貸付投資「Funds」運営、電通と資本業務提携——企業がファン株主予備軍を育める「FinCommunity Marketing」を共同展開

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Image credit: Funds

<4日午前11時更新> 赤字部を追記、削除線部を削除。

企業と個人をつなぐ貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds」を運営するファンズ(旧クラウドポート)は4日、電通と資本業務提携を締結したことを明らかにした。ファンズが電通から調達した金額については明らかにされていない。

昨年11月、電通のスタートアップ支援プログラム「GRASSHOPPER」第2期のデモデイでグランプリに輝いた同社は、Finance とファンマーケティングを掛け合わせた「FinCommunity」というコンセプトに行き着いたとしていた。今回の発表は、この FinCommunity を具現化し企業がマーケティングに活用することで、ファン株主予備軍の醸成につなげようというものだ。

Funds は、個人向け社債を代替するサービスだ。社債ではないが、社債に近い機能を提供でき、資産形成したい個人と資金調達したい企業をマッチングする。 株式市場と債券市場の間に空いているニッチエリアを攻めることで、株式ほどはリスクを取りたくないが、債券よりは高リターンを好む投資家に3%前後の固定利回りを提供する。

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企業にとっては経済面以外のメリットも大きい。Funds により株主になる前の潜在的個人投資家のエンゲージメントを高めることができるからだ。個人投資家には、自分が投資した会社の商品やサービスを愛着する性質が見られる。この分野ではカゴメ(東証:2811)がファン株主開拓に積極的で、ファン株主が一般消費者に比べ13倍程度自社商品を購入するとのデータも出ている。

Funds の仕組みでは、株式のようにいつでも売ったり買ったりはできない。ファンド参加者には、その企業への貸付を一定期間持続することが求められる。その間、企業は参加者に働きかけることで関係性を高めることができる。(中略)

これまで企業は、ニーズが顕在化しないと潜在顧客にアプローチすることはできなかった。Funds を使えば、金融商品を媒介に、将来の顧客を集めることができるようになる。(ファンズ代表取締役 藤田雄一郎氏)

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実例を挙げると、大阪王将を運営するイートアンド(東証:2882)が行った5,000万円のファンド募集(2,500万円が先着順、2,500万円が抽選)には、募集枠の数十倍以上の申し込みが殺到。発売開始から35秒で完売したという。イートアンドでは大阪王将の店舗にファンド参加者を招き、イベントを行なって将来のファン株主開拓につなげているようだ

今年で4期目を迎えるファンズでは、これまでにも上場企業十数社と提携し貸付ファンドを展開しているが、多くの上場企業を顧客に抱える電通と協働することで、この動きに弾みをつけたい考え。電通にとってもまた、広告や従来の手法でカバーしきれない、比較的高価な商品やサービスを展開する企業に対しても、効果的なマーケティングを提案できるようになる。

ファンズによれば、2020年2月段階で口座開設者数は既に約2万名が Funds で投資している。運用残高は昨年段階で6.7億円。2019年11月の GRASSHOPPER のピッチで、藤田氏は2026年までに運用残高1兆円の達成を目指すとしていた。

ファンズでは FinCommunity Marketing をテーマに、前出のカゴメの IR 担当者らを招いたオンラインセミナーの開催を8月下旬に予定している。