ライフネット共同創業者の岩瀬大輔氏、Spiral Capitalに参画

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左から:Spiral Capital 代表パートナーの奥野友和氏、マネージングパートナーとして参画する岩瀬大輔氏、会長の平野正雄氏
Image credit: Spiral Capital

Spiral Capital は13日、ライフネット生命保険(東証:7157)の共同創業者として知られる岩瀬大輔氏が同ファンドに参画すると発表する。岩瀬氏はマネージングパートナーとして、グループ全体(ファンドを運用する Spiral Capital や、オープンイノベーションに特化した子会社 Spiral Innovation Partners)の経営に携わる。Spiral Capital の経営は、代表パートナーの奥野友和氏、会長の平野正雄氏、岩瀬氏の3人体制となる。

岩瀬氏らが2006年に共同創業(開業は2008年)したライフネット生命保険は、2012年に東証マザーズに上場。副社長を経て2013年に代表取締役社長に就任した。2018年に同社社長退任後は、AIG グループ傘下で香港に拠点を置く保険大手 AIA グループ(香港証取:1299)に招聘され、本社経営会議メンバー兼グループ最高デジタル責任者(CDO)を務めていた。AIA 退任後は、香港を拠点にフィンテックやヘルステック特化にした Tiger Gate Capital を設立。また、ベネッセホールディングス(東証:9783)や YCP Holdings 社外取締役等も務めている。

BRIDGE は、岩瀬氏に今回 Spiral Capital 参画した背景や今後の展望について話を聞くことができた。


岩瀬氏は自らベンチャーを立ち上げ、イグジット後は、海外に拠点を移し大企業のデジタル改革に身を置いた。その背景には、仕事を通じて、日本の産業変革を促したいという思いがあったという。ライフネット生命保険もまさに、日本の生命保険を産業変革にチャレンジするという試みだった。

以前のインタビューで代表パートナーの奥野氏も語っているように、Spiral Capital もまた、X-Tech やリアルテックとスタートアップの協業支援にも注力してきた。昨年には、伝統的かつ〝渋め〟の大手企業を巻き込む取り組みの一環として、GCA Technovation と「Innovation Alliance Hub」を立ち上げている

スタートアップへの投資活動を通じて、日本の産業改革をなし得たいというのが、岩瀬氏と Spiral Capital を繋いだ共通の思いだったと言える。

いくつかエンジェル投資も行っているが、(VC に参画することを決めたのは)日本が大きく変わる産業変革には、大企業や大きな資本との連携が必要と考えたから。(岩瀬氏)

Spiral Capital には経験豊富なメンバーが揃っていて、大企業のマネジメント層につながるパスを持っているのは強み。そこに岩瀬氏が加わることになる。ベンチャーと大企業をつないで産業構造の変革を促していこうというのは、Spiral Capital を立ち上げた理由の一つでもある。(奥野氏)

奥野氏と岩瀬氏は、同じレストラン(ワインバー)が行きつけだったり、通っているジムが同じだったりしたことから、以前から交流はあったのだそうだ。仕事での接点はほぼ無かったものの、機会があれば一緒に仕事したいとの思いから、奥野氏が岩瀬氏にアプローチを続けていた。岩瀬氏が8月8日に AIA グループの CDO 退任したのを受け、念願かなって、偶然にも同じ歳の二人は肩を並べ仕事をすることになる。

Spiral Capital での活動は日本においてが中心になるが、香港にもフィンテック・ヘルステックのスタートアップを支援する拠点を置いているので、東京と香港を往来することになるだろう。(中略)

新しい仕事を選ぶ時には、1. いい仲間と時間を過ごしたい、2. 自分にしかできない仕事にチャレンジしたい、3. 社会に足跡を残せる仕事をしたい、という視点で考えてきた。Spiral Capital には素晴らしい仲間がいて、また、大企業とベンチャー、日本と海外を橋渡しできる自分の強みを生かせると考えた。(岩瀬氏)

ハーバード大学経営大学院を Baker Scholar で修了(成績上位5%の生徒に与えられるタイトル、日本人で4人目)し、2010年には世界経済フォーラム(ダボス会議)の「Young Global Leader」に選出されるなど、以前から世界の経済界ともパイプが太い岩瀬氏。今のところ、Spiral Capital に2つあるファンドはいずれも国内スタートアップへの投資を想定したものだが、岩瀬氏が持つ幅広なネットワークを活用して、Spiral Capital が日本のスタートアップのグローバル展開やグローバルな投資活動に積極的に関わっていく可能性に期待したいところだ。

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