
Working From Home(WFH)を企業または個人が導入するかは、つい先日まで二極化するテーマだった。しかしパンデミック以降、WFHの状態でも生産性高い労働環境を作れることを多くの人たちが感じ始めている。
さて、現段階におけるリモートワークへの動きは、企業運営の安定や従業員の短中期的な雇用維持を目的としたものだった。つまり、企業は環境変化に対応しているようで、実際の多くの企業は新しい環境における事業継続プランを考えぬけていない状況にある。
一部の従業員はリモートワークを自然と受け入れられているものの、それまでの役割や責任によっては、自宅で生産性維持を図るのに苦労しているのも事実だ。COVID-19が表沙汰になるまでは、全労働者の内半分以上を在宅で作業している割合はわずか3.6%であった。ある調査によれば、オフィスワーカーの67%はミーティングなど第三者とコラボレーションが必要とされるとされ、オフィス空間は今でも貴重であることが分かる。
しかし、Global Workplace Analyticsによれば、2021年の終わりまでに全体の25~30%は在宅作業になると予想している。
2020年も半分が過ぎようとしているが、徐々にオフィスへ人を戻し始めている企業も少なくないだろう。しかし、それでも多くの国では未だソーシャルディスタンスの重要性が説かれ、企業に属するものとしての労働の真価が問われ出している段階だと言える。
どこでも生産性を高めるために
Work From Home自体が世界の経済的仕組みを大きく変えるものになるのではないことは明らかだ。次のニューノーマルにおいては「Working From Anywhere」的概念が重要となるだろう。
また企業のリーダーたちは、今後ソーシャルディスタンスを意識したオフィススペースの設計が必要不可欠になるはずだ。例えばオフィスのパントリーを廃止したり、ビデオ会議用の小さなスペースを設置することなどが挙げられる。
つまり企業側はオフィスからでも、またそれ以外からの環境からでもフレキシブルに作業に集中できるツール提供が求められるようになる。さらに外部環境からの労働者が増えれば、それだけセキュリティーの要件を満たす必要性も今まで以上に求められるだろう。
中長期的なプラン
将来の業績を考えると、企業が現段階でいかに中長期的目線で投資することができるかが重要なファクターになることは間違いない。GlobalDataの調査によれば、APACにおける雇用者の57%がテクノロジー投資を増やしたい意向を持っていると明らかにしている。こうした投資は、クラウドをベースとしたコラボレーションプラットフォームが主となっており、中長期的な企業運営のオンラインシフトを伺うことができる。
マクロ的視点では、オフィスに対してより健康に特化した投資が求められるため、スマートビルディングへの需要が進むことになるはずだ。体温を自動的に測定する赤外線カメラや、空気の入れ替えをするスマート空気清浄機、エレベーターのタッチレスシステムなど、急激な入れ替えが迫られているかもしれない。
ニューノーマルに備えて
あらゆる欠点はあるにせよ、これからもオフィスがある程度チームコラボレーションのために利用され続けることは間違いない。重要なプロジェクトや提案書作成のため徹夜したり、エレベーターの中でCEOと偶然鉢合わせて気まずくなるなど、実はオフィスでしか得られない貴重な経験も数多くある。
つまり、COVID-19はオフィスを廃止したのではなくリモートワークでも効率的かつフレキシブルな労働環境を創り出せることを証明したと言える。一つはっきりしているのは、リモートワークを許容することが組織を中長期的に存続させるために必要であるということだ。
リモートワークが数多く始まり、私たちは改めて労働環境におけるコミュニケーションとコラボレーションを同時に体感できる環境を求めていることに気が付かされた。確かにこれからは、会社の全員が同じ場所に集まることはないかもしれないが、こうした繋がりの感覚をいかに生み出すかが企業運営にとって重要な観点となってくるのだろう。
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