を記録した。もっとも、需要が落ち込んだとはいえ宿泊者数がゼロになることはなく、Cansell は稼働し続けている。(中略)

スタートアップにおいてはコロナ禍を耐えて待つところもあれば、ピボットするところもある。旅行業界は前提が変わってしまったので、Cansell の場合はこのままでいたのでは死ぬな、と思った。

Image credit: Cansell

Cansell では、Cansell のグローバル展開に向け着手していたグローバル人材のハイヤリングも中断。全く異なる事業へのピボットも考えたとのことだが、「せっかく今まで積み上げた Cansell のアセットがあるので(山下氏)」、取引関係にあった宿泊関係者らの意見を参考に Ellcano の立ち上げを一週間ほどで決断したという。

ワーケーションという言葉が一人歩きしつつあるが、ワーケーションを旅行の延長線で考えても、生活の延長線で考えても、いろいろ問題点を口にする人は多い。ワーケーションの定義を整理する必要があると思っている。

我々の考えでは、ワーケーションはヘルステックとして捉えている。精神衛生など健康面でいい点があるとわかれば、企業が福利厚生で費用を賄えたりするかもしれない。さまざまな企業と、そのための実証実験をやっていこうと思っている。(山下氏)

Cansell では今後、Ellcano を使って長期滞在するユーザを対象に、その需要にあった宿泊以外のサービスも提供したい考えだ。

Ellcano の名前は、サービスが世界で使われることを願って、15世紀のバスク人探検家 Juan Sebastián Elcano 氏に由来している。山下氏によれば、アナグラム的にも Cansell → Ellcano(s をなくし、o を追加。アルファベット並び替え)にちなんでいるそうだ。

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