株主総会開催効率化の「株主総会クラウド」が正式ローンチ、ユーザからのフィードバックを受け新機能を追加

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Image credit: Kepple

ケップルは6日、スタートアップをはじめとする非上場企業の株主総会開催において、招集通知、委任状回収、開催履歴をオンライン完結できる SaaS「株主総会クラウド」を正式ローンチした。6月初めのβローンチからの2ヶ月間を経て、初期ユーザ約40社からヒアリング。それを受けて新機能が追加されることも明らかになった。

スタートアップを含む非上場企業の株主総会では、株主の多くの出席を伴った総会が開かれることは稀で、実際には創業者を中心とする持分を多く持つ株主に、創業期を支援した初期投資家が決議を委任して運営されていることが多い。この際に必要となる招集通知の印刷、製本、発送をはじめとする株主総会前後の準備や管理をオンライン化するのが株主総会クラウドだ。

新たに追加される中でも興味深いのは、委任状の PDF アップロードによる回答や代理回答機能だ。

株主総会クラウドは、一連の操作を Web 上で完結することを前提としているが、ある会社の株主が事業会社である場合、その事業会社内で委任状の回答内容を稟議フローに載せる必要があることがわかった。これに対応すべく、ケップルでは稟議を経て捺印の済んだ委任状をスキャンしアップロード回答できるようにした。会社にとっては、エビデンスをクラウド上に残せるメリットがある。

また、代理回答機能は、株主が株主総会クラウド以外の方法で回答してきた場合に、それを会社が手動入力で株主クラウド上に反映する機能だ。このほか、株主が外国企業や外国人であるケースも見られたことから、株主総会クラウドは近日中に英語対応も行う予定だ。

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既報の通り、株主クラウドはサブスクモデルで提供されるとしていたが、料金体系についても確定した。株主総会は年に2回程度と開催頻度は多くないため月額課金とはせず、株主人数に応じた株主総会開催毎の課金制。初期ユーザヒアリングの結果、株主が15名以上から株主総会のための事務準備が著しく煩雑になることがわかったため、株主15名以上に基本料金を適用することにした。

プロモーションの仕方も面白い。今年9月末までに招集が行われる株主総会は無料で利用できるほか、ケップルがサポーターに迎えた VC や投資家から紹介を受け、株主総会クラウドを使い始めた会社(投資先)には3,000円が、ユーザである会社が別の会社を紹介し、株主総会クラウドを使い始めた場合には1,500円ずつが山分けで割引される。

特に非常に多くの投資先を持つ VC や投資家の中には、毎月のように数十社以上のスタートアップから株主総会の招集通知が送られてくるケースもあり、VC や投資家にとっては投資先を全て株主総会クラウドのユーザにできれば、投資先のみならず、自らの事務作業を効率化できるメリットも大きい。

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株主総会効率化の分野では、金融大手 Citi からスピンオフした、ロンドン拠点の投資家向け議決権代理行使プラットフォーム「Proxymity」が先月、金融各社から2,050万米ドルを調達している。日本では、バックオフィス業務を効率化する Bizer(パーソルプロセス&テクノロジーが昨年買収)が株主関連業務をオンライン上で実施できる「BizerIR」を2017年に発表していた。また今年6月には、スマートラウンドが提供する「smartround」が、新機能「株主総会 smartround」をローンチした。

ケップルは、公認会計士で税理士の神先孝裕氏が2015年に創業。これまでに勉強会&コミュニティの「KEPPLE ACADEMY」、非上場企業の株式管理ツール「FUNDBOARD」、起業家紹介動画メディア「STARTUP TV」を提供している。これまでに、2018年4月に個人投資家4人から3,000万円、2018年12月に日本経済新聞社などから2.7億円、2019年3月には傘下に野村インベスター・リレーションズなどを擁する野村総合研究所(東証:4307)から8,000万円を調達している。